【Lancet Haematol】発熱性好中球減少に対するFDG-PET-CTと従来CTの比較
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2年前

【Lancet Haematol】発熱性好中球減少に対するFDG-PET-CTと従来CTの比較

Douglasらは、造血幹細胞の移植前処置、または急性白血病に対する化学療法を受けており、持続性または再発性の好中球減少性発熱を呈する18歳以上の患者を対象に、¹⁸F-フルオロデオキシグルコース (FDG) -PET/CTスキャンが抗菌薬の適正使用と患者転帰に与える影響を検討する多施設共同非盲検第Ⅲ相無作為化比較試験を実施. その結果、¹⁸F-FDG-PET/CTは、従来のCTに比し、抗菌薬の適正使用に有用な可能性が明らかとなった. 本研究はLancet Haematol誌において発表された. 

📘原著論文

Douglas A , et al. [ sup>18F]FDG-PET-CT compared with CT for persistent or recurrent neutropenic fever in high-risk patients (PIPPIN): a multicentre, open-label, phase 3, randomised, controlled trial. Lancet Haematol. 2022 Jun 28. Online ahead of print.

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント

現在の医療環境ではFDG-PETをFN患者さんの急性期診療として撮影する、というのは現実的にはないので、何か別の狙いが著者らにはあると考えたいです. それを是非とも本文で読み取っていただければと思います.

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研究背景

高リスクの血液内科患者における発熱性好中球減少症は、 特定の臨床的特徴がほとんどなく、 また検査の感度や特異度が低いことが多いため、 正確な管理が困難である.

研究デザイン

対象患者

造血幹細胞の移植前処置、または急性白血病に対する化学療法を受けており、持続性 (>72時間) または再発性(初回発症72時間、48時間時間以上経過したもの)の好中球減少性発熱を呈する18歳以上の患者.

※除外基準

妊娠、造影剤アレルギー、eGFR<30mL/min

主要評価項目

抗菌薬の適正使用:スキャンから96時間以内の抗菌薬の開始・中止、 または抗菌スペクトルの変更 (escalationまたはde-escalation) の複合

研究結果

147名の患者が以下の2群に割り付けられた.

  • ¹⁸F-FDG-PET/CT群:73名
  • 従来のCT群:74名

→9名の患者がプロトコール通りの検査を受けず、各群2名が試験への再参加のために除外.

抗菌薬の適正使用

追跡期間中央値:6ヵ月 (IQR 6-6) . 

抗菌薬の適正使用は、¹⁸F-FDG-PET/CT群で82% (53/65例) 、従来のCT群では65% (45/69例) に認められた (OR 2.36、95%CI 1.06-5.24;p=0.033 ).

抗菌薬の適正使用で、 最も頻度が高かったのは「de-escalation」で、¹⁸F-FDG-PET/CT群は43% (28/65例) 、CT群 25% (17/69例) だった (OR 2.31、95%CI 1.11-4.83、p=0.024 ).

結論

¹⁸F-FDG-PET/CTは従来のCTと比較して、より抗菌薬の適正使用に関連していた. ¹⁸F-FDG-PET/CTは、抗菌薬の中止または漸減に関する意思決定を支援することができ、化学療法または造血幹細胞の移植前処置後に持続または再発する好中球減少性発熱を有する高リスクの血液疾患患者の管理において検討すべきである.

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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