薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > ビンカアルカロイド
一般名ビンクリスチン硫酸塩注射用
薬価1988
メーカー日本化薬
最終更新2023年04月改訂(第1版)

用法・用量

〈白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)、悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)及び小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)〉

通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05〜0.1mg/kg、成人0.02〜0.05mg/kgを週1回静脈注射する。

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

〈多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、標準的なビンクリスチン硫酸塩の投与量及び投与方法は、1日量0.4mgを24時間持続静脈注射する。これを4日間連続で行い、その後17〜24日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

〈悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

ビンクリスチン硫酸塩として1.4mg/㎡(体表面積)を、2回静脈注射する。1回目の投与の3週間後に2回目の投与を行い、6〜8週を1クールとし、投与を繰り返す。

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

〈褐色細胞腫〉

シクロホスファミド水和物、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはビンクリスチン硫酸塩として、1日1回1.4mg/㎡(体表面積)を静脈注射し、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 外国では体重10kg以下の小児への初期投与量を0.05mg/kg週1回静脈注射すべきであるとされている。

7.2. ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、中心静脈カテーテルを留置して投与すること〔8.6参照〕。

7.3. 褐色細胞腫患者において、本剤を含む化学療法施行後に高血圧クリーゼを含む血圧変動が報告されていることから、本剤を含む化学療法開始前にα遮断薬等を投与すること。

効能・効果

1). 白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)。

2). 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)。

3). 小児腫瘍(小児神経芽腫、小児ウィルムス腫瘍、小児横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、小児血管肉腫等)。

4). 次の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法:多発性骨髄腫、悪性星細胞腫成分を有する神経膠腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫。

5). 褐色細胞腫。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 末梢神経障害(神経麻痺、筋麻痺、痙攣等)(頻度不明):運動性ニューロパチー(筋麻痺、運動失調、歩行困難、痙攣、言語障害、筋萎縮等)、感覚性ニューロパチー(知覚異常、知覚消失、しびれ感、神経痛、疼痛等)、自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧、尿閉等)、脳神経障害(視神経萎縮、味覚障害、眩暈、眼振等の平衡感覚障害等)、下肢深部反射減弱・下肢深部反射消失等があらわれることがある〔8.1参照〕。

11.1.2. 骨髄抑制:汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(15.0%)、血小板減少(4.8%)、貧血(1.6%)があらわれることがある。なお、致命的感染症(敗血症、肺炎等)や臓器出血等に至った報告がある〔8.2参照〕。

11.1.3. 錯乱、昏睡(いずれも頻度不明):倦怠感、錯乱、昏睡、神経過敏、抑うつ、意識障害等があらわれることがある。

11.1.4. イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。

11.1.5. 消化管出血、消化管穿孔(いずれも頻度不明):消化管出血や消化管穿孔があらわれることがあり、致命的出血や腹膜炎に至ることがある。

11.1.6. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。

11.1.7. アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがある。

11.1.8. 心筋虚血(頻度不明):心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告がある。

11.1.9. 脳梗塞(頻度不明)。

11.1.10. 難聴(頻度不明):一過性難聴又は永続的難聴があらわれることがある。

11.1.11. 呼吸困難及び気管支痙攣(頻度不明)。

11.1.12. 間質性肺炎(頻度不明)。

11.1.13. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 末梢神経障害:(0.1〜5%未満)排尿困難、(頻度不明)垂足、背痛、複視。

2). 血液:(0.1〜5%未満)出血傾向、(頻度不明)顆粒球減少。

3). 消化器:(5%以上)悪心・嘔吐、腹痛、便秘、(0.1〜5%未満)食欲不振、下痢、(頻度不明)口内炎。

4). 肝臓:(頻度不明)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇等)。

5). 過敏症:(頻度不明)発疹。

6). 皮膚:(5%以上)脱毛、(0.1〜5%未満)皮膚落屑、(頻度不明)発汗亢進。

7). 眼:(頻度不明)一過性皮質盲。

8). 循環器:(頻度不明)低血圧、高血圧。

9). 泌尿器:(頻度不明)多尿。

10). その他:(頻度不明)発熱、体重減少。

警告

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔8.1参照〕。

2.3. 髄腔内には投与しないこと〔14.2.2参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の用量規制因子は神経毒性であり、用量依存的に重篤な末梢神経障害及び重篤な筋障害が起こることがあるので、使用に際しては、臨床症状、患者の状態を十分に観察し、また臨床検査(末梢神経伝達速度検査、握力測定、振動覚を含む知覚検査など)を定期的に行う。

また、シャルコー・マリー・トゥース病の罹患歴、家族歴の調査等を行い、脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病が疑われる場合には本剤の投与を行わないこと〔2.2、11.1.1参照〕。

8.2. 骨髄抑制作用に起因する重篤な副作用(致命的感染症及び致命的出血)が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

また、骨髄抑制のある患者、感染症を合併している患者、長期間使用患者等のリスク患者では、副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、適切な治療設備(無菌室、簡易無菌室等)、G−CSF製剤、また抗生剤等の使用に関しても考慮すること〔11.1.2参照〕。

8.3. 高度な骨髄抑制による感染症の発現又は感染症増悪・出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること。

8.4. 治療時に腫瘍が崩壊する腫瘍崩壊症候群(腹部痛、血尿、高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、腎不全)を伴うことがあり、特に治療開始後3〜4週間は、血清尿酸値上昇を避けるため補液による尿量確保や尿のアルカリ化を促すとともに、頻繁に尿酸値や尿量を測定するなど、患者の状態を十分に観察し注意すること。

8.5. 本剤は脳血液関門を十分に通過しないと考えられるので、白血病性中枢神経障害の合併が認められる症例に使用する場合には、他の療法を併用するなど適切な処置を行うこと。

8.6. ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、直接末梢静脈に投与すると薬液の漏出による組織障害を起こすおそれがあるので、中心静脈カテーテルを留置して中心静脈より投与し、また、血管内にカテーテルを留置することによる感染症の合併に十分注意すること〔7.2参照〕。

8.7. 悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(プロカルバジン塩酸塩、ニムスチン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩)においては、併用薬剤の電子添文及び関連文献(「抗がん剤報告書:プロカルバジン塩酸塩(脳腫瘍)」、「抗がん剤報告書:ビンクリスチン硫酸塩(脳腫瘍)」等)を熟読すること。

8.8. 褐色細胞腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)を熟読すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 骨髄抑制のある患者:本剤には骨髄抑制作用がある。

9.1.2. 感染症を合併している患者:本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。

9.1.3. 神経・筋疾患の既往歴のある患者:末梢神経障害及び筋障害が強くあらわれることがある。

9.1.4. 虚血性心疾患のある患者:心筋虚血症状が強くあらわれることがある。

9.1.5. 水痘患者:致命的全身障害があらわれることがある。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:腎機能障害が強くあらわれることがある。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。

(生殖能を有する者)

小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること(本剤を含む多剤併用化学療法を受けた患者で、非可逆的な性腺障害(非可逆的な精子形成不全(非可逆的な無精子症等)、非可逆的な無月経等)が認められたとの報告がある)。

相互作用

本剤の代謝は肝チトクロームP−450 3Aが関与するとされている。

10.2. 併用注意:

1). アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ミコナゾール等)[本剤の筋神経系の副作用が増強することがある(アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP−450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある)]。

2). フェニトイン[フェニトインの血中濃度が低下し痙攣が増悪することがあるとの報告があるので、フェニトインの投与量を調節することが望ましい(フェニトインの吸収を減少させる、あるいは代謝を亢進させるとの報告がある)]。

3). 神経毒性を有する薬剤(白金含有の抗悪性腫瘍剤等)[神経系副作用が増強することがあり、白金含有の抗悪性腫瘍剤の場合聴覚障害<難聴>が増強する可能性がある(神経毒性を有する)]。

4). L−アスパラギナーゼ[神経系及び造血器系の障害が増強する可能性があるので、毒性を最小にとどめるためにL−アスパラギナーゼ投与の12〜24時間前に本剤を投与することが望ましい(本剤投与の前にL−アスパラギナーゼを投与すると本剤の肝クリアランスを低下させる可能性がある)]。

5). マイトマイシンC[呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている(機序不明)]。

6). 他の抗悪性腫瘍剤:

①. 他の抗悪性腫瘍剤[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること(骨髄抑制作用を有する)]。

②. 他の抗悪性腫瘍剤[心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等が発現したとの報告がある(機序不明)]。

③. 他の抗悪性腫瘍剤[肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告がある(機序不明)]。

7). 放射線照射:

①. 放射線照射[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること(骨髄抑制作用を有する)]。

②. 放射線照射[肝を含む病巣への放射線照射を施行中の患者に、本剤を併用すると肝毒性が増強するとの報告がある(機序不明)]。

高齢者

用量並びに投与間隔に留意すること(生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物実験で催奇形性が報告されている)。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい。

小児等

副作用の発現に特に注意すること。

過量投与

13.1. 症状

本剤の過量投与により、重篤な結果又は致死的結果をもたらすとの報告がある。

13.2. 処置

13.2.1. 過量投与時、支持療法として次の処置を考慮すること:(1)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の予防(水分摂取の制限及びヘンレ係蹄や遠位尿細管に作用する利尿剤の投与)、(2)抗痙攣剤の投与、(3)イレウスを予防するための浣腸及び下剤の使用(症例によっては腸管減圧を行う)、(4)循環器系機能のモニタリング、(5)血球検査を毎日行い、必要であれば輸血を行う。

13.2.2. ホリナート(ロイコボリン)を本剤の致死量が投与されたマウスに使用したところ有効であったとの報告がある。また、ホリナートがヒトにおいても本剤の過量投与の治療に有益であったとする症例報告もあり、ホリナート100mgを3時間ごとに8回投与し、その後は6時間ごとに少なくとも8回投与(ホリナートの投与は支持療法と併せて行う)することが推奨されている。

13.2.3. 過量投与時、本剤は透析液中にほとんど流入せず体外除去のための血液透析は有効ではない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 本剤1バイアルに通常、注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液10mLを加えて溶解する。

14.1.2. 眼には接触させないこと(眼に入った場合は直ちに水で洗うこと)。眼に入った場合重篤な眼刺激や角膜潰瘍が起こることがある。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 静脈内注射にのみ使用すること。

14.2.2. 髄腔内には投与しないこと(本剤を誤って髄腔内に投与し、死亡したとの報告があるため、本剤を誤って髄腔内投与した場合は、死に至る麻痺の進行を阻止するよう直ちに救命措置を実施すること)〔2.3参照〕。

14.2.3. 1回投与量を計算の上、次のいずれか適当な方法により投与する:1)静脈内に補液中の管の途中から、1分程度をかけて緩徐に注入する(点滴容器内で他の薬剤と混合してはならない)、2)直接静脈内に、1分程度をかけて緩徐に注入する、3)中心静脈内に、カテーテルを留置して持続注入する。

14.2.4. 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死・炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与し、血管外漏出が疑われるときは直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(また、残量は他の静脈から投与すること)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等)が発生したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

冷所保存。

オンコビン注射用1mg
後発品はありません
オンコビン注射用1mg
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オンコビン注射用1mg

抗悪性腫瘍薬 > ビンカアルカロイド
2023年04月改訂(第1版)
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後発品
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一般名ビンクリスチン硫酸塩注射用
薬価1988
メーカー日本化薬
最終更新2023年04月改訂(第1版)

用法・用量

〈白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)、悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)及び小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)〉

通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05〜0.1mg/kg、成人0.02〜0.05mg/kgを週1回静脈注射する。

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

〈多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、標準的なビンクリスチン硫酸塩の投与量及び投与方法は、1日量0.4mgを24時間持続静脈注射する。これを4日間連続で行い、その後17〜24日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

〈悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉

ビンクリスチン硫酸塩として1.4mg/㎡(体表面積)を、2回静脈注射する。1回目の投与の3週間後に2回目の投与を行い、6〜8週を1クールとし、投与を繰り返す。

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

〈褐色細胞腫〉

シクロホスファミド水和物、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはビンクリスチン硫酸塩として、1日1回1.4mg/㎡(体表面積)を静脈注射し、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 外国では体重10kg以下の小児への初期投与量を0.05mg/kg週1回静脈注射すべきであるとされている。

7.2. ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、中心静脈カテーテルを留置して投与すること〔8.6参照〕。

7.3. 褐色細胞腫患者において、本剤を含む化学療法施行後に高血圧クリーゼを含む血圧変動が報告されていることから、本剤を含む化学療法開始前にα遮断薬等を投与すること。

効能・効果

1). 白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)。

2). 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)。

3). 小児腫瘍(小児神経芽腫、小児ウィルムス腫瘍、小児横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、小児血管肉腫等)。

4). 次の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法:多発性骨髄腫、悪性星細胞腫成分を有する神経膠腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫。

5). 褐色細胞腫。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 末梢神経障害(神経麻痺、筋麻痺、痙攣等)(頻度不明):運動性ニューロパチー(筋麻痺、運動失調、歩行困難、痙攣、言語障害、筋萎縮等)、感覚性ニューロパチー(知覚異常、知覚消失、しびれ感、神経痛、疼痛等)、自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧、尿閉等)、脳神経障害(視神経萎縮、味覚障害、眩暈、眼振等の平衡感覚障害等)、下肢深部反射減弱・下肢深部反射消失等があらわれることがある〔8.1参照〕。

11.1.2. 骨髄抑制:汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(15.0%)、血小板減少(4.8%)、貧血(1.6%)があらわれることがある。なお、致命的感染症(敗血症、肺炎等)や臓器出血等に至った報告がある〔8.2参照〕。

11.1.3. 錯乱、昏睡(いずれも頻度不明):倦怠感、錯乱、昏睡、神経過敏、抑うつ、意識障害等があらわれることがある。

11.1.4. イレウス(頻度不明):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。

11.1.5. 消化管出血、消化管穿孔(いずれも頻度不明):消化管出血や消化管穿孔があらわれることがあり、致命的出血や腹膜炎に至ることがある。

11.1.6. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。

11.1.7. アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがある。

11.1.8. 心筋虚血(頻度不明):心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告がある。

11.1.9. 脳梗塞(頻度不明)。

11.1.10. 難聴(頻度不明):一過性難聴又は永続的難聴があらわれることがある。

11.1.11. 呼吸困難及び気管支痙攣(頻度不明)。

11.1.12. 間質性肺炎(頻度不明)。

11.1.13. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 末梢神経障害:(0.1〜5%未満)排尿困難、(頻度不明)垂足、背痛、複視。

2). 血液:(0.1〜5%未満)出血傾向、(頻度不明)顆粒球減少。

3). 消化器:(5%以上)悪心・嘔吐、腹痛、便秘、(0.1〜5%未満)食欲不振、下痢、(頻度不明)口内炎。

4). 肝臓:(頻度不明)肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ−GTP上昇、Al−P上昇等)。

5). 過敏症:(頻度不明)発疹。

6). 皮膚:(5%以上)脱毛、(0.1〜5%未満)皮膚落屑、(頻度不明)発汗亢進。

7). 眼:(頻度不明)一過性皮質盲。

8). 循環器:(頻度不明)低血圧、高血圧。

9). 泌尿器:(頻度不明)多尿。

10). その他:(頻度不明)発熱、体重減少。

警告

本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔8.1参照〕。

2.3. 髄腔内には投与しないこと〔14.2.2参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 本剤の用量規制因子は神経毒性であり、用量依存的に重篤な末梢神経障害及び重篤な筋障害が起こることがあるので、使用に際しては、臨床症状、患者の状態を十分に観察し、また臨床検査(末梢神経伝達速度検査、握力測定、振動覚を含む知覚検査など)を定期的に行う。

また、シャルコー・マリー・トゥース病の罹患歴、家族歴の調査等を行い、脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病が疑われる場合には本剤の投与を行わないこと〔2.2、11.1.1参照〕。

8.2. 骨髄抑制作用に起因する重篤な副作用(致命的感染症及び致命的出血)が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

また、骨髄抑制のある患者、感染症を合併している患者、長期間使用患者等のリスク患者では、副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、適切な治療設備(無菌室、簡易無菌室等)、G−CSF製剤、また抗生剤等の使用に関しても考慮すること〔11.1.2参照〕。

8.3. 高度な骨髄抑制による感染症の発現又は感染症増悪・出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること。

8.4. 治療時に腫瘍が崩壊する腫瘍崩壊症候群(腹部痛、血尿、高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、腎不全)を伴うことがあり、特に治療開始後3〜4週間は、血清尿酸値上昇を避けるため補液による尿量確保や尿のアルカリ化を促すとともに、頻繁に尿酸値や尿量を測定するなど、患者の状態を十分に観察し注意すること。

8.5. 本剤は脳血液関門を十分に通過しないと考えられるので、白血病性中枢神経障害の合併が認められる症例に使用する場合には、他の療法を併用するなど適切な処置を行うこと。

8.6. ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、直接末梢静脈に投与すると薬液の漏出による組織障害を起こすおそれがあるので、中心静脈カテーテルを留置して中心静脈より投与し、また、血管内にカテーテルを留置することによる感染症の合併に十分注意すること〔7.2参照〕。

8.7. 悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(プロカルバジン塩酸塩、ニムスチン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩)においては、併用薬剤の電子添文及び関連文献(「抗がん剤報告書:プロカルバジン塩酸塩(脳腫瘍)」、「抗がん剤報告書:ビンクリスチン硫酸塩(脳腫瘍)」等)を熟読すること。

8.8. 褐色細胞腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」等)を熟読すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 骨髄抑制のある患者:本剤には骨髄抑制作用がある。

9.1.2. 感染症を合併している患者:本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。

9.1.3. 神経・筋疾患の既往歴のある患者:末梢神経障害及び筋障害が強くあらわれることがある。

9.1.4. 虚血性心疾患のある患者:心筋虚血症状が強くあらわれることがある。

9.1.5. 水痘患者:致命的全身障害があらわれることがある。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:腎機能障害が強くあらわれることがある。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。

(生殖能を有する者)

小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること(本剤を含む多剤併用化学療法を受けた患者で、非可逆的な性腺障害(非可逆的な精子形成不全(非可逆的な無精子症等)、非可逆的な無月経等)が認められたとの報告がある)。

相互作用

本剤の代謝は肝チトクロームP−450 3Aが関与するとされている。

10.2. 併用注意:

1). アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ミコナゾール等)[本剤の筋神経系の副作用が増強することがある(アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP−450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある)]。

2). フェニトイン[フェニトインの血中濃度が低下し痙攣が増悪することがあるとの報告があるので、フェニトインの投与量を調節することが望ましい(フェニトインの吸収を減少させる、あるいは代謝を亢進させるとの報告がある)]。

3). 神経毒性を有する薬剤(白金含有の抗悪性腫瘍剤等)[神経系副作用が増強することがあり、白金含有の抗悪性腫瘍剤の場合聴覚障害<難聴>が増強する可能性がある(神経毒性を有する)]。

4). L−アスパラギナーゼ[神経系及び造血器系の障害が増強する可能性があるので、毒性を最小にとどめるためにL−アスパラギナーゼ投与の12〜24時間前に本剤を投与することが望ましい(本剤投与の前にL−アスパラギナーゼを投与すると本剤の肝クリアランスを低下させる可能性がある)]。

5). マイトマイシンC[呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている(機序不明)]。

6). 他の抗悪性腫瘍剤:

①. 他の抗悪性腫瘍剤[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること(骨髄抑制作用を有する)]。

②. 他の抗悪性腫瘍剤[心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等が発現したとの報告がある(機序不明)]。

③. 他の抗悪性腫瘍剤[肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告がある(機序不明)]。

7). 放射線照射:

①. 放射線照射[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること(骨髄抑制作用を有する)]。

②. 放射線照射[肝を含む病巣への放射線照射を施行中の患者に、本剤を併用すると肝毒性が増強するとの報告がある(機序不明)]。

高齢者

用量並びに投与間隔に留意すること(生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物実験で催奇形性が報告されている)。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい。

小児等

副作用の発現に特に注意すること。

過量投与

13.1. 症状

本剤の過量投与により、重篤な結果又は致死的結果をもたらすとの報告がある。

13.2. 処置

13.2.1. 過量投与時、支持療法として次の処置を考慮すること:(1)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の予防(水分摂取の制限及びヘンレ係蹄や遠位尿細管に作用する利尿剤の投与)、(2)抗痙攣剤の投与、(3)イレウスを予防するための浣腸及び下剤の使用(症例によっては腸管減圧を行う)、(4)循環器系機能のモニタリング、(5)血球検査を毎日行い、必要であれば輸血を行う。

13.2.2. ホリナート(ロイコボリン)を本剤の致死量が投与されたマウスに使用したところ有効であったとの報告がある。また、ホリナートがヒトにおいても本剤の過量投与の治療に有益であったとする症例報告もあり、ホリナート100mgを3時間ごとに8回投与し、その後は6時間ごとに少なくとも8回投与(ホリナートの投与は支持療法と併せて行う)することが推奨されている。

13.2.3. 過量投与時、本剤は透析液中にほとんど流入せず体外除去のための血液透析は有効ではない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.1. 本剤1バイアルに通常、注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液10mLを加えて溶解する。

14.1.2. 眼には接触させないこと(眼に入った場合は直ちに水で洗うこと)。眼に入った場合重篤な眼刺激や角膜潰瘍が起こることがある。

14.2. 薬剤投与時の注意

14.2.1. 静脈内注射にのみ使用すること。

14.2.2. 髄腔内には投与しないこと(本剤を誤って髄腔内に投与し、死亡したとの報告があるため、本剤を誤って髄腔内投与した場合は、死に至る麻痺の進行を阻止するよう直ちに救命措置を実施すること)〔2.3参照〕。

14.2.3. 1回投与量を計算の上、次のいずれか適当な方法により投与する:1)静脈内に補液中の管の途中から、1分程度をかけて緩徐に注入する(点滴容器内で他の薬剤と混合してはならない)、2)直接静脈内に、1分程度をかけて緩徐に注入する、3)中心静脈内に、カテーテルを留置して持続注入する。

14.2.4. 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死・炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与し、血管外漏出が疑われるときは直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(また、残量は他の静脈から投与すること)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等)が発生したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

冷所保存。

後発品はありません
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