薬剤情報
後発品
薬効分類抗サイトメガロウイルス薬
一般名バルガンシクロビル塩酸塩シロップ用
薬価486.5
メーカー田辺三菱製薬
最終更新2023年03月改訂(第3版)

用法・用量

〈サイトメガロウイルス感染症〉

初期治療

通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日2回、食後に経口投与する。

維持治療

通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日1回、食後に経口投与する。

〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日1回、食後に経口投与する。

通常、小児にはバルガンシクロビルとして次式により算出した投与量を1日1回、食後に経口投与する。ただし、1日用量として900mgを超えないこと。推定糸球体ろ過量が150より高値の場合は150を用いること。

投与量(mg)=7×体表面積(㎡)×推定糸球体ろ過量(mL/min/1.73㎡)。

〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉

通常、新生児及び乳児にはバルガンシクロビルとして1回16mg/kgを1日2回、経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉本剤投与中、好中球減少<500/mm3未満>、血小板減少<25000/mm3未満>又はヘモグロビン減少<8g/dL未満>等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少<500〜1000/mm3>及び血小板減少<25000〜50000/mm3>の場合は減量すること〔1.1、2.1、8.3、11.1.1参照〕。

7.2. 〈効能共通〉腎障害のある患者、腎機能低下している患者では、消失半減期が延長されるので、本剤投与にあたっては血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスに注意すること(参考までに、投与量の調整に関し、成人における外国での標準的な本剤の減量の目安を次に示す)〔9.2腎機能障害患者、9.7.4、9.8高齢者の項、16.6.1参照〕:1)クレアチニンクリアランス≧60mL/min;初期治療1回900mgを1日2回、維持治療、発症抑制1回900mgを1日1回、2)クレアチニンクリアランス40〜59mL/min;初期治療1回450mgを1日2回、維持治療、発症抑制1回450mgを1日1回、3)クレアチニンクリアランス25〜39mL/min;初期治療1回450mgを1日1回、維持治療、発症抑制1回225mgを1日1回、4)クレアチニンクリアランス10〜24mL/min;初期治療1回225mgを1日1回、維持治療、発症抑制1回125mgを1日1回、5)クレアチニンクリアランス<10mL/min;初期治療1回200mgを週3回透析後、維持治療、発症抑制1回100mgを週3回透析後。

推定クレアチニンクリアランスは血清クレアチニン値を用い次の式で算出すること。

男性の場合=[(140−年齢[年])×(体重[kg])]÷[(72)×(血清クレアチニン値[mg/dL])]。

女性の場合=0.85×男性の値。

7.3. 〈サイトメガロウイルス感染症〉初期治療について、21日間を超える本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、21日間を超える投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに限ること〔17.1.1参照〕。

7.4. 〈サイトメガロウイルス感染症〉サイトメガロウイルス血症の陰性化を確認した場合には、初期治療を終了すること。

7.5. 〈サイトメガロウイルス感染症〉維持治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行い、不必要な長期投与は避けること。

7.6. 〈サイトメガロウイルス感染症〉維持治療中に症状が悪化した場合は、初期治療に戻る等考慮すること。

7.7. 〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉移植後早期より投与を開始し、腎移植患者では200日まで、腎臓以外の臓器移植患者では100日までの投与を目安とすること。

7.8. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉投与期間が6ヵ月を超えた場合の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、非臨床試験において発がん性が報告されている点を考慮し、本剤の投与期間は6ヵ月を目安とすること〔15.2.1、15.2.2、17.1.3参照〕。

効能・効果

1). 次記におけるサイトメガロウイルス感染症:①後天性免疫不全症候群、②臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、③悪性腫瘍。

2). 臓器移植<造血幹細胞移植を除く>におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制。

3). 症候性先天性サイトメガロウイルス感染症。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈効能共通〉消化管障害等が合併した患者に本剤を投与する際には、吸収が低下するおそれがあるため、本剤の使用の適否については十分検討すること。

5.2. 〈サイトメガロウイルス感染症〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、サイトメガロウイルス感染が確認された患者において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

5.3. 〈サイトメガロウイルス感染症〉後天性免疫不全症候群患者においては、ヘモグロビン濃度8g/dL未満の患者における本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないことから、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を行うこと。

5.4. 〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、発症リスクの高い患者(サイトメガロウイルス抗体ドナー陽性かつレシピエント陰性等)において治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

5.5. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、神経学的後遺症リスクの高い中枢神経病変(難聴や網脈絡膜炎を含む)や治療が必要な臨床検査値異常等を有する患者にのみ投与すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 白血球減少(6.4%)、骨髄抑制、汎血球減少、再生不良性貧血、好中球減少、貧血、血小板減少(いずれも5%未満):投与中に重篤な白血球減少、重篤な好中球減少、重篤な貧血、重篤な血小板減少を伴う場合には、造血促進因子を投与するか又は本剤の投与を中止すること〔1.1、2.1、7.1、8.3、9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. 血小板減少に伴う重篤な出血(消化管出血を含む)(5%未満)〔1.1、2.1、8.3、9.1.2参照〕。

11.1.3. 腎不全(頻度不明)〔8.4参照〕。

11.1.4. 膵炎(5%未満)。

11.1.5. 深在性血栓性静脈炎(頻度不明)。

11.1.6. 痙攣、精神病性障害、幻覚、錯乱、激越(いずれも5%未満)、昏睡(頻度不明)。

11.1.7. 敗血症等の骨髄障害及び免疫系障害に関連する感染症(5%未満)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 血液:(頻度不明)低色素性貧血、好酸球増多、白血球増加症、リンパ節症(lymphadenopathy)、脾腫。

2). 全身症状:(5%未満)発熱、浮腫、(頻度不明)悪寒、疲労、無力症、倦怠感、脱水、悪液質、下肢浮腫、疼痛、粘膜障害、胸痛、腹水、腹部腫脹。

3). 循環器:(頻度不明)不整脈、高血圧、低血圧、片頭痛、静脈炎、頻脈、血管拡張。

4). 呼吸器:(5%未満)咳嗽、(頻度不明)湿性咳嗽、鼻咽頭炎、上気道感染、呼吸困難、肺炎、気管支炎、ニューモシスティスカリニ肺炎、胸水、副鼻腔うっ血。

5). 過敏症:(5%未満)発疹、そう痒、(頻度不明)光線過敏性反応、蕁麻疹。

6). 消化器:(5%未満)下痢、悪心、嘔吐、上腹部痛、(頻度不明)腹痛、口腔カンジダ症、アフタ性口内炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害、舌障害、食道炎、食欲不振、食欲減退、おくび、消化不良、口渇、胃炎、胃腸障害、腹部膨満、鼓腸放屁、便秘、便失禁。

7). 精神神経系:(頻度不明)頭痛、不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、鎮静、思考異常、異常感覚、健忘症、緊張亢進、歩行異常、不安、多幸症、情緒不安、運動失調、運動過多、振戦、せん妄、性欲減退、ミオクロヌス、躁病反応、うつ病、神経質、精神病。

8). 皮膚:(頻度不明)皮膚炎、寝汗、脱毛、皮膚乾燥、斑状丘疹、ざ瘡、発汗、剥脱性皮膚炎。

9). 腎臓:(頻度不明)頻尿、尿路感染、血尿。

10). 肝臓:(5%未満)AST上昇・ALT上昇・ALP上昇・LDH上昇等の肝機能障害、黄疸、(頻度不明)肝炎、胆管炎。

11). 筋・骨格系:(5%未満)CK上昇、(頻度不明)関節痛、両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛。

12). 感覚器:(5%未満)副鼻腔炎、(頻度不明)弱視、網膜剥離、網膜炎、失明、眼痛、結膜炎、緑内障、霧視、眼出血、視覚障害、硝子体混濁、味覚倒錯、耳痛、耳鳴、難聴。

13). その他:(5%未満)糖尿病、(頻度不明)体重減少、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カルシウム血症、低カリウム血症、低蛋白血症、低ナトリウム血症、血中マグネシウム減少、蜂巣炎。

副作用の発現頻度は、有害事象に基づく発現頻度及び製造販売後調査の結果を含む。

頻度不明の副作用は、本剤の外国の安全性情報又はガンシクロビル点滴静注製剤の国内の安全性情報に基づく(いずれの安全性情報も有害事象及び製造販売後調査の結果を含む)。

警告

1.1. 本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により、重篤な白血球減少、重篤な好中球減少、重篤な貧血、重篤な血小板減少、重篤な汎血球減少、重篤な再生不良性貧血及び重篤な骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること〔7.1、8.3、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

1.2. 本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、一時的精子形成機能障害又は不可逆的精子形成機能障害を起こすこと及び妊孕性低下が報告されていること、また、ヒトにおいて精子形成機能障害を起こすおそれがあることを患者に説明し慎重に投与すること〔15.1、15.2.3参照〕。

1.3. 本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、催奇形性、遺伝毒性及び発がん性のあることが報告されているので、本剤も催奇形性、遺伝毒性及び発がん性の作用があると考えられることを患者に説明し慎重に投与すること〔9.4.1、9.4.2、9.5妊婦、9.6授乳婦の項、9.7.1、15.2.1、15.2.2参照〕。

禁忌

2.1. 好中球数500/mm3未満又は血小板数25000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者[本剤の投与により重篤な好中球減少及び重篤な血小板減少が認められている]〔7.1、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。

2.2. バルガンシクロビル、ガンシクロビル又は本剤の成分、バルガンシクロビル、ガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者。

2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス感染症を完治させる薬剤でないことを念頭におき、本剤の使用にあたっては患者の精神面も含めて治療の要否を慎重に考えること。また、重大な副作用が発現するおそれのあること及びその内容を患者によく説明し同意を得た後投与すること。

8.2. 〈効能共通〉本剤は、吸収後、速やかに活性代謝物のガンシクロビルに変換される。本剤を投与する場合には、ガンシクロビル点滴静注製剤よりもAUCが高くなることがあるので、ガンシクロビル点滴静注製剤から本剤に変更する場合は、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること〔16.1.2参照〕。

8.3. 〈効能共通〉本剤の投与中は、血球数、血小板数等の血液学的検査を行うこと〔1.1、2.1、7.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

8.4. 〈効能共通〉本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により腎不全が発現することが報告されているので、血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスを慎重に観察すること〔11.1.3参照〕。

8.5. 〈効能共通〉本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。

8.6. 〈サイトメガロウイルス感染症〉サイトメガロウイルス網膜炎の投与期間については、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。

8.7. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉本剤を使用する際には、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 薬剤等による白血球減少の既往歴のある患者:本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている〔1.1、8.3、11.1.1参照〕。

9.1.2. 血小板減少<25000/mm3以上100000/mm3未満>のある患者:本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている〔1.1、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。

9.1.3. 精神病、思考異常の既往歴のある患者、薬剤による精神病反応又は薬剤による神経毒性を呈したことのある患者:精神神経系障害を悪化させるおそれがある。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある〔7.2、9.7.4、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるおそれがある。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性が使用する場合、投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること〔1.3、9.5妊婦の項、15.2.1参照〕。

9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性が使用する場合、投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行うよう指導すること(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルで、マウスを用いた小核試験等において遺伝毒性が認められている)〔1.3、15.2.1参照〕。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). ジドブジン[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりジドブジンのAUCが17%増加したとの報告があり、また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告があり、ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる)]。

2). ジダノシン[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日の経口投与でジダノシンのAUCが84%増加、ガンシクロビル6g/日の経口投与でジダノシンのAUCが124%増加、ガンシクロビル5mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%増加、ガンシクロビル10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが67%増加)、併用により、本剤の活性代謝物のガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること(生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる)]。

3). イミペネム・シラスタチンナトリウム[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により痙攣が報告されている(機序は不明である)]。

4). 骨髄抑制作用のある薬剤及び腎機能障害作用のある薬剤(ジアフェニルスルホン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩、ヒドロキシカルバミド、フルシトシン、アムホテリシンB、ペンタミジンイセチオン酸塩、核酸誘導体等)[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により毒性が増強するおそれがある(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる)]。

5). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとトリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある(しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった)、また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある(機序は不明である)]。

6). シクロスポリン[シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある(機序は不明である)]。

7). プロベネシド[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下しその結果曝露量が40%上昇したとの報告がある(腎尿細管での分泌が競合する)]。

8). ミコフェノール酸 モフェチル[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりガンシクロビルの血漿中濃度が上昇及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物のグルクロン酸抱合体血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられ、腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること(腎尿細管での分泌が競合する)]。

9). 免疫抑制剤(プレドニゾロン、タクロリムス)[本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる)]。

高齢者

腎機能障害例への投与を参考にし、用量を調節するなど、慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるが、腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある)〔7.2参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されている)〔1.3、2.3、9.4.1、15.2.1、15.2.4参照〕。

(授乳婦)

投与期間中は授乳しないことが望ましい(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験(ラット)において、乳汁への移行が認められており、また、ガンシクロビルは動物実験(マウス)において発がん性が認められている)〔1.3、15.2.2参照〕。

小児等

9.7.1. 〈効能共通〉長期投与による発がん性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔1.3、15.2.1、15.2.2参照〕。

9.7.2. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症以外の効能〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症以外の低出生体重児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.7.3. 〈サイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉小児等のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制の場合、副作用の発現状況等を考慮し、必要に応じて投与量を調節すること。

9.7.4. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症で腎機能障害を有する小児等患者には、本剤投与の適否を十分に検討の上、本剤を使用する場合には、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるため、これらの患者では、腎機能が正常な患者に比べて血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔7.2、9.2腎機能障害患者の項、16.6.1参照〕。

過量投与

13.1. 症状

推奨用量の少なくとも10倍以上の用量を数日間投与された腎障害(クレアチニンクリアランス低下)のある患者で、致命的骨髄抑制(骨髄無形成)がみられた例がある。また、本剤を過量投与した場合、腎毒性が増強される可能性がある。

13.2. 処置

過量投与時、血中濃度を下げるために血液透析及び水分補給を行うことが勧められる。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.2. 本剤は催奇形性及び発がん性のおそれがあるので、皮膚や粘膜に直接触れないようにし、もし、触れた場合は石鹸と水で十分に洗浄し、眼に入った場合も水で十分に洗浄すること。

14.1.3. 溶液を調製してから患者へ交付すること。

14.1.4. 溶液を調製する際は、キャップを外した後、91mLの精製水を瓶に添加し、キャップで施栓する。瓶内の粉末が溶解するまで、よく振り混ぜる。

14.2. 薬剤交付時の注意

14.2.1. 患者又は保護者等に対し次の点に注意するよう指導すること。

・ 本剤は催奇形性及び発がん性のおそれがあるので、皮膚や粘膜に直接触れないようにし、もし、触れた場合は石鹸と水で十分に洗浄し、眼に入った場合も水で十分に洗浄すること。

・ 調製した溶液は、凍結を避けて冷蔵庫(2〜8℃)に保存し、調製後49日以内に使用すること。

(取扱い上の注意)

20.1. 容器のキャップの開け方

キャップを瓶本体に強く押しつけたまま(カチカチ音がしない状態まで)左に回して開けること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外で実施された非無作為化非盲検の市販後臨床試験において、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制のためバルガンシクロビルを最長200日間投与された成人の腎移植患者(24例)では、非投与患者(14例)と比較して、精子濃度低下したとの報告がある(ただし、バルガンシクロビル投与終了6ヵ月後には、バルガンシクロビル投与患者(20例)の精子濃度は非投与患者(10例)と同程度まで回復した)〔1.2、15.2.3参照〕。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 遺伝毒性:バルガンシクロビル及びその活性代謝物であるガンシクロビルにはマウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核試験で遺伝毒性が認められ、さらにガンシクロビルにはヒト細胞を用いた姉妹染色体交換試験で遺伝毒性が認められた。これらの結果は、マウスを用いた試験でガンシクロビルにがん原性が認められたことと符合する。バルガンシクロビルもがん原性があると考えられる〔1.3、7.8、9.4.1、9.4.2、9.5妊婦の項、9.7.1参照〕。

15.2.2. がん原性:バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルで、マウスに18ヵ月経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の投与量で雄の包皮腺腫瘍及びハーダー腺腫瘍、雌の生殖器腫瘍及び肝臓腫瘍、雌雄の前胃腫瘍等の腫瘍の発生が増加したとの報告がある〔1.3、7.8、9.6授乳婦の項、9.7.1参照〕。

15.2.3. 精子形成能:動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは治療濃度域以下の曝露で精子形成機能障害を起こすことが認められているため、バルガンシクロビルにおいても精子形成機能障害が考えられる〔1.2、15.1参照〕。

15.2.4. 胎盤通過性:ex vivoヒト胎盤モデルにおいてバルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは胎盤透過することが報告されている。ガンシクロビル濃度が1〜10μg/mLにおいて、ガンシクロビルの透過に飽和が認められなかったことから、胎盤通過のメカニズムは主として単純拡散によるものと考えられる〔9.5妊婦の項参照〕。

15.2.5. ヒト骨髄細胞の増殖に対する作用:バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルのヒト骨髄細胞の増殖に対する作用をin vitroで検討した結果、ガンシクロビルの骨髄毒性は10μmol/L以上であらわれており、アシクロビル(ID50≧100μmol/L)より強く、ビダラビン、トリフロロチミジン(ID50=1〜10μmol/L)より弱かった。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

バリキサドライシロップ5000mg
後発品はありません
バリキサドライシロップ5000mg
バリキサドライシロップ5000mg

バリキサドライシロップ5000mg

抗サイトメガロウイルス薬
2023年03月改訂(第3版)
薬剤情報
後発品
薬効分類抗サイトメガロウイルス薬
一般名バルガンシクロビル塩酸塩シロップ用
薬価486.5
メーカー田辺三菱製薬
最終更新2023年03月改訂(第3版)

用法・用量

〈サイトメガロウイルス感染症〉

初期治療

通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日2回、食後に経口投与する。

維持治療

通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日1回、食後に経口投与する。

〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉通常、成人にはバルガンシクロビルとして1回900mgを1日1回、食後に経口投与する。

通常、小児にはバルガンシクロビルとして次式により算出した投与量を1日1回、食後に経口投与する。ただし、1日用量として900mgを超えないこと。推定糸球体ろ過量が150より高値の場合は150を用いること。

投与量(mg)=7×体表面積(㎡)×推定糸球体ろ過量(mL/min/1.73㎡)。

〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉

通常、新生児及び乳児にはバルガンシクロビルとして1回16mg/kgを1日2回、経口投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉本剤投与中、好中球減少<500/mm3未満>、血小板減少<25000/mm3未満>又はヘモグロビン減少<8g/dL未満>等、著しい骨髄抑制が認められた場合は、骨髄機能が回復するまで休薬すること。これより軽度の好中球減少<500〜1000/mm3>及び血小板減少<25000〜50000/mm3>の場合は減量すること〔1.1、2.1、8.3、11.1.1参照〕。

7.2. 〈効能共通〉腎障害のある患者、腎機能低下している患者では、消失半減期が延長されるので、本剤投与にあたっては血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスに注意すること(参考までに、投与量の調整に関し、成人における外国での標準的な本剤の減量の目安を次に示す)〔9.2腎機能障害患者、9.7.4、9.8高齢者の項、16.6.1参照〕:1)クレアチニンクリアランス≧60mL/min;初期治療1回900mgを1日2回、維持治療、発症抑制1回900mgを1日1回、2)クレアチニンクリアランス40〜59mL/min;初期治療1回450mgを1日2回、維持治療、発症抑制1回450mgを1日1回、3)クレアチニンクリアランス25〜39mL/min;初期治療1回450mgを1日1回、維持治療、発症抑制1回225mgを1日1回、4)クレアチニンクリアランス10〜24mL/min;初期治療1回225mgを1日1回、維持治療、発症抑制1回125mgを1日1回、5)クレアチニンクリアランス<10mL/min;初期治療1回200mgを週3回透析後、維持治療、発症抑制1回100mgを週3回透析後。

推定クレアチニンクリアランスは血清クレアチニン値を用い次の式で算出すること。

男性の場合=[(140−年齢[年])×(体重[kg])]÷[(72)×(血清クレアチニン値[mg/dL])]。

女性の場合=0.85×男性の値。

7.3. 〈サイトメガロウイルス感染症〉初期治療について、21日間を超える本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、21日間を超える投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみに限ること〔17.1.1参照〕。

7.4. 〈サイトメガロウイルス感染症〉サイトメガロウイルス血症の陰性化を確認した場合には、初期治療を終了すること。

7.5. 〈サイトメガロウイルス感染症〉維持治療は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行い、不必要な長期投与は避けること。

7.6. 〈サイトメガロウイルス感染症〉維持治療中に症状が悪化した場合は、初期治療に戻る等考慮すること。

7.7. 〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉移植後早期より投与を開始し、腎移植患者では200日まで、腎臓以外の臓器移植患者では100日までの投与を目安とすること。

7.8. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉投与期間が6ヵ月を超えた場合の有効性及び安全性に関する情報は得られていないので、非臨床試験において発がん性が報告されている点を考慮し、本剤の投与期間は6ヵ月を目安とすること〔15.2.1、15.2.2、17.1.3参照〕。

効能・効果

1). 次記におけるサイトメガロウイルス感染症:①後天性免疫不全症候群、②臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、③悪性腫瘍。

2). 臓器移植<造血幹細胞移植を除く>におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制。

3). 症候性先天性サイトメガロウイルス感染症。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈効能共通〉消化管障害等が合併した患者に本剤を投与する際には、吸収が低下するおそれがあるため、本剤の使用の適否については十分検討すること。

5.2. 〈サイトメガロウイルス感染症〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、サイトメガロウイルス感染が確認された患者において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

5.3. 〈サイトメガロウイルス感染症〉後天性免疫不全症候群患者においては、ヘモグロビン濃度8g/dL未満の患者における本剤投与の有効性及び安全性に関する情報は得られていないことから、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を行うこと。

5.4. 〈臓器移植(造血幹細胞移植を除く)におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、発症リスクの高い患者(サイトメガロウイルス抗体ドナー陽性かつレシピエント陰性等)において治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

5.5. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されているので、神経学的後遺症リスクの高い中枢神経病変(難聴や網脈絡膜炎を含む)や治療が必要な臨床検査値異常等を有する患者にのみ投与すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 白血球減少(6.4%)、骨髄抑制、汎血球減少、再生不良性貧血、好中球減少、貧血、血小板減少(いずれも5%未満):投与中に重篤な白血球減少、重篤な好中球減少、重篤な貧血、重篤な血小板減少を伴う場合には、造血促進因子を投与するか又は本剤の投与を中止すること〔1.1、2.1、7.1、8.3、9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. 血小板減少に伴う重篤な出血(消化管出血を含む)(5%未満)〔1.1、2.1、8.3、9.1.2参照〕。

11.1.3. 腎不全(頻度不明)〔8.4参照〕。

11.1.4. 膵炎(5%未満)。

11.1.5. 深在性血栓性静脈炎(頻度不明)。

11.1.6. 痙攣、精神病性障害、幻覚、錯乱、激越(いずれも5%未満)、昏睡(頻度不明)。

11.1.7. 敗血症等の骨髄障害及び免疫系障害に関連する感染症(5%未満)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 血液:(頻度不明)低色素性貧血、好酸球増多、白血球増加症、リンパ節症(lymphadenopathy)、脾腫。

2). 全身症状:(5%未満)発熱、浮腫、(頻度不明)悪寒、疲労、無力症、倦怠感、脱水、悪液質、下肢浮腫、疼痛、粘膜障害、胸痛、腹水、腹部腫脹。

3). 循環器:(頻度不明)不整脈、高血圧、低血圧、片頭痛、静脈炎、頻脈、血管拡張。

4). 呼吸器:(5%未満)咳嗽、(頻度不明)湿性咳嗽、鼻咽頭炎、上気道感染、呼吸困難、肺炎、気管支炎、ニューモシスティスカリニ肺炎、胸水、副鼻腔うっ血。

5). 過敏症:(5%未満)発疹、そう痒、(頻度不明)光線過敏性反応、蕁麻疹。

6). 消化器:(5%未満)下痢、悪心、嘔吐、上腹部痛、(頻度不明)腹痛、口腔カンジダ症、アフタ性口内炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害、舌障害、食道炎、食欲不振、食欲減退、おくび、消化不良、口渇、胃炎、胃腸障害、腹部膨満、鼓腸放屁、便秘、便失禁。

7). 精神神経系:(頻度不明)頭痛、不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、鎮静、思考異常、異常感覚、健忘症、緊張亢進、歩行異常、不安、多幸症、情緒不安、運動失調、運動過多、振戦、せん妄、性欲減退、ミオクロヌス、躁病反応、うつ病、神経質、精神病。

8). 皮膚:(頻度不明)皮膚炎、寝汗、脱毛、皮膚乾燥、斑状丘疹、ざ瘡、発汗、剥脱性皮膚炎。

9). 腎臓:(頻度不明)頻尿、尿路感染、血尿。

10). 肝臓:(5%未満)AST上昇・ALT上昇・ALP上昇・LDH上昇等の肝機能障害、黄疸、(頻度不明)肝炎、胆管炎。

11). 筋・骨格系:(5%未満)CK上昇、(頻度不明)関節痛、両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛。

12). 感覚器:(5%未満)副鼻腔炎、(頻度不明)弱視、網膜剥離、網膜炎、失明、眼痛、結膜炎、緑内障、霧視、眼出血、視覚障害、硝子体混濁、味覚倒錯、耳痛、耳鳴、難聴。

13). その他:(5%未満)糖尿病、(頻度不明)体重減少、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カルシウム血症、低カリウム血症、低蛋白血症、低ナトリウム血症、血中マグネシウム減少、蜂巣炎。

副作用の発現頻度は、有害事象に基づく発現頻度及び製造販売後調査の結果を含む。

頻度不明の副作用は、本剤の外国の安全性情報又はガンシクロビル点滴静注製剤の国内の安全性情報に基づく(いずれの安全性情報も有害事象及び製造販売後調査の結果を含む)。

警告

1.1. 本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により、重篤な白血球減少、重篤な好中球減少、重篤な貧血、重篤な血小板減少、重篤な汎血球減少、重篤な再生不良性貧血及び重篤な骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること〔7.1、8.3、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

1.2. 本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、一時的精子形成機能障害又は不可逆的精子形成機能障害を起こすこと及び妊孕性低下が報告されていること、また、ヒトにおいて精子形成機能障害を起こすおそれがあることを患者に説明し慎重に投与すること〔15.1、15.2.3参照〕。

1.3. 本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験において、催奇形性、遺伝毒性及び発がん性のあることが報告されているので、本剤も催奇形性、遺伝毒性及び発がん性の作用があると考えられることを患者に説明し慎重に投与すること〔9.4.1、9.4.2、9.5妊婦、9.6授乳婦の項、9.7.1、15.2.1、15.2.2参照〕。

禁忌

2.1. 好中球数500/mm3未満又は血小板数25000/mm3未満等、著しい骨髄抑制が認められる患者[本剤の投与により重篤な好中球減少及び重篤な血小板減少が認められている]〔7.1、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。

2.2. バルガンシクロビル、ガンシクロビル又は本剤の成分、バルガンシクロビル、ガンシクロビルと化学構造が類似する化合物(アシクロビル、バラシクロビル等)に対する過敏症の既往歴のある患者。

2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉本剤の投与による重篤な副作用が報告されていること及び本剤がサイトメガロウイルス感染症を完治させる薬剤でないことを念頭におき、本剤の使用にあたっては患者の精神面も含めて治療の要否を慎重に考えること。また、重大な副作用が発現するおそれのあること及びその内容を患者によく説明し同意を得た後投与すること。

8.2. 〈効能共通〉本剤は、吸収後、速やかに活性代謝物のガンシクロビルに変換される。本剤を投与する場合には、ガンシクロビル点滴静注製剤よりもAUCが高くなることがあるので、ガンシクロビル点滴静注製剤から本剤に変更する場合は、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること〔16.1.2参照〕。

8.3. 〈効能共通〉本剤の投与中は、血球数、血小板数等の血液学的検査を行うこと〔1.1、2.1、7.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

8.4. 〈効能共通〉本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により腎不全が発現することが報告されているので、血清クレアチニン及びクレアチニンクリアランスを慎重に観察すること〔11.1.3参照〕。

8.5. 〈効能共通〉本剤及び本剤の活性代謝物であるガンシクロビルの投与により痙攣、鎮静、めまい、運動失調、錯乱が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転、危険を伴う機械の操作等に従事させないこと。

8.6. 〈サイトメガロウイルス感染症〉サイトメガロウイルス網膜炎の投与期間については、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。

8.7. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉本剤を使用する際には、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を参考にすること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 薬剤等による白血球減少の既往歴のある患者:本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている〔1.1、8.3、11.1.1参照〕。

9.1.2. 血小板減少<25000/mm3以上100000/mm3未満>のある患者:本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている〔1.1、8.3、11.1.1、11.1.2参照〕。

9.1.3. 精神病、思考異常の既往歴のある患者、薬剤による精神病反応又は薬剤による神経毒性を呈したことのある患者:精神神経系障害を悪化させるおそれがある。

(腎機能障害患者)

腎機能障害患者:ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある〔7.2、9.7.4、16.6.1参照〕。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:肝機能障害を悪化させるおそれがある。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性が使用する場合、投与期間中は有効な避妊を行うよう指導すること〔1.3、9.5妊婦の項、15.2.1参照〕。

9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性が使用する場合、投与期間中及び投与後90日間は有効な避妊を行うよう指導すること(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルで、マウスを用いた小核試験等において遺伝毒性が認められている)〔1.3、15.2.1参照〕。

相互作用

10.2. 併用注意:

1). ジドブジン[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりジドブジンのAUCが17%増加したとの報告があり、また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告があり、ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる)]。

2). ジダノシン[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日の経口投与でジダノシンのAUCが84%増加、ガンシクロビル6g/日の経口投与でジダノシンのAUCが124%増加、ガンシクロビル5mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%増加、ガンシクロビル10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが67%増加)、併用により、本剤の活性代謝物のガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること(生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる)]。

3). イミペネム・シラスタチンナトリウム[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により痙攣が報告されている(機序は不明である)]。

4). 骨髄抑制作用のある薬剤及び腎機能障害作用のある薬剤(ジアフェニルスルホン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩、ヒドロキシカルバミド、フルシトシン、アムホテリシンB、ペンタミジンイセチオン酸塩、核酸誘導体等)[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により毒性が増強するおそれがある(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる)]。

5). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとトリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある(しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった)、また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある(機序は不明である)]。

6). シクロスポリン[シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある(機序は不明である)]。

7). プロベネシド[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下しその結果曝露量が40%上昇したとの報告がある(腎尿細管での分泌が競合する)]。

8). ミコフェノール酸 モフェチル[本剤の活性代謝物のガンシクロビルとの併用によりガンシクロビルの血漿中濃度が上昇及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物のグルクロン酸抱合体血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられ、腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること(腎尿細管での分泌が競合する)]。

9). 免疫抑制剤(プレドニゾロン、タクロリムス)[本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている(相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる)]。

高齢者

腎機能障害例への投与を参考にし、用量を調節するなど、慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるが、腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある)〔7.2参照〕。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されている)〔1.3、2.3、9.4.1、15.2.1、15.2.4参照〕。

(授乳婦)

投与期間中は授乳しないことが望ましい(本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験(ラット)において、乳汁への移行が認められており、また、ガンシクロビルは動物実験(マウス)において発がん性が認められている)〔1.3、15.2.2参照〕。

小児等

9.7.1. 〈効能共通〉長期投与による発がん性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること〔1.3、15.2.1、15.2.2参照〕。

9.7.2. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症以外の効能〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症以外の低出生体重児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.7.3. 〈サイトメガロウイルス感染症の発症抑制〉小児等のサイトメガロウイルス感染症の発症抑制の場合、副作用の発現状況等を考慮し、必要に応じて投与量を調節すること。

9.7.4. 〈症候性先天性サイトメガロウイルス感染症〉症候性先天性サイトメガロウイルス感染症で腎機能障害を有する小児等患者には、本剤投与の適否を十分に検討の上、本剤を使用する場合には、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること(本剤は、主として腎臓から排泄されるため、これらの患者では、腎機能が正常な患者に比べて血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔7.2、9.2腎機能障害患者の項、16.6.1参照〕。

過量投与

13.1. 症状

推奨用量の少なくとも10倍以上の用量を数日間投与された腎障害(クレアチニンクリアランス低下)のある患者で、致命的骨髄抑制(骨髄無形成)がみられた例がある。また、本剤を過量投与した場合、腎毒性が増強される可能性がある。

13.2. 処置

過量投与時、血中濃度を下げるために血液透析及び水分補給を行うことが勧められる。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤調製時の注意

14.1.2. 本剤は催奇形性及び発がん性のおそれがあるので、皮膚や粘膜に直接触れないようにし、もし、触れた場合は石鹸と水で十分に洗浄し、眼に入った場合も水で十分に洗浄すること。

14.1.3. 溶液を調製してから患者へ交付すること。

14.1.4. 溶液を調製する際は、キャップを外した後、91mLの精製水を瓶に添加し、キャップで施栓する。瓶内の粉末が溶解するまで、よく振り混ぜる。

14.2. 薬剤交付時の注意

14.2.1. 患者又は保護者等に対し次の点に注意するよう指導すること。

・ 本剤は催奇形性及び発がん性のおそれがあるので、皮膚や粘膜に直接触れないようにし、もし、触れた場合は石鹸と水で十分に洗浄し、眼に入った場合も水で十分に洗浄すること。

・ 調製した溶液は、凍結を避けて冷蔵庫(2〜8℃)に保存し、調製後49日以内に使用すること。

(取扱い上の注意)

20.1. 容器のキャップの開け方

キャップを瓶本体に強く押しつけたまま(カチカチ音がしない状態まで)左に回して開けること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外で実施された非無作為化非盲検の市販後臨床試験において、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制のためバルガンシクロビルを最長200日間投与された成人の腎移植患者(24例)では、非投与患者(14例)と比較して、精子濃度低下したとの報告がある(ただし、バルガンシクロビル投与終了6ヵ月後には、バルガンシクロビル投与患者(20例)の精子濃度は非投与患者(10例)と同程度まで回復した)〔1.2、15.2.3参照〕。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 遺伝毒性:バルガンシクロビル及びその活性代謝物であるガンシクロビルにはマウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験及びマウスを用いた小核試験で遺伝毒性が認められ、さらにガンシクロビルにはヒト細胞を用いた姉妹染色体交換試験で遺伝毒性が認められた。これらの結果は、マウスを用いた試験でガンシクロビルにがん原性が認められたことと符合する。バルガンシクロビルもがん原性があると考えられる〔1.3、7.8、9.4.1、9.4.2、9.5妊婦の項、9.7.1参照〕。

15.2.2. がん原性:バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルで、マウスに18ヵ月経口投与したがん原性試験において、20mg/kg/日以上の投与量で雄の包皮腺腫瘍及びハーダー腺腫瘍、雌の生殖器腫瘍及び肝臓腫瘍、雌雄の前胃腫瘍等の腫瘍の発生が増加したとの報告がある〔1.3、7.8、9.6授乳婦の項、9.7.1参照〕。

15.2.3. 精子形成能:動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは治療濃度域以下の曝露で精子形成機能障害を起こすことが認められているため、バルガンシクロビルにおいても精子形成機能障害が考えられる〔1.2、15.1参照〕。

15.2.4. 胎盤通過性:ex vivoヒト胎盤モデルにおいてバルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルは胎盤透過することが報告されている。ガンシクロビル濃度が1〜10μg/mLにおいて、ガンシクロビルの透過に飽和が認められなかったことから、胎盤通過のメカニズムは主として単純拡散によるものと考えられる〔9.5妊婦の項参照〕。

15.2.5. ヒト骨髄細胞の増殖に対する作用:バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルのヒト骨髄細胞の増殖に対する作用をin vitroで検討した結果、ガンシクロビルの骨髄毒性は10μmol/L以上であらわれており、アシクロビル(ID50≧100μmol/L)より強く、ビダラビン、トリフロロチミジン(ID50=1〜10μmol/L)より弱かった。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
薬剤情報

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