薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > BCL−2阻害剤
一般名ベネトクラクス錠
薬価7585.9
メーカーアッヴィ
最終更新2023年09月改訂(第6版)

用法・用量

〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉

通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈急性骨髄性白血病〉

アザシチジン併用の場合:

通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は1日目に100mg、2日目に200mg、3日目に400mgをそれぞれ1日1回、食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

シタラビン少量療法併用の場合:

通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は1日目に100mg、2日目に200mg、3日目に400mg、4日目に600mgをそれぞれ1日1回、食後に経口投与する。その後の維持投与期は、600mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉リツキシマブ(遺伝子組換え)の投与が困難な場合を除き、維持投与期の開始からリツキシマブ(遺伝子組換え)と併用投与すること。

7.2. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉リツキシマブ<遺伝子組換え>以外の抗悪性腫瘍剤との併用による有効性及び安全性は確立していない。

7.3. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉本剤の投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量、中止すること(なお、一定期間休薬後に再開する場合には、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、本剤の投与量を決定すること)〔1.2、8.1、8.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

[副作用発現時の休薬等の目安]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade4の血液毒性<好中球減少・血小板減少及びリンパ球減少を除く>:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade3の好中球減少又はGrade4の好中球減少:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開し、感染を伴う場合、感染が消失した後に再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

3). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade3の血小板減少又はGrade4の血小板減少:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

4). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群:腫瘍崩壊症候群が消失するまで休薬し、消失後は休薬前と同じ用量レベル又は1段階低い用量レベルで投与を再開する(2週間以上の休薬を要した場合、休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

5). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade3の非血液毒性<腫瘍崩壊症候群を除く>又はGrade4の非血液毒性<腫瘍崩壊症候群を除く>:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

NCI−CTCAE v4.0に基づく。

[用量レベル]

1). 用量レベル5:本剤の1日用量400mg。

2). 用量レベル4:本剤の1日用量300mg。

3). 用量レベル3:本剤の1日用量200mg。

4). 用量レベル2:本剤の1日用量100mg。

5). 用量レベル1:本剤の1日用量50mg。

6). 用量レベル0:本剤の1日用量20mg。

7). 用量レベル−1:本剤の1日用量10mg。

7.4. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉中程度以上のCYP3A阻害剤と併用する場合には、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、次の基準を参考に、本剤の投与を検討すること〔2.2、10.1、10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕。

[CYP3A阻害剤との併用時の用量調節基準]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉中程度のCYP3A阻害剤:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、本剤を半量以下に減量すること。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉強いCYP3A阻害剤:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期、本剤を併用しないこと。

3). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉強いCYP3A阻害剤:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、本剤を100mg以下に減量すること。

7.5. 〈急性骨髄性白血病〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で選択すること〔17.1.3、17.1.4参照〕。

7.6. 〈急性骨髄性白血病〉本剤の投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、中止すること〔8.1、11.1.2参照〕。

[副作用発現時の休薬等の目安]

1). 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の好中球減少:

①. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の好中球減少<寛解達成後初回発現時>:Grade3以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開する。

②. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の好中球減少<寛解達成後2回目以降の発現時>:Grade3以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開するが、21日間投与した後、7日間休薬すること。

2). 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の血小板減少:

①. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の血小板減少<寛解達成後初回発現時>:Grade2以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開する。

②. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の血小板減少<寛解達成後2回目以降の発現時>:Grade2以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開するが、21日間投与した後、7日間休薬すること。

NCI−CTCAE v4.0に基づく。

7.7. 〈急性骨髄性白血病〉中程度以上のCYP3A阻害剤と併用する場合には、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、次の基準を参考に、本剤の投与を検討すること〔10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕。

[CYP3A阻害剤との併用時の用量調節基準]

1). 〈急性骨髄性白血病〉中程度のCYP3A阻害剤:急性骨髄性白血病の用量漸増期、急性骨髄性白血病の維持投与期、本剤を半量以下に減量すること。

2). 〈急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤:急性骨髄性白血病の用量漸増期、本剤を1日目は10mg、2日目は20mg、3日目以降は50mgに減量すること。

3). 〈急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤:急性骨髄性白血病の維持投与期、本剤を50mgに減量すること。

効能・効果

1). 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(再発又は難治性の小リンパ球性リンパ腫を含む)。

2). 急性骨髄性白血病。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈急性骨髄性白血病〉強力な寛解導入療法の適応となる急性骨髄性白血病患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.2. 〈急性骨髄性白血病〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3、17.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 腫瘍崩壊症候群(2.7%):異常が認められた場合は、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔1.2、7.3、8.2、8.3参照〕。

11.1.2. 骨髄抑制:好中球減少(44.2%)、貧血(15.7%)、血小板減少(27.7%)、発熱性好中球減少症(17.6%)等があらわれることがある〔7.3、7.6、8.1参照〕。

11.1.3. 感染症(29.3%):肺炎(11.0%)、敗血症(4.5%)等があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 消化器:(10%以上)悪心(24.0%)、下痢(20.8%)、嘔吐(11.2%)、(10%未満)便秘、口内炎、腹痛。

2). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(10%未満)疲労、無力症。

3). 肝胆道系障害:(10%未満)血中ビリルビン増加、胆嚢炎/胆石症。

4). 代謝及び栄養障害:(10%以上)食欲減退(10.1%)、(10%未満)体重減少、低カリウム血症。

5). 筋骨格系及び結合組織障害:(10%未満)関節痛。

6). 神経系障害:(10%未満)浮動性めまい/失神、頭痛。

7). 腎及び尿路障害:(10%未満)血中クレアチニン増加。

8). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(10%未満)呼吸困難。

9). 血管障害:(10%未満)出血、低血圧。

警告

1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。

1.2. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあり、特に本剤投与開始及び増量後1〜2日に多く認められているので、本剤の投与開始前及び休薬後の再開前に腫瘍量に基づく腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、リスクに応じた予防措置を適切に行うこと(また、本剤投与開始前及び投与中は、血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること)〔7.3、8.2、8.3、11.1.1参照〕。

禁忌

2.1. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉用量漸増期における強いCYP3A阻害剤投与中の慢性リンパ性白血病(強いCYP3A阻害剤投与中の小リンパ球性リンパ腫を含む)(リトナビル、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、コビシスタット含有製剤)の患者〔7.4、10.1、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定等)を行うこと〔7.3、7.6、11.1.2参照〕。

8.2. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、次の点に注意すること〔1.2、7.3、11.1.1参照〕。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前に、X線(CT検査)等による腫瘍量の評価により、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、本剤投与開始前及び用量漸増期には、腫瘍量に応じて、次の[低腫瘍量(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合]及び[高腫瘍量(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合]を参考に対応すること(なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること)。

[低腫瘍量(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉低腫瘍量の慢性リンパ性白血病(低腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量の慢性リンパ性白血病(中腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合、水分補給は本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する(経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと)。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉低腫瘍量の慢性リンパ性白血病(低腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量の慢性リンパ性白血病(中腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合、*血液検査頻度は20mg及び50mgの各初回投与時:投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後、その後の各漸増用量の初回投与時:投与前。

*:クレアチニンクリアランス80mL/分未満の中腫瘍量の慢性リンパ性白血病(クレアチニンクリアランス80mL/分未満の中腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)の患者では、血液検査頻度は20mg及び50mgの各初回投与時:投与前及び投与4、8、12、24時間後、その後の各漸増用量の初回投与時:投与前。

[高腫瘍量(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉高腫瘍量の慢性リンパ性白血病(高腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合、水分補給は本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日摂取に加え、補液投与(可能であれば150〜200mL/時)を行う(経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと)。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉高腫瘍量の慢性リンパ性白血病(高腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合、血液検査頻度は20mg及び50mgの各初回投与時:投与前及び投与4、8、12、24時間後、その後の各漸増用量の初回投与時:投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始後、2週間以上休薬した後に再開する場合には、本剤投与開始前及び用量漸増期と同様の腫瘍崩壊症候群のリスク評価及び予防措置を行うこと。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。

8.3. 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、次の点に注意すること〔1.2、11.1.1参照〕。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、白血球数が25×10の3乗/μL未満となるよう、本剤開始前に調整を行うこと。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び用量漸増期には、次の[腫瘍崩壊症候群の予防措置]を参考に対応すること(また、本剤投与開始前に、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、腫瘍崩壊症候群の危険因子を有する急性骨髄性白血病患者の場合、頻回な検査の実施や本剤を減量して開始するなど、追加の予防策を考慮すること、なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること)。

[腫瘍崩壊症候群の予防措置]

1). 〈急性骨髄性白血病〉水分補給は本剤による治療開始前から用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する(経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと)。

2). 〈急性骨髄性白血病〉血液検査頻度は用量漸増期:投与前、投与6〜8時間後、用量漸増期最終日(アザシチジン併用の場合400mg到達時、シタラビン少量療法併用の場合600mg到達時):投与前、投与6〜8時間後に加え、投与24時間後。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重度肝機能障害<Child−Pugh分類C>の患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔16.6.1参照〕。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後30日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。

9.4.2. 生殖可能な年齢の男性に本剤を投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること(動物実験(イヌ)において、本剤1日1回400mg投与した時の臨床曝露量の約0.5倍の曝露に相当する用量で精原細胞を標的とした精巣毒性が認められており、回復性は確認されていない)。

相互作用

本剤は主にCYP3Aにより代謝される。また、本剤はP−糖タンパク(P−gp)の基質であり、P−gpを阻害する〔16.4参照〕。

10.1. 併用禁忌:

〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉強いCYP3A阻害剤(リトナビル<ノービア>、クラリスロマイシン<クラリス>、イトラコナゾール<イトリゾール>、ボリコナゾール<ブイフェンド>、ポサコナゾール<ノクサフィル>、コビシスタット含有製剤<スタリビルド>)〔2.2、7.4、10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕[腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがある(これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

10.2. 併用注意:

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤(クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール等)〔7.4、7.7、10.1、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

2). 中程度のCYP3A阻害剤(エリスロマイシン、ジルチアゼム、フルコナゾール等)〔7.4、7.7、16.7.8参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

3). グレープフルーツ含有食品[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

4). 強いCYP3A誘導剤又は中程度のCYP3A誘導剤(カルバマゼピン、リファンピシン、エファビレンツ等)、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔16.7.3、16.7.8参照〕[本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

5). 生ワクチン又は弱毒生ワクチン[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと(ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない)]。

6). ワルファリン〔16.7.5参照〕[ワルファリンの作用が増強されるおそれがあるので、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意すること(機序は不明であるが、ワルファリンの血中濃度が上昇する可能性がある)]。

7). P−gp阻害剤(シクロスポリン、タクロリムス、リファンピシン等)〔16.7.3参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤がP−gpを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

8). 治療域の狭いP−gpの基質となる薬剤(ジゴキシン、エベロリムス、シロリムス等)〔16.7.6参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がP−gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

9). アジスロマイシン〔16.7.4参照〕[本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい(機序は不明であるが、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(胚・胎仔発生試験(マウス)において、本剤1日1回400mg投与した時の臨床曝露量の約1.2倍の曝露に相当する用量で着床後胚損失率上昇及び胎仔体重減少が報告されている)〔9.4.1参照〕。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外臨床試験において、皮膚有棘細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌等の二次性悪性腫瘍が発現したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

ベネクレクスタ錠100mg
後発品はありません
ベネクレクスタ錠100mg
ベネクレクスタ錠100mg

ベネクレクスタ錠100mg

抗悪性腫瘍薬 > BCL−2阻害剤
2023年09月改訂(第6版)
薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > BCL−2阻害剤
一般名ベネトクラクス錠
薬価7585.9
メーカーアッヴィ
最終更新2023年09月改訂(第6版)

用法・用量

〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉

通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は第1週目に20mg、第2週目に50mg、第3週目に100mg、第4週目に200mg、第5週目に400mgをそれぞれ1日1回、7日間食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈急性骨髄性白血病〉

アザシチジン併用の場合:

通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は1日目に100mg、2日目に200mg、3日目に400mgをそれぞれ1日1回、食後に経口投与する。その後の維持投与期は、400mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

シタラビン少量療法併用の場合:

通常、成人にはベネトクラクスとして、用量漸増期は1日目に100mg、2日目に200mg、3日目に400mg、4日目に600mgをそれぞれ1日1回、食後に経口投与する。その後の維持投与期は、600mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉リツキシマブ(遺伝子組換え)の投与が困難な場合を除き、維持投与期の開始からリツキシマブ(遺伝子組換え)と併用投与すること。

7.2. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉リツキシマブ<遺伝子組換え>以外の抗悪性腫瘍剤との併用による有効性及び安全性は確立していない。

7.3. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉本剤の投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量、中止すること(なお、一定期間休薬後に再開する場合には、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、本剤の投与量を決定すること)〔1.2、8.1、8.2、11.1.1、11.1.2参照〕。

[副作用発現時の休薬等の目安]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade4の血液毒性<好中球減少・血小板減少及びリンパ球減少を除く>:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade3の好中球減少又はGrade4の好中球減少:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開し、感染を伴う場合、感染が消失した後に再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

3). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade3の血小板減少又はGrade4の血小板減少:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

4). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群:腫瘍崩壊症候群が消失するまで休薬し、消失後は休薬前と同じ用量レベル又は1段階低い用量レベルで投与を再開する(2週間以上の休薬を要した場合、休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

5). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉Grade3の非血液毒性<腫瘍崩壊症候群を除く>又はGrade4の非血液毒性<腫瘍崩壊症候群を除く>:Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量レベルで投与を再開する(再開した後に再び発現した場合、Grade1以下又はベースラインに回復するまで休薬し、回復後は休薬前より1段階低い用量レベルで投与を再開する)。

NCI−CTCAE v4.0に基づく。

[用量レベル]

1). 用量レベル5:本剤の1日用量400mg。

2). 用量レベル4:本剤の1日用量300mg。

3). 用量レベル3:本剤の1日用量200mg。

4). 用量レベル2:本剤の1日用量100mg。

5). 用量レベル1:本剤の1日用量50mg。

6). 用量レベル0:本剤の1日用量20mg。

7). 用量レベル−1:本剤の1日用量10mg。

7.4. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉中程度以上のCYP3A阻害剤と併用する場合には、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、次の基準を参考に、本剤の投与を検討すること〔2.2、10.1、10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕。

[CYP3A阻害剤との併用時の用量調節基準]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉中程度のCYP3A阻害剤:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期、慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、本剤を半量以下に減量すること。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉強いCYP3A阻害剤:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期、本剤を併用しないこと。

3). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉強いCYP3A阻害剤:慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、本剤を100mg以下に減量すること。

7.5. 〈急性骨髄性白血病〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で選択すること〔17.1.3、17.1.4参照〕。

7.6. 〈急性骨髄性白血病〉本剤の投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、中止すること〔8.1、11.1.2参照〕。

[副作用発現時の休薬等の目安]

1). 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の好中球減少:

①. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の好中球減少<寛解達成後初回発現時>:Grade3以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開する。

②. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の好中球減少<寛解達成後2回目以降の発現時>:Grade3以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開するが、21日間投与した後、7日間休薬すること。

2). 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の血小板減少:

①. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の血小板減少<寛解達成後初回発現時>:Grade2以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開する。

②. 〈急性骨髄性白血病〉Grade4の血小板減少<寛解達成後2回目以降の発現時>:Grade2以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前と同じ用量で投与を再開するが、21日間投与した後、7日間休薬すること。

NCI−CTCAE v4.0に基づく。

7.7. 〈急性骨髄性白血病〉中程度以上のCYP3A阻害剤と併用する場合には、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、次の基準を参考に、本剤の投与を検討すること〔10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕。

[CYP3A阻害剤との併用時の用量調節基準]

1). 〈急性骨髄性白血病〉中程度のCYP3A阻害剤:急性骨髄性白血病の用量漸増期、急性骨髄性白血病の維持投与期、本剤を半量以下に減量すること。

2). 〈急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤:急性骨髄性白血病の用量漸増期、本剤を1日目は10mg、2日目は20mg、3日目以降は50mgに減量すること。

3). 〈急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤:急性骨髄性白血病の維持投与期、本剤を50mgに減量すること。

効能・効果

1). 再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(再発又は難治性の小リンパ球性リンパ腫を含む)。

2). 急性骨髄性白血病。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈急性骨髄性白血病〉強力な寛解導入療法の適応となる急性骨髄性白血病患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.2. 〈急性骨髄性白血病〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3、17.1.4参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 腫瘍崩壊症候群(2.7%):異常が認められた場合は、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔1.2、7.3、8.2、8.3参照〕。

11.1.2. 骨髄抑制:好中球減少(44.2%)、貧血(15.7%)、血小板減少(27.7%)、発熱性好中球減少症(17.6%)等があらわれることがある〔7.3、7.6、8.1参照〕。

11.1.3. 感染症(29.3%):肺炎(11.0%)、敗血症(4.5%)等があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 消化器:(10%以上)悪心(24.0%)、下痢(20.8%)、嘔吐(11.2%)、(10%未満)便秘、口内炎、腹痛。

2). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(10%未満)疲労、無力症。

3). 肝胆道系障害:(10%未満)血中ビリルビン増加、胆嚢炎/胆石症。

4). 代謝及び栄養障害:(10%以上)食欲減退(10.1%)、(10%未満)体重減少、低カリウム血症。

5). 筋骨格系及び結合組織障害:(10%未満)関節痛。

6). 神経系障害:(10%未満)浮動性めまい/失神、頭痛。

7). 腎及び尿路障害:(10%未満)血中クレアチニン増加。

8). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(10%未満)呼吸困難。

9). 血管障害:(10%未満)出血、低血圧。

警告

1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。

1.2. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあり、特に本剤投与開始及び増量後1〜2日に多く認められているので、本剤の投与開始前及び休薬後の再開前に腫瘍量に基づく腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、リスクに応じた予防措置を適切に行うこと(また、本剤投与開始前及び投与中は、血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること)〔7.3、8.2、8.3、11.1.1参照〕。

禁忌

2.1. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉用量漸増期における強いCYP3A阻害剤投与中の慢性リンパ性白血病(強いCYP3A阻害剤投与中の小リンパ球性リンパ腫を含む)(リトナビル、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、コビシスタット含有製剤)の患者〔7.4、10.1、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 〈効能共通〉骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定等)を行うこと〔7.3、7.6、11.1.2参照〕。

8.2. 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、次の点に注意すること〔1.2、7.3、11.1.1参照〕。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前に、X線(CT検査)等による腫瘍量の評価により、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、本剤投与開始前及び用量漸増期には、腫瘍量に応じて、次の[低腫瘍量(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合]及び[高腫瘍量(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合]を参考に対応すること(なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること)。

[低腫瘍量(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉低腫瘍量の慢性リンパ性白血病(低腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量の慢性リンパ性白血病(中腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合、水分補給は本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する(経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと)。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉低腫瘍量の慢性リンパ性白血病(低腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(全てのリンパ節が5cm未満かつリンパ球絶対数[ALC]25×10の3乗/μL未満)又は中腫瘍量の慢性リンパ性白血病(中腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が5〜10cm未満又はALC25×10の3乗/μL以上)の場合、*血液検査頻度は20mg及び50mgの各初回投与時:投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後、その後の各漸増用量の初回投与時:投与前。

*:クレアチニンクリアランス80mL/分未満の中腫瘍量の慢性リンパ性白血病(クレアチニンクリアランス80mL/分未満の中腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)の患者では、血液検査頻度は20mg及び50mgの各初回投与時:投与前及び投与4、8、12、24時間後、その後の各漸増用量の初回投与時:投与前。

[高腫瘍量(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合]

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉高腫瘍量の慢性リンパ性白血病(高腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合、水分補給は本剤による治療開始の2日前から開始し、用量漸増期を通じて1.5〜2L/日摂取に加え、補液投与(可能であれば150〜200mL/時)を行う(経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと)。

2). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉高腫瘍量の慢性リンパ性白血病(高腫瘍量の小リンパ球性リンパ腫を含む)(いずれかのリンパ節が10cm以上、又はいずれかのリンパ節が5cm以上かつALC25×10の3乗/μL以上)の場合、血液検査頻度は20mg及び50mgの各初回投与時:投与前及び投与4、8、12、24時間後、その後の各漸増用量の初回投与時:投与前、投与6〜8時間後、投与24時間後。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始後、2週間以上休薬した後に再開する場合には、本剤投与開始前及び用量漸増期と同様の腫瘍崩壊症候群のリスク評価及び予防措置を行うこと。

・ 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。

8.3. 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、次の点に注意すること〔1.2、11.1.1参照〕。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、白血球数が25×10の3乗/μL未満となるよう、本剤開始前に調整を行うこと。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行い、電解質異常のある場合は本剤投与開始に先立ち補正を行うこと。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前から、高尿酸血症治療剤の投与を行うこと。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び用量漸増期には、次の[腫瘍崩壊症候群の予防措置]を参考に対応すること(また、本剤投与開始前に、腫瘍崩壊症候群のリスク評価を行い、腫瘍崩壊症候群の危険因子を有する急性骨髄性白血病患者の場合、頻回な検査の実施や本剤を減量して開始するなど、追加の予防策を考慮すること、なお、具体的な方法、検査頻度等は患者の状態を考慮して判断すること)。

[腫瘍崩壊症候群の予防措置]

1). 〈急性骨髄性白血病〉水分補給は本剤による治療開始前から用量漸増期を通じて1.5〜2L/日を摂取する(経口摂取困難な場合は補液投与を行うこと)。

2). 〈急性骨髄性白血病〉血液検査頻度は用量漸増期:投与前、投与6〜8時間後、用量漸増期最終日(アザシチジン併用の場合400mg到達時、シタラビン少量療法併用の場合600mg到達時):投与前、投与6〜8時間後に加え、投与24時間後。

・ 〈急性骨髄性白血病〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるため、維持投与期においては、定期的に血液検査(カリウム、カルシウム、リン、尿酸、クレアチニン)を行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(肝機能障害患者)

9.3.1. 重度肝機能障害<Child−Pugh分類C>の患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔16.6.1参照〕。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後30日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。

9.4.2. 生殖可能な年齢の男性に本剤を投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること(動物実験(イヌ)において、本剤1日1回400mg投与した時の臨床曝露量の約0.5倍の曝露に相当する用量で精原細胞を標的とした精巣毒性が認められており、回復性は確認されていない)。

相互作用

本剤は主にCYP3Aにより代謝される。また、本剤はP−糖タンパク(P−gp)の基質であり、P−gpを阻害する〔16.4参照〕。

10.1. 併用禁忌:

〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期〉強いCYP3A阻害剤(リトナビル<ノービア>、クラリスロマイシン<クラリス>、イトラコナゾール<イトリゾール>、ボリコナゾール<ブイフェンド>、ポサコナゾール<ノクサフィル>、コビシスタット含有製剤<スタリビルド>)〔2.2、7.4、10.2、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕[腫瘍崩壊症候群の発現が増強されるおそれがある(これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

10.2. 併用注意:

1). 〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病〉強いCYP3A阻害剤(クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール等)〔7.4、7.7、10.1、16.7.2、16.7.7、16.7.8参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

2). 中程度のCYP3A阻害剤(エリスロマイシン、ジルチアゼム、フルコナゾール等)〔7.4、7.7、16.7.8参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

3). グレープフルーツ含有食品[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

4). 強いCYP3A誘導剤又は中程度のCYP3A誘導剤(カルバマゼピン、リファンピシン、エファビレンツ等)、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔16.7.3、16.7.8参照〕[本剤の効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

5). 生ワクチン又は弱毒生ワクチン[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと(ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない)]。

6). ワルファリン〔16.7.5参照〕[ワルファリンの作用が増強されるおそれがあるので、プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意すること(機序は不明であるが、ワルファリンの血中濃度が上昇する可能性がある)]。

7). P−gp阻害剤(シクロスポリン、タクロリムス、リファンピシン等)〔16.7.3参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤がP−gpを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

8). 治療域の狭いP−gpの基質となる薬剤(ジゴキシン、エベロリムス、シロリムス等)〔16.7.6参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がP−gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。

9). アジスロマイシン〔16.7.4参照〕[本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい(機序は不明であるが、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(胚・胎仔発生試験(マウス)において、本剤1日1回400mg投与した時の臨床曝露量の約1.2倍の曝露に相当する用量で着床後胚損失率上昇及び胎仔体重減少が報告されている)〔9.4.1参照〕。

(授乳婦)

授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

海外臨床試験において、皮膚有棘細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌等の二次性悪性腫瘍が発現したとの報告がある。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
薬剤情報

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