【Lancet】脳梗塞に対するテネクテプラーゼによる血栓溶解療法、アルテプラーゼと比べ非劣性
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海外ジャーナルクラブ

2年前

【Lancet】脳梗塞に対するテネクテプラーゼによる血栓溶解療法、アルテプラーゼと比べ非劣性

【Lancet】脳梗塞に対するテネクテプラーゼによる血栓溶解療法、アルテプラーゼと比べ非劣性
Menon BKらは, 脳梗塞で血栓溶解療法の適応となる患者1,600名を対象に, テネクテプラーゼの効果を検討する多施設共同非盲検並行群間無作為化比較試験 (AcT試験) を実施. その結果, テネクテプラーゼによる治療がアルテプラーゼを用いた標準治療に比べ非劣性であることが明らかとなった. 本研究はLancet誌において発表された.

背景

脳梗塞に対する血栓溶解療法として, アルテプラーゼのボーラス投与とその後の持続点滴が世界的に標準治療となっている.

方法

  • 対象:脳梗塞の診断を受け, 症状発現後4~5時間以内に来院し, カナダのガイドラインに基づく血栓溶解療法の適応となる18歳以上の患者1600名.
  • 以下の2群に1対1の割合で無作為に割り付け.
  • テネクテプラーゼ群:816名 (0.25 mg/kg, 最大25 mg) を静脈内投与.
  • アルテプラーゼ群:784名 (0.9 mg/kg, 最大90 mg, ボーラスとして0.09 mg/kg, その後残りの0.81mg/kgを60分点滴) を持続投与.
  • 主要評価項目:治療後 90~120 日の時点でmRSスコアが 0~1 となった患者の割合.

結果

登録患者の内, 1577人がITT集団に含まれた (テネクテプラーゼ群:806例, アルテプラーゼ群:771例). 年齢中央値は74歳, 女性 47.9% (755例), 男性:52.1% (822例) であった.

有効性評価

テネクテプラーゼ群:802例中296例 (36.9%) , アルテプラーゼ群:765例中266例 (34.8%) が主要評価項目を達成し, 事前に定めた非劣性基準値を満たしていた (未調整リスク差 2.1%, 95%CI -2.6~6.9) .

安全性評価

24時間以内の症候性脳出血

  • テネクテプラーゼ群:800例中27例 (3.4%)
  • アルテプラーゼ群:763例中24例 (3.2%)

治療開始後90日以内の死亡

  • テネクテプラーゼ群:796例中122例 (15.3%)
  • アルテプラーゼ群:763例中117例 (15.4%)

結果の解釈

テネクテプラーゼ (0.25 mg/kg) の静注は, 血栓溶解療法の標準的な基準を満たす全ての脳梗塞患者において, アルテプラーゼの代替薬として妥当である.

原著

Menon BK, et al, Intravenous tenecteplase compared with alteplase for acute ischaemic stroke in Canada (AcT): a pragmatic, multicentre, open-label, registry-linked, randomised, controlled, non-inferiority trial. Lancet. 2022 Jun 28;S0140-6736(22)01054-6. PMID: 35779553

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
投与方法の簡便さ、またその効果からテネクテプラーゼが注目されています. 国内でも脳梗塞患者を対象としたアルテプラーゼとの無作為化比較試験(T-FLAVOR試験) が開始されています.

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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