【口腔カンジダ症】治療薬4種類比較!使いやすい薬はどれ? (2019年発売 オラビ他)
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2年前

【口腔カンジダ症】治療薬4種類比較!使いやすい薬はどれ? (2019年発売 オラビ他)

【口腔カンジダ症】治療薬4種類比較!使いやすい薬はどれ? (2019年発売 オラビ他)

口腔カンジダ症とは

Candida属は消化管や皮膚、 粘膜に常在する真菌の一種です. 口腔カンジダの原因となる菌種は様々ですが大部分はCandida albicansによるものです. 乳児、 高齢者、 局所・全身の免疫不全患者に好発しますが、 ドライマウス (口腔内乾燥) や抗生物質の連用、 吸入ステロイドの使用も発症の原因となります.

軽症口腔カンジダ症の治療

局所療法 (外用療法) が推奨される

治療には抗真菌薬が用いられますが、 軽症では 「局所療法」 が推奨されています. 

日本医真菌学会の『侵襲性カンジダ症に対するマネジメントのための臨床実践ガイドライン』(2021) では、 MCZゲル、 MCZ付着錠、 クロトリマゾールトローチ、 AMPH-Bシロップによる局所療法が推奨されています.

局所療法では、 抗真菌薬の濃度、 量、 接触時間の影響を考慮して投与を行うことが重要です.

前ガイドライン (2013年版) では、 イトラコナゾール内用液による含銜(がんかん)法(swish and swallow)も推奨されていましたが、 コストや相互作用のリスクを考慮すると使用すべきでないとされています.

適応を持つ薬剤の比較

【口腔カンジダ症】治療薬4種類比較!使いやすい薬はどれ? (2019年発売 オラビ他)
添付文書上、ファンギゾン/ハリゾンシロップは小児用量のみ、エンペシドトローチはHIV合併のみの適応.

MCZについては併用禁忌が存在するため注意が必要ですが、 これらが問題なければ MCZゲル/付着錠が第一選択とされています.

各薬剤の使用方法

※投与期間は原則として14日間とされていますが、 MCZゲルとクロトリマゾールトローチには7日間で効果判定を行う旨が記載されています.

💊フロリードゲル経口用2% (MCZゲル)

通常、 成人にはMCZとして1日200~400mg (MCZ ゲル10~20g) を4回に分け、 口腔内に満遍なく塗布. 病巣が広範囲に存在する場合、 口腔内にできるだけ長く含んだ後、 嚥下する. 

💊オラビ®錠口腔用50mg (MCZ付着錠)

通常、 成人には1回1錠 (MCZとして50mg) を1日1回、 上顎歯肉 (犬歯窩) に付着し用いる. 

💊ファンギゾン® / ハリゾンシロップ100mg/mL (AMPH-Bシロップ)

通常、 小児には1回0.5~1mL (AMPH-Bとして50~100mg) を1日2~4回食後経口投与する (舌で患部に広くゆきわたらせ、 できるだけ長く含んだ後、 嚥下させること) .  

💊エンペシド®トローチ10mg (クロトリマゾールトローチ)

通常、 成人には1回1錠 (クロトリマゾールとして10mg) を1日5回口腔内投与する (起床から就寝までの間に、 3~4時間ごとに使用する). 本剤は口腔内で唾液により徐々に溶解しながら用いるもので、 噛み砕いたり、 呑み込んだり、 強くしゃぶったりせずに、 完全に溶解するまで口腔内に留めて使用すること. 

オラビ®錠口腔用について

  • 口腔カンジダに対する適応を持つ最も新しい薬剤です (2019年2月発売).
  • 片面が湾曲した形を持つ錠剤で、 唾液によって付着しやすくなる性質を持っています.
  • 湾曲した面を上顎歯肉 (犬歯窩) に嵌め込むように接着し、 そのまま6時間以上保持することで口腔内をMCZで満たして効果を発揮します.

メリット

  • ゲルに対して少ない投与量で同等の効果を発揮します. (フロリードゲル200~400mg/日、 オラビ®錠50mg/日)
  • 1日4回塗布が必要なフロリードゲル経口用に対し、 1日1回の投与で済むため簡便になります. また、 範囲が広い場合は塗布するのが大変ですが、 オラビ®の場合、 口腔内に保持するだけで治療を行うことができます.

デメリット

  • 6時間以上も上顎歯肉 (犬歯窩) に保持しておく必要があり、 どちらが使いやすいかは患者さんごとに異なると思われます.
  • 義歯の場合は犬歯窩に貼付しづらい場合があり、 義歯の床部分に接する義歯性口内炎の紅斑性/萎縮性カンジダには薬剤が到達しづらい (ゲルは直接塗布できる) .

難治例の治療

深在性や表在性でも再発を繰り返す難治例については、 局所療法ではなく内服による全身投与が適応となります. その場合の第一選択はイトラコナゾール内用液とされています.

相互作用

イトラコナゾール (イトリゾール®内用液) 、 MCZ (フロリードゲル経口用、 オラビ®錠口腔用) については以下にまとめるように併用禁忌が多く存在するため、 処方の際には注意が必要となります.

【口腔カンジダ症】治療薬4種類比較!使いやすい薬はどれ? (2019年発売 オラビ他)

HOKUTO関連コンテンツ

薬剤添付文書

💊 フロリードゲル経口用2%

💊 オラビ®錠口腔用50mg

💊 ファンギゾン®シロップ100mg/mL

💊 ハリゾンシロップ100mg/mL

💊 エンペシド®トローチ10mg

最終更新:2022年6月10日
執筆:ぺんぎん薬剤師 @penguin_pharm
監修:聖路加国際病院救急部 清水真人

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