薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > BRAF阻害薬
一般名ダブラフェニブメシル酸塩カプセル
薬価7289
メーカーノバルティス ファーマ
最終更新2023年11月改訂(第3版)

用法・用量

〈悪性黒色腫〉

通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。ただし、悪性黒色腫で術後補助療法の場合には、トラメチニブと併用し、投与期間は12ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉

トラメチニブとの併用において、通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈固形腫瘍〉

トラメチニブとの併用において、通常、ダブラフェニブとして次の用量を1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

・ 成人には、1回150mg。

・ 小児には、体重に合わせて次の用量。

1). 体重26kg以上38kg未満:1回75mg。

2). 体重38kg以上43kg未満:1回100mg。

3). 体重43kg以上51kg未満:1回125mg。

4). 体重51kg以上:1回150mg。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉トラメチニブ以外の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。

7.2. 〈効能共通〉食後に本剤を投与した場合、Cmax低下及びAUC低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。

7.3. 〈効能共通〉本剤投与により副作用が発現した場合には、次記の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。ただし、有棘細胞癌(皮膚扁平上皮癌)又は新たな原発性悪性黒色腫が発現した場合には、外科的切除等の適切な処置を行った上で、休薬、減量することなく治療を継続することができる。

[休薬、減量及び中止基準]

1). NCI−CTCAE*によるGrade判定が、忍容不能なGrade2又はGrade3:休薬、Grade1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開。

2). NCI−CTCAE*によるGrade判定が、Grade4:原則投与中止、治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合には、Grade1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開。

*)NCI−CTCAE v4.0によりGradeを判定。

[用量調節の目安(成人)]

1). 通常投与量:1回150mg(1日2回)。

2). 1段階減量:1回100mg(1日2回)。

3). 2段階減量:1回75mg(1日2回)。

4). 3段階減量:1回50mg(1日2回)。

5). 4段階減量:投与中止。

[用量調節の目安(小児)]

1). 通常投与量:1回75mg(1日2回):

①. 1段階減量:1回50mg(1日2回)。

②. 2段階減量:投与中止。

2). 通常投与量:1回100mg(1日2回):

①. 1段階減量:1回75mg(1日2回)。

②. 2段階減量:1回50mg(1日2回)。

③. 3段階減量:投与中止。

3). 通常投与量:1回125mg(1日2回)、1回150mg(1日2回):

①. 1段階減量:1回100mg(1日2回)。

②. 2段階減量:1回75mg(1日2回)。

③. 3段階減量:1回50mg(1日2回)。

④. 4段階減量:投与中止。

適切な処置により副作用が管理できた場合には、減量時と逆の段階を経て増量可。

7.4. 〈固形腫瘍〉26kg未満の小児患者における有効性及び安全性は確立していない。

効能・効果

1). BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫。

2). BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。

3). 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍<結腸・直腸癌を除く>。

4). BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈効能共通〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:

https://www.pmda.go.jp/review−services/drug−reviews/review−information/cd/0001.html。

5.2. 〈悪性黒色腫〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔17.1.1−17.1.5参照〕。

5.3. 〈非小細胞肺癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔17.1.6参照〕。

5.4. 〈非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.5. 〈固形腫瘍〉組織球症患者は本剤の投与対象となり得る。

5.6. 〈固形腫瘍〉臨床試験に組み入れられた患者のがん種等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.7、17.1.8参照〕。

5.7. 〈固形腫瘍〉本剤の手術の補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.8. 〈有毛細胞白血病〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.7参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 有棘細胞癌

1). 〈トラメチニブとの併用時〉有棘細胞癌:皮膚有棘細胞癌(0.5%)、ケラトアカントーマ(0.2%)、ボーエン病(0.5%)があらわれることがある。トラメチニブとの併用時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも有棘細胞癌の発現頻度に高い傾向が認められた(*皮膚有棘細胞癌(5.5%)、*扁平上皮癌(5.5%))〔8.2参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉有棘細胞癌:皮膚有棘細胞癌(1.6%)、ケラトアカントーマ(3.7%)、ボーエン病(頻度不明)があらわれることがある。単独投与時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも有棘細胞癌の発現頻度に高い傾向が認められた(*皮膚有棘細胞癌(頻度不明)、*扁平上皮癌(頻度不明))〔8.2参照〕。

11.1.2. 悪性腫瘍(二次発癌)

1). 〈トラメチニブとの併用時〉悪性腫瘍(二次発癌):原発性悪性黒色腫(0.1%)等の悪性腫瘍(二次発癌)があらわれることがある。トラメチニブとの併用時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも悪性腫瘍(二次発癌)の発現頻度に高い傾向が認められた(*基底細胞癌(12.7%))〔8.3参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉悪性腫瘍(二次発癌):原発性悪性黒色腫(1.1%)等の悪性腫瘍(二次発癌)があらわれることがある。単独投与時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも悪性腫瘍(二次発癌)の発現頻度に高い傾向が認められた(*基底細胞癌(頻度不明))〔8.3参照〕。

11.1.3. 心障害

1). 〈トラメチニブとの併用時〉心障害:心不全(0.1%)、左室機能不全(0.2%)、駆出率減少(5.9%)等の重篤な心障害があらわれることがある〔8.4、9.1.1参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉心障害:心不全(0.5%)、左室機能不全(1.4%)、駆出率減少(4.7%)等の重篤な心障害があらわれることがある〔8.4、9.1.1参照〕。

11.1.4. 肝機能障害

1). 〈トラメチニブとの併用時〉肝機能障害:ALT上昇(11.3%)、AST上昇(11.5%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.6、9.3.1参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉肝機能障害:ALT上昇(1.6%)、AST上昇(0.5%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.6、9.3.1参照〕。

11.1.5. 静脈血栓塞栓症

1). 〈トラメチニブとの併用時〉静脈血栓塞栓症(0.3%)。

2). 〈本剤単独投与時〉静脈血栓塞栓症(頻度不明)。

11.1.6. 脳血管障害

1). 〈トラメチニブとの併用時〉脳血管障害:脳出血(0.1%)、脳血管発作(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。

2). 〈本剤単独投与時〉脳血管障害:脳出血(頻度不明)、脳血管発作(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 〈トラメチニブとの併用時〉

①. 〈トラメチニブとの併用時〉感染症:(1%〜10%未満)毛包炎、膿疱性皮疹、(1%未満)蜂巣炎、尿路感染、上咽頭炎、爪囲炎。

②. 〈トラメチニブとの併用時〉血液:(1%〜10%未満)好中球減少症、貧血、血小板減少症、白血球減少症。

③. 〈トラメチニブとの併用時〉代謝:(1%〜10%未満)食欲減退、脱水、低ナトリウム血症、低リン血症、高血糖。

④. 〈トラメチニブとの併用時〉神経系:(10%以上)頭痛、(1%〜10%未満)浮動性めまい。

⑤. 〈トラメチニブとの併用時〉眼:(1%〜10%未満)霧視、ぶどう膜炎、視力障害、(1%未満)網膜色素上皮剥離、網脈絡膜症、網膜剥離、眼窩周囲浮腫。

⑥. 〈トラメチニブとの併用時〉心・血管:(1%〜10%未満)高血圧、低血圧、出血(鼻出血、歯肉出血等)、(1%未満)リンパ浮腫、徐脈、QT間隔延長/QTc間隔延長、(頻度不明)心拍数減少。

⑦. 〈トラメチニブとの併用時〉呼吸器:(1%〜10%未満)咳嗽、呼吸困難、(1%未満)肺臓炎、間質性肺炎。

⑧. 〈トラメチニブとの併用時〉消化器:(10%以上)悪心、下痢、嘔吐、(1%〜10%未満)便秘、腹痛、口内乾燥、口内炎、(1%未満)膵炎。

⑨. 〈トラメチニブとの併用時〉肝胆道系:(1%〜10%未満)ALP増加、γ−GTP増加。

⑩. 〈トラメチニブとの併用時〉皮膚:(10%以上)発疹、皮膚乾燥、(1%〜10%未満)皮膚そう痒症、ざ瘡様皮膚炎、紅斑、日光角化症、寝汗、皮膚過角化、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚病変、多汗症、脂肪織炎、皮膚亀裂、光線過敏症。

⑪. 〈トラメチニブとの併用時〉筋骨格系:(10%以上)関節痛、筋肉痛、(1%〜10%未満)四肢痛、筋痙縮、血中CK増加、(1%未満)横紋筋融解症。

⑫. 〈トラメチニブとの併用時〉腎:(1%未満)腎炎、腎不全、尿細管間質性腎炎、急性腎障害。

⑬. 〈トラメチニブとの併用時〉全身:(10%以上)発熱(50.1%)、疲労、悪寒、無力症、(1%〜10%未満)末梢性浮腫、インフルエンザ様疾患、粘膜炎症、(1%未満)顔面浮腫。

⑭. 〈トラメチニブとの併用時〉その他:(1%〜10%未満)脂漏性角化症、(1%未満)乳頭腫、アクロコルドン、過敏症。

2). 〈本剤単独投与時〉

①. 〈本剤単独投与時〉感染症:(1%〜10%未満)鼻咽頭炎。

②. 〈本剤単独投与時〉代謝:(1%〜10%未満)高血糖、食欲減退、低リン酸血症。

③. 〈本剤単独投与時〉神経系:(10%以上)頭痛。

④. 〈本剤単独投与時〉心・血管:(頻度不明)QT間隔延長/QTc間隔延長。

⑤. 〈本剤単独投与時〉眼:(頻度不明)ぶどう膜炎。

⑥. 〈本剤単独投与時〉呼吸器:(1%〜10%未満)咳嗽。

⑦. 〈本剤単独投与時〉消化器:(1%〜10%未満)悪心、嘔吐、下痢、便秘、(1%未満)膵炎。

⑧. 〈本剤単独投与時〉皮膚:(10%以上)発疹、皮膚過角化(34%)、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、(1%〜10%未満)皮膚そう痒症、皮膚乾燥、日光角化症、皮膚病変、紅斑、光線過敏症、(頻度不明)脂肪織炎。

⑨. 〈本剤単独投与時〉筋骨格系:(10%以上)関節痛、(1%〜10%未満)筋肉痛、四肢痛。

⑩. 〈本剤単独投与時〉腎:(頻度不明)腎不全、急性腎障害、尿細管間質性腎炎。

⑪. 〈本剤単独投与時〉全身:(10%以上)疲労、発熱、無力症、(1%〜10%未満)悪寒、インフルエンザ様疾患。

⑫. 〈本剤単独投与時〉その他:(1%〜10%未満)乳頭腫、アクロコルドン、脂漏性角化症、(頻度不明)過敏症。

トラメチニブとの併用時の副作用頻度は臨床試験(MEK115306試験、MEK116513試験、F2301試験、E2201試験及びX2201試験)に基づき記載した。

本剤単独投与時の副作用頻度は海外臨床試験(BRF113683試験)に基づき記載した。

*)X2201試験の有毛細胞白血病患者(55例)で発現した副作用頻度に基づき記載した。

警告

1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 発熱が高頻度に認められ、重度脱水、低血圧を伴う例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬や解熱剤の投与など適切な処置を行うこと。

8.2. 有棘細胞癌(皮膚扁平上皮癌)、新たな原発性悪性黒色腫があらわれることがあるので、定期的に皮膚の状態を確認すること。また、皮膚の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること〔11.1.1参照〕。

8.3. 皮膚以外の部位に悪性腫瘍があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと〔11.1.2参照〕。

8.4. 心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、患者の心機能を確認し、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること〔9.1.1、11.1.3参照〕。

8.5. ぶどう膜炎(虹彩炎を含む)等の重篤な眼障害が報告されているので、定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

8.6. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと〔9.3.1、11.1.4参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 心疾患又はその既往歴のある患者:症状が悪化するおそれがある〔8.4、11.1.3参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 中等度以上の肝機能障害患者:本剤の曝露量が増加する可能性がある〔8.6、11.1.4参照〕。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。

9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は避妊を行うよう指導すること(マウス、ラット及びイヌでは雄性生殖器に悪影響が認められている)〔15.2.2参照〕。

相互作用

本剤はCYP2C8及び3A4の基質となる。また、本剤はCYP2C9及び3A4を誘導することが示されている〔16.7.1参照〕。

10.2. 併用注意:

1). CYP3A阻害剤(ケトコナゾール(経口剤は国内未承認)、クラリスロマイシン、リトナビル等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ずCYP3A阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現・増強に注意すること(これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある)]。

2). CYP2C8阻害剤(ゲムフィブロジル(国内未承認)等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP2C8阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ずCYP2C8阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現・増強に注意すること(これらの薬剤がCYP2C8を阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある)]。

3). CYP3A誘導剤及びCYP2C8誘導剤(リファンピシン等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、CYP3A及びCYP2C8誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤がCYP3A及びCYP2C8を誘導することにより、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する可能性がある)]。

4). CYP3A基質(ミダゾラム、経口避妊薬(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール等)、デキサメタゾン等)〔16.7.2参照〕[CYP3Aにより代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し有効性が減弱する可能性がある(本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

5). CYP2C9基質(ワルファリン等)〔16.7.2参照〕[CYP2C9により代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し有効性が減弱する可能性がある(本剤がCYP2C9を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

6). OATP1B1基質及びOATP1B3基質(HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロスバスタチン)等)〔16.7.2参照〕[OATP1B1及びOATP1B3の基質となる薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある(本剤がOATP1B1及びOATP1B3を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら注意して投与すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験では、ラットにおいて母動物体重増加量低値・胎仔体重低値、骨化遅延が20mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.3倍)以上の群でみられ、黄体数低値・着床数低値、着床前死亡率高値・着床後死亡率高値、生存胎仔数低値、心室中隔欠損及び胸腺分離が300mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約1.9倍)群で認められている)〔2.2、9.4.1参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトの乳汁中への移行は不明である)。

小児等

〈悪性黒色腫、非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

〈固形腫瘍〉低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。また、固形腫瘍の場合、6歳未満の患者に対する本剤の用法及び用量について、十分な検討は行われていない。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 臨床試験において、RAS遺伝子変異を有する腫瘍の発現が報告されている。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 変異型RASを伴う野生型BRAF細胞をBRAF阻害剤で処理することにより、MAPKシグナル伝達活性化が示されている。

15.2.2. マウス、ラット及びイヌにおいて精巣に悪影響/精巣上体に悪影響(精上皮変性、精細管萎縮、精子数減少等)が5mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.2倍)以上の群でみられ、ラット及びイヌでは休薬後においても回復性は認められなかった〔9.4.2参照〕。

15.2.3. マウス、ラット及びイヌにおいて心臓への悪影響又は血管への悪影響(冠動脈変性/冠動脈壊死、出血、房室弁肥大/房室弁出血、心房の線維血管性増殖、肝動脈変性、血管炎/血管周囲炎等)が15mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.5倍)以上の群でみられた。

15.2.4. イヌにおいて気管支肺胞炎症が20mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約8.4倍)以上の群でみられた。

15.2.5. In vitro3T3光毒性試験陽性を示し、また、ヘアレスマウスを用いたin vivo試験で100mg/kg(臨床曝露量(Cmax)の約31倍)以上の群で光毒性反応がみられた。

15.2.6. 幼若ラットにおいて、成長への影響・発達への影響(骨長短縮、膣開口早期化)が1mg/kg/日/3mg/kg/日(生後7〜21日の投与量/生後22〜35日の投与量)(成人の臨床曝露量(AUC)の約0.2倍)以上の群でみられた。また、同用量群で成熟動物では認められなかった腎臓への影響(尿細管変性等)等がみられた。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

タフィンラーカプセル75mg
後発品はありません
タフィンラーカプセル75mg
タフィンラーカプセル75mg

タフィンラーカプセル75mg

抗悪性腫瘍薬 > BRAF阻害薬
2023年11月改訂(第3版)
薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > BRAF阻害薬
一般名ダブラフェニブメシル酸塩カプセル
薬価7289
メーカーノバルティス ファーマ
最終更新2023年11月改訂(第3版)

用法・用量

〈悪性黒色腫〉

通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。ただし、悪性黒色腫で術後補助療法の場合には、トラメチニブと併用し、投与期間は12ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉

トラメチニブとの併用において、通常、成人にはダブラフェニブとして1回150mgを1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

〈固形腫瘍〉

トラメチニブとの併用において、通常、ダブラフェニブとして次の用量を1日2回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

・ 成人には、1回150mg。

・ 小児には、体重に合わせて次の用量。

1). 体重26kg以上38kg未満:1回75mg。

2). 体重38kg以上43kg未満:1回100mg。

3). 体重43kg以上51kg未満:1回125mg。

4). 体重51kg以上:1回150mg。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉トラメチニブ以外の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。

7.2. 〈効能共通〉食後に本剤を投与した場合、Cmax低下及びAUC低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。

7.3. 〈効能共通〉本剤投与により副作用が発現した場合には、次記の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。ただし、有棘細胞癌(皮膚扁平上皮癌)又は新たな原発性悪性黒色腫が発現した場合には、外科的切除等の適切な処置を行った上で、休薬、減量することなく治療を継続することができる。

[休薬、減量及び中止基準]

1). NCI−CTCAE*によるGrade判定が、忍容不能なGrade2又はGrade3:休薬、Grade1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開。

2). NCI−CTCAE*によるGrade判定が、Grade4:原則投与中止、治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合には、Grade1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開。

*)NCI−CTCAE v4.0によりGradeを判定。

[用量調節の目安(成人)]

1). 通常投与量:1回150mg(1日2回)。

2). 1段階減量:1回100mg(1日2回)。

3). 2段階減量:1回75mg(1日2回)。

4). 3段階減量:1回50mg(1日2回)。

5). 4段階減量:投与中止。

[用量調節の目安(小児)]

1). 通常投与量:1回75mg(1日2回):

①. 1段階減量:1回50mg(1日2回)。

②. 2段階減量:投与中止。

2). 通常投与量:1回100mg(1日2回):

①. 1段階減量:1回75mg(1日2回)。

②. 2段階減量:1回50mg(1日2回)。

③. 3段階減量:投与中止。

3). 通常投与量:1回125mg(1日2回)、1回150mg(1日2回):

①. 1段階減量:1回100mg(1日2回)。

②. 2段階減量:1回75mg(1日2回)。

③. 3段階減量:1回50mg(1日2回)。

④. 4段階減量:投与中止。

適切な処置により副作用が管理できた場合には、減量時と逆の段階を経て増量可。

7.4. 〈固形腫瘍〉26kg未満の小児患者における有効性及び安全性は確立していない。

効能・効果

1). BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫。

2). BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。

3). 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍<結腸・直腸癌を除く>。

4). BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈効能共通〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:

https://www.pmda.go.jp/review−services/drug−reviews/review−information/cd/0001.html。

5.2. 〈悪性黒色腫〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔17.1.1−17.1.5参照〕。

5.3. 〈非小細胞肺癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔17.1.6参照〕。

5.4. 〈非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.5. 〈固形腫瘍〉組織球症患者は本剤の投与対象となり得る。

5.6. 〈固形腫瘍〉臨床試験に組み入れられた患者のがん種等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.7、17.1.8参照〕。

5.7. 〈固形腫瘍〉本剤の手術の補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.8. 〈有毛細胞白血病〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.7参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 有棘細胞癌

1). 〈トラメチニブとの併用時〉有棘細胞癌:皮膚有棘細胞癌(0.5%)、ケラトアカントーマ(0.2%)、ボーエン病(0.5%)があらわれることがある。トラメチニブとの併用時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも有棘細胞癌の発現頻度に高い傾向が認められた(*皮膚有棘細胞癌(5.5%)、*扁平上皮癌(5.5%))〔8.2参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉有棘細胞癌:皮膚有棘細胞癌(1.6%)、ケラトアカントーマ(3.7%)、ボーエン病(頻度不明)があらわれることがある。単独投与時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも有棘細胞癌の発現頻度に高い傾向が認められた(*皮膚有棘細胞癌(頻度不明)、*扁平上皮癌(頻度不明))〔8.2参照〕。

11.1.2. 悪性腫瘍(二次発癌)

1). 〈トラメチニブとの併用時〉悪性腫瘍(二次発癌):原発性悪性黒色腫(0.1%)等の悪性腫瘍(二次発癌)があらわれることがある。トラメチニブとの併用時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも悪性腫瘍(二次発癌)の発現頻度に高い傾向が認められた(*基底細胞癌(12.7%))〔8.3参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉悪性腫瘍(二次発癌):原発性悪性黒色腫(1.1%)等の悪性腫瘍(二次発癌)があらわれることがある。単独投与時、臨床試験において、有毛細胞白血病患者では他がん種の患者よりも悪性腫瘍(二次発癌)の発現頻度に高い傾向が認められた(*基底細胞癌(頻度不明))〔8.3参照〕。

11.1.3. 心障害

1). 〈トラメチニブとの併用時〉心障害:心不全(0.1%)、左室機能不全(0.2%)、駆出率減少(5.9%)等の重篤な心障害があらわれることがある〔8.4、9.1.1参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉心障害:心不全(0.5%)、左室機能不全(1.4%)、駆出率減少(4.7%)等の重篤な心障害があらわれることがある〔8.4、9.1.1参照〕。

11.1.4. 肝機能障害

1). 〈トラメチニブとの併用時〉肝機能障害:ALT上昇(11.3%)、AST上昇(11.5%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.6、9.3.1参照〕。

2). 〈本剤単独投与時〉肝機能障害:ALT上昇(1.6%)、AST上昇(0.5%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.6、9.3.1参照〕。

11.1.5. 静脈血栓塞栓症

1). 〈トラメチニブとの併用時〉静脈血栓塞栓症(0.3%)。

2). 〈本剤単独投与時〉静脈血栓塞栓症(頻度不明)。

11.1.6. 脳血管障害

1). 〈トラメチニブとの併用時〉脳血管障害:脳出血(0.1%)、脳血管発作(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。

2). 〈本剤単独投与時〉脳血管障害:脳出血(頻度不明)、脳血管発作(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 〈トラメチニブとの併用時〉

①. 〈トラメチニブとの併用時〉感染症:(1%〜10%未満)毛包炎、膿疱性皮疹、(1%未満)蜂巣炎、尿路感染、上咽頭炎、爪囲炎。

②. 〈トラメチニブとの併用時〉血液:(1%〜10%未満)好中球減少症、貧血、血小板減少症、白血球減少症。

③. 〈トラメチニブとの併用時〉代謝:(1%〜10%未満)食欲減退、脱水、低ナトリウム血症、低リン血症、高血糖。

④. 〈トラメチニブとの併用時〉神経系:(10%以上)頭痛、(1%〜10%未満)浮動性めまい。

⑤. 〈トラメチニブとの併用時〉眼:(1%〜10%未満)霧視、ぶどう膜炎、視力障害、(1%未満)網膜色素上皮剥離、網脈絡膜症、網膜剥離、眼窩周囲浮腫。

⑥. 〈トラメチニブとの併用時〉心・血管:(1%〜10%未満)高血圧、低血圧、出血(鼻出血、歯肉出血等)、(1%未満)リンパ浮腫、徐脈、QT間隔延長/QTc間隔延長、(頻度不明)心拍数減少。

⑦. 〈トラメチニブとの併用時〉呼吸器:(1%〜10%未満)咳嗽、呼吸困難、(1%未満)肺臓炎、間質性肺炎。

⑧. 〈トラメチニブとの併用時〉消化器:(10%以上)悪心、下痢、嘔吐、(1%〜10%未満)便秘、腹痛、口内乾燥、口内炎、(1%未満)膵炎。

⑨. 〈トラメチニブとの併用時〉肝胆道系:(1%〜10%未満)ALP増加、γ−GTP増加。

⑩. 〈トラメチニブとの併用時〉皮膚:(10%以上)発疹、皮膚乾燥、(1%〜10%未満)皮膚そう痒症、ざ瘡様皮膚炎、紅斑、日光角化症、寝汗、皮膚過角化、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚病変、多汗症、脂肪織炎、皮膚亀裂、光線過敏症。

⑪. 〈トラメチニブとの併用時〉筋骨格系:(10%以上)関節痛、筋肉痛、(1%〜10%未満)四肢痛、筋痙縮、血中CK増加、(1%未満)横紋筋融解症。

⑫. 〈トラメチニブとの併用時〉腎:(1%未満)腎炎、腎不全、尿細管間質性腎炎、急性腎障害。

⑬. 〈トラメチニブとの併用時〉全身:(10%以上)発熱(50.1%)、疲労、悪寒、無力症、(1%〜10%未満)末梢性浮腫、インフルエンザ様疾患、粘膜炎症、(1%未満)顔面浮腫。

⑭. 〈トラメチニブとの併用時〉その他:(1%〜10%未満)脂漏性角化症、(1%未満)乳頭腫、アクロコルドン、過敏症。

2). 〈本剤単独投与時〉

①. 〈本剤単独投与時〉感染症:(1%〜10%未満)鼻咽頭炎。

②. 〈本剤単独投与時〉代謝:(1%〜10%未満)高血糖、食欲減退、低リン酸血症。

③. 〈本剤単独投与時〉神経系:(10%以上)頭痛。

④. 〈本剤単独投与時〉心・血管:(頻度不明)QT間隔延長/QTc間隔延長。

⑤. 〈本剤単独投与時〉眼:(頻度不明)ぶどう膜炎。

⑥. 〈本剤単独投与時〉呼吸器:(1%〜10%未満)咳嗽。

⑦. 〈本剤単独投与時〉消化器:(1%〜10%未満)悪心、嘔吐、下痢、便秘、(1%未満)膵炎。

⑧. 〈本剤単独投与時〉皮膚:(10%以上)発疹、皮膚過角化(34%)、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、(1%〜10%未満)皮膚そう痒症、皮膚乾燥、日光角化症、皮膚病変、紅斑、光線過敏症、(頻度不明)脂肪織炎。

⑨. 〈本剤単独投与時〉筋骨格系:(10%以上)関節痛、(1%〜10%未満)筋肉痛、四肢痛。

⑩. 〈本剤単独投与時〉腎:(頻度不明)腎不全、急性腎障害、尿細管間質性腎炎。

⑪. 〈本剤単独投与時〉全身:(10%以上)疲労、発熱、無力症、(1%〜10%未満)悪寒、インフルエンザ様疾患。

⑫. 〈本剤単独投与時〉その他:(1%〜10%未満)乳頭腫、アクロコルドン、脂漏性角化症、(頻度不明)過敏症。

トラメチニブとの併用時の副作用頻度は臨床試験(MEK115306試験、MEK116513試験、F2301試験、E2201試験及びX2201試験)に基づき記載した。

本剤単独投与時の副作用頻度は海外臨床試験(BRF113683試験)に基づき記載した。

*)X2201試験の有毛細胞白血病患者(55例)で発現した副作用頻度に基づき記載した。

警告

1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 発熱が高頻度に認められ、重度脱水、低血圧を伴う例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬や解熱剤の投与など適切な処置を行うこと。

8.2. 有棘細胞癌(皮膚扁平上皮癌)、新たな原発性悪性黒色腫があらわれることがあるので、定期的に皮膚の状態を確認すること。また、皮膚の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること〔11.1.1参照〕。

8.3. 皮膚以外の部位に悪性腫瘍があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと〔11.1.2参照〕。

8.4. 心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、患者の心機能を確認し、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること〔9.1.1、11.1.3参照〕。

8.5. ぶどう膜炎(虹彩炎を含む)等の重篤な眼障害が報告されているので、定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

8.6. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと〔9.3.1、11.1.4参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 心疾患又はその既往歴のある患者:症状が悪化するおそれがある〔8.4、11.1.3参照〕。

(肝機能障害患者)

9.3.1. 中等度以上の肝機能障害患者:本剤の曝露量が増加する可能性がある〔8.6、11.1.4参照〕。

(生殖能を有する者)

9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。

9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は避妊を行うよう指導すること(マウス、ラット及びイヌでは雄性生殖器に悪影響が認められている)〔15.2.2参照〕。

相互作用

本剤はCYP2C8及び3A4の基質となる。また、本剤はCYP2C9及び3A4を誘導することが示されている〔16.7.1参照〕。

10.2. 併用注意:

1). CYP3A阻害剤(ケトコナゾール(経口剤は国内未承認)、クラリスロマイシン、リトナビル等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ずCYP3A阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現・増強に注意すること(これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある)]。

2). CYP2C8阻害剤(ゲムフィブロジル(国内未承認)等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP2C8阻害作用のない薬剤への代替を考慮し、やむを得ずCYP2C8阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現・増強に注意すること(これらの薬剤がCYP2C8を阻害することにより、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある)]。

3). CYP3A誘導剤及びCYP2C8誘導剤(リファンピシン等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、CYP3A及びCYP2C8誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤がCYP3A及びCYP2C8を誘導することにより、本剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する可能性がある)]。

4). CYP3A基質(ミダゾラム、経口避妊薬(ノルエチステロン・エチニルエストラジオール等)、デキサメタゾン等)〔16.7.2参照〕[CYP3Aにより代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し有効性が減弱する可能性がある(本剤がCYP3Aを誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

5). CYP2C9基質(ワルファリン等)〔16.7.2参照〕[CYP2C9により代謝される薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が低下し有効性が減弱する可能性がある(本剤がCYP2C9を誘導することにより、これらの薬剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。

6). OATP1B1基質及びOATP1B3基質(HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロスバスタチン)等)〔16.7.2参照〕[OATP1B1及びOATP1B3の基質となる薬剤と併用する場合は、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある(本剤がOATP1B1及びOATP1B3を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら注意して投与すること(一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験では、ラットにおいて母動物体重増加量低値・胎仔体重低値、骨化遅延が20mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.3倍)以上の群でみられ、黄体数低値・着床数低値、着床前死亡率高値・着床後死亡率高値、生存胎仔数低値、心室中隔欠損及び胸腺分離が300mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約1.9倍)群で認められている)〔2.2、9.4.1参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトの乳汁中への移行は不明である)。

小児等

〈悪性黒色腫、非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

〈固形腫瘍〉低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。また、固形腫瘍の場合、6歳未満の患者に対する本剤の用法及び用量について、十分な検討は行われていない。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

15.1.1. 臨床試験において、RAS遺伝子変異を有する腫瘍の発現が報告されている。

15.2. 非臨床試験に基づく情報

15.2.1. 変異型RASを伴う野生型BRAF細胞をBRAF阻害剤で処理することにより、MAPKシグナル伝達活性化が示されている。

15.2.2. マウス、ラット及びイヌにおいて精巣に悪影響/精巣上体に悪影響(精上皮変性、精細管萎縮、精子数減少等)が5mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.2倍)以上の群でみられ、ラット及びイヌでは休薬後においても回復性は認められなかった〔9.4.2参照〕。

15.2.3. マウス、ラット及びイヌにおいて心臓への悪影響又は血管への悪影響(冠動脈変性/冠動脈壊死、出血、房室弁肥大/房室弁出血、心房の線維血管性増殖、肝動脈変性、血管炎/血管周囲炎等)が15mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.5倍)以上の群でみられた。

15.2.4. イヌにおいて気管支肺胞炎症が20mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約8.4倍)以上の群でみられた。

15.2.5. In vitro3T3光毒性試験陽性を示し、また、ヘアレスマウスを用いたin vivo試験で100mg/kg(臨床曝露量(Cmax)の約31倍)以上の群で光毒性反応がみられた。

15.2.6. 幼若ラットにおいて、成長への影響・発達への影響(骨長短縮、膣開口早期化)が1mg/kg/日/3mg/kg/日(生後7〜21日の投与量/生後22〜35日の投与量)(成人の臨床曝露量(AUC)の約0.2倍)以上の群でみられた。また、同用量群で成熟動物では認められなかった腎臓への影響(尿細管変性等)等がみられた。

貯法

(保管上の注意)

室温保存。

後発品はありません
薬剤情報

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