【FRESCO-2】fruquintinib、 日本人大腸がんでも有効
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HOKUTO編集部

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【FRESCO-2】fruquintinib、 日本人大腸がんでも有効

【FRESCO-2】fruquintinib、 日本人大腸がんでも有効
記事更新:2023年3月24日

主解析の結果では、 OS・PFSともに有意に延長

fruquintinib (本邦未承認) は、 血管内皮増殖因子受容体 (VEGFR) -1、 2、 3に対する経口チロンシンキナーゼ阻害薬 (TKI) である。

日本も参加した国際第Ⅲ相ランダム化比較試験FRESCO-2では、 治療抵抗性かつ転移性の大腸がん患者を対象に、 fruquintinibの有効性および安全性をプラセボを対照に検証。

昨年 (2022年) の欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2022) では、 同試験の主解析の結果が報告され、 全生存期間 (OS) 中央値、 および無増悪生存期間 (PFS) 中央値の有意な延長が示された。

主解析 (687例) の結果

【主要評価項目】OS中央値

  • fruquintinib群:7.4カ月
  • プラセボ群:4.8カ月

P<0.001 HR 0.66 (95%CI 0.55〜0.80)

【副次評価項目】PFS中央値

  • fruquintinib群:3.7カ月
  • プラセボ群:1.8カ月

P<0.001 HR 0.32 (95%CI 0.27〜0.39)

JSMO 2023では、 同試験の日本人集団におけるサブ解析の結果が、 国立がん研究センター東病院消化管内科の小谷大輔氏により初めて報告された。

グレード3以上のAE発現が日本人ではやや高い傾向に

日本人サブ解析の結果

FRESCO-2試験に登録された日本人患者はfruquintinib群で40例、 プラセボ群で16例。

主な結果は以下のとおりで、 OS、 PFSともにfruquintinib群で良好な傾向を認めた。

OS中央値 (95%CI)

  • fruquintinib群:6.9カ月 (6.0カ月〜NR)
  • プラセボ群:5.6カ月 (2.4〜7.0カ月)

P=0.055 HR 0.419 (95%CI 0.191〜0.921)

PFS中央値 (95%CI)

  • fruquintinib群:3.6カ月 (2.6〜5.5カ月)
  • プラセボ群:1.8カ月 (1.6〜2.2カ月)

P=0.004 HR 0.272 (95%CI 0.132〜0.562)

グレード3以上の主なAEは高血圧、 手足症候群、 蛋白尿

主なグレード3以上の有害事象 (AE) として、 高血圧 (23.1%)、 手足症候群 (17.9%)、 蛋白尿 (7.7%) を認めた。

これらは、 FRESCO-2 試験の全集団と比較して、 日本人集団ではやや頻度が高い傾向だったものの、 小谷氏は「いずれも許容範囲内と考えられた」と考察した。

今後、 国内においても治療抵抗性転移性大腸がん患者を対象にfruquintinib の承認が期待される。


神奈川県立がんセンター消化器内科(消化管)部長・町田望氏のコメント

年内に申請予定、近い将来の臨床導入に期待

昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2022)で発表された同試験のデータでは、レゴラフェニブ、トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)の両剤いずれもが使用歴のある患者が4割弱含まれるなか、前治療歴に関わらず、fruquintinibの有効性が示唆されていた。

今回新たに示された日本人コホートのデータにおいても、同様に両群でレゴラフェニブとFTD/TPIの両剤いずれも使用歴のある患者が7割前後含まれる対象において、全体コホート(HR 0.662)よりもOSにおける有効性が高い傾向(日本人コホート;HR 0.419)さえ見て取れる結果となった。後方ラインにおける選択バイアスがあると思われるが、少なくとも全体コホートと矛盾のない結果である。

本薬剤は武田薬品から2023年に国内申請が予定されており、近い将来に使用可能となることが期待されている。

日本人ではAEが高発現な傾向に

一方で日本人コホートでは、有害事象(AE)の発現頻度が高い傾向にあった。レゴラフェニブでは最適用量を検証したReDOS試験の結果に基づいた用量調整が行われるようになったが、fruquintinibにおいても使用法の適正化が必要となるかもしれない。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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