抗悪性腫瘍薬 > RET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤
薬効分類 | 抗悪性腫瘍薬 > RET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤 |
一般名 | セルペルカチニブカプセル |
薬価 | 7717.4円 |
メーカー | 日本イーライリリー |
最終更新 | 2023年06月改訂(第5版) |
〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
通常、成人にはセルペルカチニブとして1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉
通常、成人にはセルペルカチニブとして1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、12歳以上の小児には体表面積に合わせて次の投与量(セルペルカチニブとして1回約92mg/㎡)を1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
[小児の用量]
1). 体表面積1.2㎡未満:1回投与量80mg。
2). 体表面積1.2㎡以上1.6㎡未満:1回投与量120mg。
3). 体表面積1.6㎡以上:1回投与量160mg。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。
[成人の場合 本剤の減量の目安]
1). 通常投与量:1回160mg1日2回。
2). 1段階減量:1回120mg1日2回。
3). 2段階減量:1回80mg1日2回。
4). 3段階減量:1回40mg1日2回。
[小児の場合 本剤の減量の目安]
1). 体表面積1.2㎡未満:
①. 通常投与量:1回80mg1日2回。
②. 1段階減量:1回40mg/1回80mg1日2回(1日量120mg)。
③. 2段階減量:1回40mg1日2回。
④. 3段階減量*:1回40mg1日1回。
2). 体表面積1.2㎡以上1.6㎡未満:
①. 通常投与量:1回120mg1日2回。
②. 1段階減量:1回80mg1日2回。
③. 2段階減量:1回40mg/1回80mg1日2回(1日量120mg)。
④. 3段階減量*:1回40mg1日1回。
3). 体表面積1.6㎡以上:
①. 通常投与量:1回160mg1日2回。
②. 1段階減量:1回120mg1日2回。
③. 2段階減量:1回80mg1日2回。
④. 3段階減量:1回40mg1日2回。
*)過敏症発現時のみ(過敏症以外で2段階減量において忍容性が得られない場合、投与中止)。
[副作用に対する休薬、減量及び中止基準]
1). グレード3のALT増加又はグレード3のAST増加又はグレード4のALT増加又はグレード4のAST増加:グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は2段階減量して投与再開できる(再開後に2週間以上再発しない場合には、1段階増量することができ、更に4週間以上再発しない場合には、もう1段階増量することができるが、減量した用量で投与中に再発した場合には、中止する)。
2). QT間隔延長:
①. QTc間隔>500msec:QTc間隔<470msecに回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる(2段階減量した用量で投与中に再発した場合には、中止する)。
②. QT間隔延長で重篤な不整脈を疑う所見や症状が認められた場合:中止する。
3). グレード3の高血圧又はグレード4の高血圧:回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる。
4). グレード1〜4の過敏症<アナフィラキシー等の重篤な過敏症を除く>〔11.1.3参照〕:回復するまで休薬し、副腎皮質ステロイドの全身投与を考慮し、回復後は副腎皮質ステロイドを併用しながら3段階減量して投与再開できる(再開後に7日以上再発しない場合には、1段階ずつ発現時の用量まで増量でき、増量後に7日以上再発しない場合には、副腎皮質ステロイドを漸減する)。
5). 間質性肺疾患:
①. グレード2の間質性肺疾患:回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる。
②. グレード3の間質性肺疾患又はグレード4の間質性肺疾患:中止する。
6). 前記以外のグレード3の副作用又はグレード4の副作用:回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる。
グレードはNCI−CTCAE ver.4.03に準じる。
1). RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。
2). RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌。
3). RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設により、RET融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。
5.2. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
5.3. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.4. 〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設により、RET融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。
5.5. 〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌〉RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌の場合、放射性ヨウ素による治療の適応となる患者においては、当該治療を優先すること。
5.6. 〈RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設により、RET遺伝子変異が確認された患者に投与すること(生殖細胞系列のRET遺伝子変異が陰性又は不明の場合は、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いて検査を行うこと)。
5.7. 〈RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
*)承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review−services/drug−reviews/review−information/cd/0001.html。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害(30.8%)〔8.1参照〕。
11.1.2. QT間隔延長(14.5%)〔8.2、9.1.1、17.3.1参照〕。
11.1.3. 過敏症(5.3%):発疹、発熱等の症状を伴う遅発性過敏症があらわれることがある〔7.2参照〕。
11.1.4. 高血圧(31.8%)〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 間質性肺疾患(0.8%)〔8.4、9.1.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(20%以上)口内乾燥(35.3%)、下痢、(5〜20%未満)便秘、悪心、腹痛、(5%未満)嘔吐。
2). 一般・全身及び投与部位反応:(20%以上)疲労、浮腫、(5〜20%未満)発熱。
3). 呼吸器:(5%未満)鼻出血。
4). 内分泌:(5〜20%未満)甲状腺機能低下症。
5). 代謝・栄養障害:(5〜20%未満)食欲減退。
6). 精神神経系:(5〜20%未満)頭痛、(5%未満)浮動性めまい。
7). 皮膚:(5〜20%未満)発疹。
8). 血液:(5〜20%未満)血小板減少、好中球減少、(5%未満)貧血。
9). 臨床検査値異常:(5〜20%未満)血中クレアチニン増加、(5%未満)リンパ球減少症、低マグネシウム血症。
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対しアナフィラキシー等の重篤な過敏症の既往歴のある患者。
8.1. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.1参照〕。
8.2. QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤の投与開始前には患者のQTc間隔が470msec以下であることを確認するとともに投与開始前に血清電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行うこと(心電図及び血清電解質検査を投与開始後1週間時点及び投与開始後6ヵ月間は毎月1回行い、以降も必要に応じて行うこと、また、必要に応じて電解質補正を行うこと)〔11.1.2、17.3.1参照〕。
8.3. 高血圧があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に血圧が適切に管理されていることを確認すること(本剤投与中は定期的に血圧を測定すること)。
8.4. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部画像検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること〔9.1.3、11.1.5参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が発現するおそれがある。先天性QT延長症候群/後天性QT延長症候群又はその他不整脈の要因になる病態を有する患者には慎重に投与すること〔11.1.2、17.3.1参照〕。
9.1.2. 高血圧症の患者:高血圧が悪化するおそれがある〔11.1.4参照〕。
9.1.3. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある〔8.4、11.1.5参照〕。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重度肝機能障害のある患者(Child−Pugh分類C):減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある)〔16.6.2参照〕。
(生殖能を有する者)
9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔15.2.1参照〕。
9.4.3. 成長期にある若年男性又は男児に投与する場合には、造精機能低下があらわれる可能性があることを考慮すること(幼若ラットにおいて、精巣精上皮変性、精巣上体精子枯渇、精子運動率低値、異常形態精子比率高値及び受胎能低下が認められ、精巣及び精巣上体の所見に回復性は認められていない)。
本剤は、主にCYP3A4によって代謝され、CYP2C8及び3Aの阻害作用を示す。
また、本剤の溶解度はpHの上昇により低下する。
10.2. 併用注意:
1). CYP2C8の基質となる薬剤(レパグリニド、ピオグリタゾン、モンテルカスト等)〔16.7.6参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP2C8を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
2). CYP3Aの基質となる薬剤(ミダゾラム、トリアゾラム、ロミタピド等)〔16.7.5参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP3Aを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
3). CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン等)〔16.7.1、16.7.2参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
4). CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、ボセンタン等)〔16.7.3、16.7.4参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
5). セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有製品(St.John’s Wort)[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、摂取しないよう注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
6). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール等)〔16.7.7参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤とともに食後に投与すること(これらの薬剤による胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
7). H2受容体拮抗剤(ラニチジン、ファモチジン、シメチジン等)〔16.7.8参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤と服用時間をずらすこと(ラニチジンを本剤投与10時間前及び2時間後に投与したときの本剤の血中濃度への影響は限定的であった)(これらの薬剤による胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
8). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等)[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤と服用時間をずらすこと(制酸剤を本剤投与2時間前又は2時間後に投与したときの本剤の血中濃度への影響は限定的であった)(これらの薬剤による胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットを用いた胚・胎仔発生毒性試験において、臨床曝露量(AUC)と同程度の曝露量で胎仔死亡及び胎仔奇形が認められている)〔9.4.1参照〕。
(授乳婦)
授乳しないことが望ましい(乳汁移行に関するデータはないが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある)。
9.7.1. 〈効能共通〉成長期にある若年者においては骨端線に異常がないか十分に観察すること(骨端線異常が認められた場合には、投与継続の可否を慎重に判断すること)〔15.2.2参照〕。
9.7.2. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.3. 〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
15.2.1. セルペルカチニブは、ラット小核試験において、臨床用量160mg1日2回で得られるCmaxの5.2倍に相当する用量で遺伝毒性陽性であった〔9.4.2参照〕。
15.2.2. 動物試験(成長板が閉鎖していない幼若ラット、若齢ラット及び若齢ミニブタ)において、本剤の反復投与により骨端成長板異常(骨端軟骨肥大、骨端軟骨過形成及び骨端軟骨異形成)が、ヒトに160mg1日2回の用量で投与したときの臨床曝露量よりも低い曝露量で認められている。また、幼若ラットにおいて、骨端成長板の変化に関連して、骨密度低値及び大腿骨長低値が、ヒトに160mg1日2回の用量で投与したときの臨床曝露量のそれぞれ0.8倍及び1.9倍で認められている〔9.7.1参照〕。
(保管上の注意)
室温保存。
薬効分類 | 抗悪性腫瘍薬 > RET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤 |
一般名 | セルペルカチニブカプセル |
薬価 | 7717.4円 |
メーカー | 日本イーライリリー |
最終更新 | 2023年06月改訂(第5版) |
〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
通常、成人にはセルペルカチニブとして1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉
通常、成人にはセルペルカチニブとして1回160mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、12歳以上の小児には体表面積に合わせて次の投与量(セルペルカチニブとして1回約92mg/㎡)を1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
[小児の用量]
1). 体表面積1.2㎡未満:1回投与量80mg。
2). 体表面積1.2㎡以上1.6㎡未満:1回投与量120mg。
3). 体表面積1.6㎡以上:1回投与量160mg。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を考慮して、休薬・減量・中止すること。
[成人の場合 本剤の減量の目安]
1). 通常投与量:1回160mg1日2回。
2). 1段階減量:1回120mg1日2回。
3). 2段階減量:1回80mg1日2回。
4). 3段階減量:1回40mg1日2回。
[小児の場合 本剤の減量の目安]
1). 体表面積1.2㎡未満:
①. 通常投与量:1回80mg1日2回。
②. 1段階減量:1回40mg/1回80mg1日2回(1日量120mg)。
③. 2段階減量:1回40mg1日2回。
④. 3段階減量*:1回40mg1日1回。
2). 体表面積1.2㎡以上1.6㎡未満:
①. 通常投与量:1回120mg1日2回。
②. 1段階減量:1回80mg1日2回。
③. 2段階減量:1回40mg/1回80mg1日2回(1日量120mg)。
④. 3段階減量*:1回40mg1日1回。
3). 体表面積1.6㎡以上:
①. 通常投与量:1回160mg1日2回。
②. 1段階減量:1回120mg1日2回。
③. 2段階減量:1回80mg1日2回。
④. 3段階減量:1回40mg1日2回。
*)過敏症発現時のみ(過敏症以外で2段階減量において忍容性が得られない場合、投与中止)。
[副作用に対する休薬、減量及び中止基準]
1). グレード3のALT増加又はグレード3のAST増加又はグレード4のALT増加又はグレード4のAST増加:グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は2段階減量して投与再開できる(再開後に2週間以上再発しない場合には、1段階増量することができ、更に4週間以上再発しない場合には、もう1段階増量することができるが、減量した用量で投与中に再発した場合には、中止する)。
2). QT間隔延長:
①. QTc間隔>500msec:QTc間隔<470msecに回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる(2段階減量した用量で投与中に再発した場合には、中止する)。
②. QT間隔延長で重篤な不整脈を疑う所見や症状が認められた場合:中止する。
3). グレード3の高血圧又はグレード4の高血圧:回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる。
4). グレード1〜4の過敏症<アナフィラキシー等の重篤な過敏症を除く>〔11.1.3参照〕:回復するまで休薬し、副腎皮質ステロイドの全身投与を考慮し、回復後は副腎皮質ステロイドを併用しながら3段階減量して投与再開できる(再開後に7日以上再発しない場合には、1段階ずつ発現時の用量まで増量でき、増量後に7日以上再発しない場合には、副腎皮質ステロイドを漸減する)。
5). 間質性肺疾患:
①. グレード2の間質性肺疾患:回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる。
②. グレード3の間質性肺疾患又はグレード4の間質性肺疾患:中止する。
6). 前記以外のグレード3の副作用又はグレード4の副作用:回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与再開できる。
グレードはNCI−CTCAE ver.4.03に準じる。
1). RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。
2). RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌。
3). RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設により、RET融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。
5.2. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
5.3. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.4. 〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設により、RET融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。
5.5. 〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌〉RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌の場合、放射性ヨウ素による治療の適応となる患者においては、当該治療を優先すること。
5.6. 〈RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設により、RET遺伝子変異が確認された患者に投与すること(生殖細胞系列のRET遺伝子変異が陰性又は不明の場合は、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いて検査を行うこと)。
5.7. 〈RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
*)承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review−services/drug−reviews/review−information/cd/0001.html。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害(30.8%)〔8.1参照〕。
11.1.2. QT間隔延長(14.5%)〔8.2、9.1.1、17.3.1参照〕。
11.1.3. 過敏症(5.3%):発疹、発熱等の症状を伴う遅発性過敏症があらわれることがある〔7.2参照〕。
11.1.4. 高血圧(31.8%)〔9.1.2参照〕。
11.1.5. 間質性肺疾患(0.8%)〔8.4、9.1.3参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 消化器:(20%以上)口内乾燥(35.3%)、下痢、(5〜20%未満)便秘、悪心、腹痛、(5%未満)嘔吐。
2). 一般・全身及び投与部位反応:(20%以上)疲労、浮腫、(5〜20%未満)発熱。
3). 呼吸器:(5%未満)鼻出血。
4). 内分泌:(5〜20%未満)甲状腺機能低下症。
5). 代謝・栄養障害:(5〜20%未満)食欲減退。
6). 精神神経系:(5〜20%未満)頭痛、(5%未満)浮動性めまい。
7). 皮膚:(5〜20%未満)発疹。
8). 血液:(5〜20%未満)血小板減少、好中球減少、(5%未満)貧血。
9). 臨床検査値異常:(5〜20%未満)血中クレアチニン増加、(5%未満)リンパ球減少症、低マグネシウム血症。
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対しアナフィラキシー等の重篤な過敏症の既往歴のある患者。
8.1. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.1参照〕。
8.2. QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤の投与開始前には患者のQTc間隔が470msec以下であることを確認するとともに投与開始前に血清電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行うこと(心電図及び血清電解質検査を投与開始後1週間時点及び投与開始後6ヵ月間は毎月1回行い、以降も必要に応じて行うこと、また、必要に応じて電解質補正を行うこと)〔11.1.2、17.3.1参照〕。
8.3. 高血圧があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に血圧が適切に管理されていることを確認すること(本剤投与中は定期的に血圧を測定すること)。
8.4. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部画像検査の実施等、患者の状態を十分に観察すること。また、患者に副作用について説明するとともに、間質性肺疾患の初期症状が発現した場合には、速やかに医療機関を受診するよう説明すること〔9.1.3、11.1.5参照〕。
(特定の背景を有する患者に関する注意)
(合併症・既往歴等のある患者)
9.1.1. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が発現するおそれがある。先天性QT延長症候群/後天性QT延長症候群又はその他不整脈の要因になる病態を有する患者には慎重に投与すること〔11.1.2、17.3.1参照〕。
9.1.2. 高血圧症の患者:高血圧が悪化するおそれがある〔11.1.4参照〕。
9.1.3. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある〔8.4、11.1.5参照〕。
(肝機能障害患者)
9.3.1. 重度肝機能障害のある患者(Child−Pugh分類C):減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある)〔16.6.2参照〕。
(生殖能を有する者)
9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔15.2.1参照〕。
9.4.3. 成長期にある若年男性又は男児に投与する場合には、造精機能低下があらわれる可能性があることを考慮すること(幼若ラットにおいて、精巣精上皮変性、精巣上体精子枯渇、精子運動率低値、異常形態精子比率高値及び受胎能低下が認められ、精巣及び精巣上体の所見に回復性は認められていない)。
本剤は、主にCYP3A4によって代謝され、CYP2C8及び3Aの阻害作用を示す。
また、本剤の溶解度はpHの上昇により低下する。
10.2. 併用注意:
1). CYP2C8の基質となる薬剤(レパグリニド、ピオグリタゾン、モンテルカスト等)〔16.7.6参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP2C8を阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
2). CYP3Aの基質となる薬剤(ミダゾラム、トリアゾラム、ロミタピド等)〔16.7.5参照〕[これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(本剤がCYP3Aを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
3). CYP3A阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン等)〔16.7.1、16.7.2参照〕[本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
4). CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、ボセンタン等)〔16.7.3、16.7.4参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
5). セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有製品(St.John’s Wort)[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、摂取しないよう注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
6). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、エソメプラゾール等)〔16.7.7参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤とともに食後に投与すること(これらの薬剤による胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
7). H2受容体拮抗剤(ラニチジン、ファモチジン、シメチジン等)〔16.7.8参照〕[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤と服用時間をずらすこと(ラニチジンを本剤投与10時間前及び2時間後に投与したときの本剤の血中濃度への影響は限定的であった)(これらの薬剤による胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
8). 制酸剤<PPI・H2ブロッカー以外>(炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等)[本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること、やむを得ず併用する場合には、本剤と服用時間をずらすこと(制酸剤を本剤投与2時間前又は2時間後に投与したときの本剤の血中濃度への影響は限定的であった)(これらの薬剤による胃内pHの上昇により、本剤の吸収が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
(妊婦)
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットを用いた胚・胎仔発生毒性試験において、臨床曝露量(AUC)と同程度の曝露量で胎仔死亡及び胎仔奇形が認められている)〔9.4.1参照〕。
(授乳婦)
授乳しないことが望ましい(乳汁移行に関するデータはないが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある)。
9.7.1. 〈効能共通〉成長期にある若年者においては骨端線に異常がないか十分に観察すること(骨端線異常が認められた場合には、投与継続の可否を慎重に判断すること)〔15.2.2参照〕。
9.7.2. 〈RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.3. 〈RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺癌、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様癌〉12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
(適用上の注意)
14.1. 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
15.2. 非臨床試験に基づく情報
15.2.1. セルペルカチニブは、ラット小核試験において、臨床用量160mg1日2回で得られるCmaxの5.2倍に相当する用量で遺伝毒性陽性であった〔9.4.2参照〕。
15.2.2. 動物試験(成長板が閉鎖していない幼若ラット、若齢ラット及び若齢ミニブタ)において、本剤の反復投与により骨端成長板異常(骨端軟骨肥大、骨端軟骨過形成及び骨端軟骨異形成)が、ヒトに160mg1日2回の用量で投与したときの臨床曝露量よりも低い曝露量で認められている。また、幼若ラットにおいて、骨端成長板の変化に関連して、骨密度低値及び大腿骨長低値が、ヒトに160mg1日2回の用量で投与したときの臨床曝露量のそれぞれ0.8倍及び1.9倍で認められている〔9.7.1参照〕。
(保管上の注意)
室温保存。
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