薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > ヒト型抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体
一般名デュルバルマブ (遺伝子組換え) 注射液
薬価101807
メーカーアストラゼネカ
最終更新2023年11月改訂(第6版)

用法・用量

〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法の場合、投与期間は12カ月間までとする。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉

トレメリムマブ(遺伝子組換え)及び白金系抗悪性腫瘍剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。

ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈進展型小細胞肺癌〉

白金系抗悪性腫瘍剤及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈切除不能な肝細胞癌〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈治癒切除不能な胆道癌〉

ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、3週間間隔で、1回1500mgを60分間以上かけて点滴静注する。3週間間隔での繰り返し投与後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉本剤投与により副作用が発現した場合には、次を参考に、本剤の休薬等を考慮すること。

1). 〈効能共通〉間質性肺疾患:

①. 〈効能共通〉Grade2の間質性肺疾患の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade3の間質性肺疾患又はGrade4の間質性肺疾患の場合:本剤の投与を中止する。

2). 〈効能共通〉肝機能障害:

①. 〈効能共通〉ASTが基準値上限の3〜10倍若しくはALTが基準値上限の3〜10倍、又は総ビリルビンが基準値上限の1.5〜3倍まで増加した場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉ASTが基準値上限の10倍超若しくはALTが基準値上限の10倍超、又は総ビリルビンが基準値上限の3倍超まで増加した場合:本剤の投与を中止する。

③. 〈効能共通〉ASTが基準値上限の3倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超若しくはALTが基準値上限の3倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超まで増加し、本剤以外に原因がない場合:本剤の投与を中止する。

3). 〈効能共通〉肝機能障害(ベースラインのAST若しくはALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者):

①. 〈効能共通〉ASTがベースラインの2.5〜7倍かつ基準値上限の20倍以下若しくはALTがベースラインの2.5〜7倍かつ基準値上限の20倍以下(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)に増加した場合:ベースラインの2.5倍未満に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉ASTがBS2.5〜5倍でULN20倍以下・総BilがULN1.5〜2倍若しくはALTがBS2.5〜5倍でULN20倍以下・総BilがULN1.5〜2倍(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)に増加し、本剤以外に原因がない場合:ベースラインの2.5倍未満に回復するまで本剤を休薬する(BS:ベースライン、ULN:基準値上限、Bil:ビリルビン)。

③. 〈効能共通〉ASTがベースラインの7倍超若しくはALTがベースラインの7倍超、又はASTが基準値上限の20倍超若しくはALTが基準値上限の20倍超、総ビリルビンが基準値上限の3倍超(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)まで増加した場合:本剤の投与を中止する。

④. 〈効能共通〉ASTがベースラインの2.5倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超若しくはALTがベースラインの2.5倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)まで増加し、本剤以外に原因がない場合:本剤の投与を中止する。

4). 〈効能共通〉大腸炎・下痢:

①. 〈効能共通〉Grade2の大腸炎・Grade2の下痢の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade3の大腸炎・Grade3の下痢の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

③. 〈効能共通〉Grade3の大腸炎・Grade3の下痢の場合:トレメリムマブ(遺伝子組換え)との併用の場合は、本剤の投与を中止する。

④. 〈効能共通〉Grade4の大腸炎・Grade4の下痢の場合:本剤の投与を中止する。

5). 〈効能共通〉消化管穿孔:全Grade:本剤の投与を中止する。

6). 〈効能共通〉甲状腺機能亢進症、副腎機能不全、下垂体機能低下症:Grade2〜4の甲状腺機能亢進症、Grade2〜4の副腎機能不全、Grade2〜4の下垂体機能低下症の場合:症状が安定するまで本剤を休薬する。

7). 〈効能共通〉腎機能障害:

①. 〈効能共通〉血清クレアチニンが基準値上限の1.5〜3倍又は血清クレアチニンがベースラインの1.5〜3倍まで増加した場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉血清クレアチニンが基準値上限の3倍超又は血清クレアチニンがベースラインの3倍超まで増加した場合:本剤の投与を中止する。

8). 〈効能共通〉筋炎:

①. 〈効能共通〉Grade2の筋炎又はGrade3の筋炎の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、30日以内にGrade1以下まで回復しない場合又は呼吸機能不全の徴候があらわれた場合は、本剤の投与を中止する。

②. 〈効能共通〉Grade4の筋炎の場合:本剤の投与を中止する。

9). 〈効能共通〉心筋炎:Grade2〜4の心筋炎の場合:本剤の投与を中止する。

10). 〈効能共通〉重症筋無力症:Grade2〜4の重症筋無力症の場合:本剤の投与を中止する。

11). 〈効能共通〉脳炎:Grade2〜4の脳炎の場合:本剤の投与を中止する。

12). 〈効能共通〉神経障害:

①. 〈効能共通〉Grade2の神経障害の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、30日以内にGrade1以下まで回復しない場合又は呼吸機能不全の徴候があらわれた場合は、本剤の投与を中止する。

②. 〈効能共通〉Grade3の神経障害又はGrade4の神経障害の場合:本剤の投与を中止する。

13). 〈効能共通〉皮膚障害:

①. 〈効能共通〉Grade2の皮膚障害で1週間以上継続した場合、Grade3の皮膚障害の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade4の皮膚障害の場合、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)又は中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)の場合:本剤の投与を中止する。

14). 〈効能共通〉Infusion reaction:

①. 〈効能共通〉Grade1のInfusion reaction又はGrade2のInfusion reactionの場合:本剤の投与を中断又は投与速度を50%減速する。

②. 〈効能共通〉Grade3のInfusion reaction又はGrade4のInfusion reactionの場合:本剤の投与を中止する。

15). 〈効能共通〉前記以外の副作用(甲状腺機能低下症、1型糖尿病を除く):

①. 〈効能共通〉Grade2の副作用<甲状腺機能低下症・1型糖尿病を除く>又はGrade3の副作用<甲状腺機能低下症・1型糖尿病を除く>の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade4の副作用<甲状腺機能低下症・1型糖尿病を除く>の場合:本剤の投与を中止する。

GradeはNCI−CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)v4.03に準じる。

7.2. 〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

7.3. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉併用する他の抗悪性腫瘍剤は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し選択すること〔17.1.2参照〕。

7.4. 〈切除不能な肝細胞癌〉本剤の用法及び用量は「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、併用投与及び単独投与の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること〔17.1.4参照〕。

効能・効果

1). 切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法。

2). 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。

3). 進展型小細胞肺癌。

4). 切除不能な肝細胞癌。

5). 治癒切除不能な胆道癌。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.2. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.3. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉臨床試験に組み入れられた患者のEGFR遺伝子変異又はALK融合遺伝子の有無等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.2参照〕。

5.4. 〈進展型小細胞肺癌〉臨床試験に組み入れられた患者の進展型の基準等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3参照〕。

5.5. 〈切除不能な肝細胞癌〉局所療法の適応となる肝細胞癌(経皮的エタノール注入療法の適応となる肝細胞癌、ラジオ波焼灼療法の適応となる肝細胞癌、マイクロ波凝固療法の適応となる肝細胞癌、肝動脈塞栓療法の適応となる肝細胞癌/肝動脈化学塞栓療法の適応となる肝細胞癌、放射線療法の適応となる肝細胞癌等)患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.6. 〈切除不能な肝細胞癌〉臨床試験に組み入れられた患者の肝機能障害の程度等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.4参照〕。

5.7. 〈治癒切除不能な胆道癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)(4.9%)〔1.2、8.2、9.1.2参照〕。

11.1.2. 大腸炎(1.3%)、重度下痢(1.1%):持続する下痢、腹痛、血便等の症状が認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

11.1.3. 甲状腺機能障害:甲状腺機能低下症(8.6%)、甲状腺機能亢進症(6.3%)等の甲状腺機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。

11.1.4. 副腎機能障害:副腎機能不全(1.1%)等の副腎機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。

11.1.5. 下垂体機能障害:下垂体機能低下症(0.3%)等の下垂体機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。

11.1.6. 1型糖尿病:1型糖尿病(0.3%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがあるので、1型糖尿病が疑われた場合には、インスリン製剤を投与する等の適切な処置を行うこと〔8.4参照〕。

11.1.7. 肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎:AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害(7.8%)、肝炎(2.6%)、硬化性胆管炎(頻度不明)があらわれることがある〔8.5参照〕。

11.1.8. 腎障害:尿細管間質性腎炎(頻度不明)、糸球体腎炎(0.1%未満)、腎炎(0.2%)等の腎障害があらわれることがある〔8.6参照〕。

11.1.9. 筋炎(0.3%)、横紋筋融解症(頻度不明)〔8.7参照〕。

11.1.10. 心筋炎(0.2%)〔8.8参照〕。

11.1.11. 重症筋無力症(0.1%):重症筋無力症によるクリーゼのため急速に呼吸不全が進行することがあるので、呼吸状態悪化に十分注意すること〔8.9参照〕。

11.1.12. 免疫性血小板減少性紫斑病(0.1%未満)。

11.1.13. 脳炎(0.1%未満)。

11.1.14. Infusion reaction(1.7%):Infusion reactionが認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に確認すること〔8.10参照〕。

11.1.15. 重度皮膚障害:皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(0.1%未満)等があらわれることがあり、また、類天疱瘡(0.1%)があらわれることがあるので、水疱、びらん等が認められた場合には皮膚科医と相談すること。

11.1.16. 神経障害:末梢性ニューロパチー(1.0%)、多発ニューロパチー(0.1%)、ギラン・バレー症候群(頻度不明)等の神経障害があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 皮膚:(10%以上)発疹、(1〜10%未満)皮膚そう痒症、(1%未満)皮膚炎。

2). 呼吸器:(1〜10%未満)咳嗽・湿性咳嗽、肺炎、(1%未満)発声障害、インフルエンザ、上気道感染。

3). 血液:(1%未満)発熱性好中球減少症。

4). 口腔内:(1%未満)口腔カンジダ、(頻度不明)口腔感染、歯周病(歯肉炎、歯周炎、歯感染)。

5). 内分泌:(1〜10%未満)TSH上昇、TSH低下、(頻度不明)尿崩症。

6). 腎・泌尿器:(1%未満)排尿困難。

7). 消化器:(1〜10%未満)下痢、腹痛、(1%未満)膵炎、消化管穿孔。

8). その他:(1〜10%未満)発熱、筋肉痛、(1%未満)寝汗、末梢性浮腫。

警告

1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

1.2. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行い、また、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.2、9.1.2、11.1.1参照〕。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. 本剤のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行い、過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること(また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと)。

8.2. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行い、また、必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること〔1.2、9.1.2、11.1.1参照〕。

8.3. 甲状腺機能障害、副腎機能障害及び下垂体機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を行い、患者の状態を十分に観察すること(また、必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること)〔11.1.3−11.1.5参照〕。

8.4. 1型糖尿病があらわれることがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の発現や血糖値上昇に十分注意すること〔11.1.6参照〕。

8.5. 肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.7参照〕。

8.6. 腎障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.8参照〕。

8.7. 筋炎、横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋力低下、筋肉痛、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等の観察を十分に行うこと〔11.1.9参照〕。

8.8. 心筋炎があらわれることがあるので、胸痛、CK上昇、心電図異常等の観察を十分に行うこと〔11.1.10参照〕。

8.9. 重症筋無力症があらわれることがあるので、筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害等の観察を十分に行うこと〔11.1.11参照〕。

8.10. Infusion reactionがあらわれることがあり、2回目以降の本剤投与時にもInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与時には毎回患者の状態を十分に観察すること〔11.1.14参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 自己免疫疾患の合併又は慢性的自己免疫疾患若しくは再発性自己免疫疾患の既往歴のある患者:自己免疫疾患が増悪するおそれがある。

9.1.2. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)が発現又は増悪するおそれがある〔1.2、8.2、11.1.1参照〕。

(生殖能を有する者)

妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。

高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の生殖発生毒性試験において、妊娠カニクイザルに妊娠成立時から分娩まで本剤を投与したときに、AUC比較で臨床用量(1500mgを3週間間隔又は4週間間隔で投与)における曝露量の約3.4倍に相当する曝露量で、対照群と比較して妊娠後期における胎仔死亡増加及び新生仔死亡増加が認められた(ヒトIgG1は胎盤を通過することが知られている)、また、PD−1/PD−L1経路は母体胎児間免疫寛容による妊娠維持に重要であり、同種異系妊娠マウスにおいてPD−L1経路の阻害により流産率増加することが報告されている)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られており、また、妊娠カニクイザルを用いた実験において用量依存的な本剤の乳汁への移行が認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 本剤のバイアルは1回使い切りであり、保存剤を含まない。本剤は、無菌的に希釈調製を行うこと。

14.1.2. 調製前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること(本剤は、無色〜微黄色の澄明〜乳白光を呈する液であり、濁り、変色又は不溶性異物が認められる場合は使用しないこと)。

14.1.3. バイアルは振盪せず、激しく攪拌しないこと。

14.1.4. 必要量をバイアルから抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液の点滴バッグに注入し、最終濃度を1〜15mg/mLとする。点滴バッグをゆっくり反転させて混和すること。希釈液を凍結又は振盪させないこと。

14.1.5. 調製後は速やかに使用すること(希釈液をすぐに使用せず保存する場合、2〜8℃では30日以内、室温保存では12時間以内に投与を開始すること)。

14.1.6. 本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。

14.1.7. バイアル中の残液は廃棄すること。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 本剤は、無菌の蛋白結合性の低い0.2又は0.22μmインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製等)を使用して点滴静注すること。

14.2.2. 同一の点滴ラインを使用して他剤<生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を除く>を併用同時投与しないこと。

(取扱い上の注意)

20.1. 凍結を避けて保存すること。

20.2. 外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

国内外の臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。

貯法

(保管上の注意)

2〜8℃で保存。

イミフィンジ点滴静注120mg
後発品はありません
イミフィンジ点滴静注120mg
イミフィンジ点滴静注120mg

イミフィンジ点滴静注120mg

抗悪性腫瘍薬 > ヒト型抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体
2023年11月改訂(第6版)
薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > ヒト型抗ヒトPD−L1モノクローナル抗体
一般名デュルバルマブ (遺伝子組換え) 注射液
薬価101807
メーカーアストラゼネカ
最終更新2023年11月改訂(第6版)

用法・用量

〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法の場合、投与期間は12カ月間までとする。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉

トレメリムマブ(遺伝子組換え)及び白金系抗悪性腫瘍剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。

ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈進展型小細胞肺癌〉

白金系抗悪性腫瘍剤及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈切除不能な肝細胞癌〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

〈治癒切除不能な胆道癌〉

ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、3週間間隔で、1回1500mgを60分間以上かけて点滴静注する。3週間間隔での繰り返し投与後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉本剤投与により副作用が発現した場合には、次を参考に、本剤の休薬等を考慮すること。

1). 〈効能共通〉間質性肺疾患:

①. 〈効能共通〉Grade2の間質性肺疾患の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade3の間質性肺疾患又はGrade4の間質性肺疾患の場合:本剤の投与を中止する。

2). 〈効能共通〉肝機能障害:

①. 〈効能共通〉ASTが基準値上限の3〜10倍若しくはALTが基準値上限の3〜10倍、又は総ビリルビンが基準値上限の1.5〜3倍まで増加した場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉ASTが基準値上限の10倍超若しくはALTが基準値上限の10倍超、又は総ビリルビンが基準値上限の3倍超まで増加した場合:本剤の投与を中止する。

③. 〈効能共通〉ASTが基準値上限の3倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超若しくはALTが基準値上限の3倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超まで増加し、本剤以外に原因がない場合:本剤の投与を中止する。

3). 〈効能共通〉肝機能障害(ベースラインのAST若しくはALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者):

①. 〈効能共通〉ASTがベースラインの2.5〜7倍かつ基準値上限の20倍以下若しくはALTがベースラインの2.5〜7倍かつ基準値上限の20倍以下(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)に増加した場合:ベースラインの2.5倍未満に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉ASTがBS2.5〜5倍でULN20倍以下・総BilがULN1.5〜2倍若しくはALTがBS2.5〜5倍でULN20倍以下・総BilがULN1.5〜2倍(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)に増加し、本剤以外に原因がない場合:ベースラインの2.5倍未満に回復するまで本剤を休薬する(BS:ベースライン、ULN:基準値上限、Bil:ビリルビン)。

③. 〈効能共通〉ASTがベースラインの7倍超若しくはALTがベースラインの7倍超、又はASTが基準値上限の20倍超若しくはALTが基準値上限の20倍超、総ビリルビンが基準値上限の3倍超(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)まで増加した場合:本剤の投与を中止する。

④. 〈効能共通〉ASTがベースラインの2.5倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超若しくはALTがベースラインの2.5倍超かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超(ベースラインのASTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍若しくはベースラインのALTが基準値上限を超えている肝悪性腫瘍を有する患者)まで増加し、本剤以外に原因がない場合:本剤の投与を中止する。

4). 〈効能共通〉大腸炎・下痢:

①. 〈効能共通〉Grade2の大腸炎・Grade2の下痢の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade3の大腸炎・Grade3の下痢の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

③. 〈効能共通〉Grade3の大腸炎・Grade3の下痢の場合:トレメリムマブ(遺伝子組換え)との併用の場合は、本剤の投与を中止する。

④. 〈効能共通〉Grade4の大腸炎・Grade4の下痢の場合:本剤の投与を中止する。

5). 〈効能共通〉消化管穿孔:全Grade:本剤の投与を中止する。

6). 〈効能共通〉甲状腺機能亢進症、副腎機能不全、下垂体機能低下症:Grade2〜4の甲状腺機能亢進症、Grade2〜4の副腎機能不全、Grade2〜4の下垂体機能低下症の場合:症状が安定するまで本剤を休薬する。

7). 〈効能共通〉腎機能障害:

①. 〈効能共通〉血清クレアチニンが基準値上限の1.5〜3倍又は血清クレアチニンがベースラインの1.5〜3倍まで増加した場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉血清クレアチニンが基準値上限の3倍超又は血清クレアチニンがベースラインの3倍超まで増加した場合:本剤の投与を中止する。

8). 〈効能共通〉筋炎:

①. 〈効能共通〉Grade2の筋炎又はGrade3の筋炎の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、30日以内にGrade1以下まで回復しない場合又は呼吸機能不全の徴候があらわれた場合は、本剤の投与を中止する。

②. 〈効能共通〉Grade4の筋炎の場合:本剤の投与を中止する。

9). 〈効能共通〉心筋炎:Grade2〜4の心筋炎の場合:本剤の投与を中止する。

10). 〈効能共通〉重症筋無力症:Grade2〜4の重症筋無力症の場合:本剤の投与を中止する。

11). 〈効能共通〉脳炎:Grade2〜4の脳炎の場合:本剤の投与を中止する。

12). 〈効能共通〉神経障害:

①. 〈効能共通〉Grade2の神経障害の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、30日以内にGrade1以下まで回復しない場合又は呼吸機能不全の徴候があらわれた場合は、本剤の投与を中止する。

②. 〈効能共通〉Grade3の神経障害又はGrade4の神経障害の場合:本剤の投与を中止する。

13). 〈効能共通〉皮膚障害:

①. 〈効能共通〉Grade2の皮膚障害で1週間以上継続した場合、Grade3の皮膚障害の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade4の皮膚障害の場合、皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)又は中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)の場合:本剤の投与を中止する。

14). 〈効能共通〉Infusion reaction:

①. 〈効能共通〉Grade1のInfusion reaction又はGrade2のInfusion reactionの場合:本剤の投与を中断又は投与速度を50%減速する。

②. 〈効能共通〉Grade3のInfusion reaction又はGrade4のInfusion reactionの場合:本剤の投与を中止する。

15). 〈効能共通〉前記以外の副作用(甲状腺機能低下症、1型糖尿病を除く):

①. 〈効能共通〉Grade2の副作用<甲状腺機能低下症・1型糖尿病を除く>又はGrade3の副作用<甲状腺機能低下症・1型糖尿病を除く>の場合:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬する。

②. 〈効能共通〉Grade4の副作用<甲状腺機能低下症・1型糖尿病を除く>の場合:本剤の投与を中止する。

GradeはNCI−CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)v4.03に準じる。

7.2. 〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

7.3. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉併用する他の抗悪性腫瘍剤は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し選択すること〔17.1.2参照〕。

7.4. 〈切除不能な肝細胞癌〉本剤の用法及び用量は「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、併用投与及び単独投与の有効性及び安全性を十分に理解した上で、選択すること〔17.1.4参照〕。

効能・効果

1). 切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法。

2). 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。

3). 進展型小細胞肺癌。

4). 切除不能な肝細胞癌。

5). 治癒切除不能な胆道癌。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.2. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.3. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉臨床試験に組み入れられた患者のEGFR遺伝子変異又はALK融合遺伝子の有無等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.2参照〕。

5.4. 〈進展型小細胞肺癌〉臨床試験に組み入れられた患者の進展型の基準等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3参照〕。

5.5. 〈切除不能な肝細胞癌〉局所療法の適応となる肝細胞癌(経皮的エタノール注入療法の適応となる肝細胞癌、ラジオ波焼灼療法の適応となる肝細胞癌、マイクロ波凝固療法の適応となる肝細胞癌、肝動脈塞栓療法の適応となる肝細胞癌/肝動脈化学塞栓療法の適応となる肝細胞癌、放射線療法の適応となる肝細胞癌等)患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.6. 〈切除不能な肝細胞癌〉臨床試験に組み入れられた患者の肝機能障害の程度等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.4参照〕。

5.7. 〈治癒切除不能な胆道癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)(4.9%)〔1.2、8.2、9.1.2参照〕。

11.1.2. 大腸炎(1.3%)、重度下痢(1.1%):持続する下痢、腹痛、血便等の症状が認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

11.1.3. 甲状腺機能障害:甲状腺機能低下症(8.6%)、甲状腺機能亢進症(6.3%)等の甲状腺機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。

11.1.4. 副腎機能障害:副腎機能不全(1.1%)等の副腎機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。

11.1.5. 下垂体機能障害:下垂体機能低下症(0.3%)等の下垂体機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。

11.1.6. 1型糖尿病:1型糖尿病(0.3%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに至るおそれがあるので、1型糖尿病が疑われた場合には、インスリン製剤を投与する等の適切な処置を行うこと〔8.4参照〕。

11.1.7. 肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎:AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害(7.8%)、肝炎(2.6%)、硬化性胆管炎(頻度不明)があらわれることがある〔8.5参照〕。

11.1.8. 腎障害:尿細管間質性腎炎(頻度不明)、糸球体腎炎(0.1%未満)、腎炎(0.2%)等の腎障害があらわれることがある〔8.6参照〕。

11.1.9. 筋炎(0.3%)、横紋筋融解症(頻度不明)〔8.7参照〕。

11.1.10. 心筋炎(0.2%)〔8.8参照〕。

11.1.11. 重症筋無力症(0.1%):重症筋無力症によるクリーゼのため急速に呼吸不全が進行することがあるので、呼吸状態悪化に十分注意すること〔8.9参照〕。

11.1.12. 免疫性血小板減少性紫斑病(0.1%未満)。

11.1.13. 脳炎(0.1%未満)。

11.1.14. Infusion reaction(1.7%):Infusion reactionが認められた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に確認すること〔8.10参照〕。

11.1.15. 重度皮膚障害:皮膚粘膜眼症候群(Stevens−Johnson症候群)(0.1%未満)等があらわれることがあり、また、類天疱瘡(0.1%)があらわれることがあるので、水疱、びらん等が認められた場合には皮膚科医と相談すること。

11.1.16. 神経障害:末梢性ニューロパチー(1.0%)、多発ニューロパチー(0.1%)、ギラン・バレー症候群(頻度不明)等の神経障害があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 皮膚:(10%以上)発疹、(1〜10%未満)皮膚そう痒症、(1%未満)皮膚炎。

2). 呼吸器:(1〜10%未満)咳嗽・湿性咳嗽、肺炎、(1%未満)発声障害、インフルエンザ、上気道感染。

3). 血液:(1%未満)発熱性好中球減少症。

4). 口腔内:(1%未満)口腔カンジダ、(頻度不明)口腔感染、歯周病(歯肉炎、歯周炎、歯感染)。

5). 内分泌:(1〜10%未満)TSH上昇、TSH低下、(頻度不明)尿崩症。

6). 腎・泌尿器:(1%未満)排尿困難。

7). 消化器:(1〜10%未満)下痢、腹痛、(1%未満)膵炎、消化管穿孔。

8). その他:(1〜10%未満)発熱、筋肉痛、(1%未満)寝汗、末梢性浮腫。

警告

1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

1.2. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行い、また、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.2、9.1.2、11.1.1参照〕。

禁忌

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

重要な基本的注意

8.1. 本剤のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行い、過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること(また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと)。

8.2. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行い、また、必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること〔1.2、9.1.2、11.1.1参照〕。

8.3. 甲状腺機能障害、副腎機能障害及び下垂体機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を行い、患者の状態を十分に観察すること(また、必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること)〔11.1.3−11.1.5参照〕。

8.4. 1型糖尿病があらわれることがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の発現や血糖値上昇に十分注意すること〔11.1.6参照〕。

8.5. 肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.7参照〕。

8.6. 腎障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.8参照〕。

8.7. 筋炎、横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋力低下、筋肉痛、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等の観察を十分に行うこと〔11.1.9参照〕。

8.8. 心筋炎があらわれることがあるので、胸痛、CK上昇、心電図異常等の観察を十分に行うこと〔11.1.10参照〕。

8.9. 重症筋無力症があらわれることがあるので、筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害等の観察を十分に行うこと〔11.1.11参照〕。

8.10. Infusion reactionがあらわれることがあり、2回目以降の本剤投与時にもInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与時には毎回患者の状態を十分に観察すること〔11.1.14参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 自己免疫疾患の合併又は慢性的自己免疫疾患若しくは再発性自己免疫疾患の既往歴のある患者:自己免疫疾患が増悪するおそれがある。

9.1.2. 間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)が発現又は増悪するおそれがある〔1.2、8.2、11.1.1参照〕。

(生殖能を有する者)

妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。

高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の生殖発生毒性試験において、妊娠カニクイザルに妊娠成立時から分娩まで本剤を投与したときに、AUC比較で臨床用量(1500mgを3週間間隔又は4週間間隔で投与)における曝露量の約3.4倍に相当する曝露量で、対照群と比較して妊娠後期における胎仔死亡増加及び新生仔死亡増加が認められた(ヒトIgG1は胎盤を通過することが知られている)、また、PD−1/PD−L1経路は母体胎児間免疫寛容による妊娠維持に重要であり、同種異系妊娠マウスにおいてPD−L1経路の阻害により流産率増加することが報告されている)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られており、また、妊娠カニクイザルを用いた実験において用量依存的な本剤の乳汁への移行が認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 本剤のバイアルは1回使い切りであり、保存剤を含まない。本剤は、無菌的に希釈調製を行うこと。

14.1.2. 調製前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること(本剤は、無色〜微黄色の澄明〜乳白光を呈する液であり、濁り、変色又は不溶性異物が認められる場合は使用しないこと)。

14.1.3. バイアルは振盪せず、激しく攪拌しないこと。

14.1.4. 必要量をバイアルから抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液の点滴バッグに注入し、最終濃度を1〜15mg/mLとする。点滴バッグをゆっくり反転させて混和すること。希釈液を凍結又は振盪させないこと。

14.1.5. 調製後は速やかに使用すること(希釈液をすぐに使用せず保存する場合、2〜8℃では30日以内、室温保存では12時間以内に投与を開始すること)。

14.1.6. 本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。

14.1.7. バイアル中の残液は廃棄すること。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 本剤は、無菌の蛋白結合性の低い0.2又は0.22μmインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製等)を使用して点滴静注すること。

14.2.2. 同一の点滴ラインを使用して他剤<生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を除く>を併用同時投与しないこと。

(取扱い上の注意)

20.1. 凍結を避けて保存すること。

20.2. 外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

国内外の臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。

貯法

(保管上の注意)

2〜8℃で保存。

後発品はありません
薬剤情報

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