【HIF-PH阻害薬】腎性貧血の経口治療薬 使い分け!禁忌や用量調整の有無は?
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【HIF-PH阻害薬】腎性貧血の経口治療薬 使い分け!禁忌や用量調整の有無は?

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【HIF-PH阻害薬】腎性貧血の経口治療薬 使い分け!禁忌や用量調整の有無は?
2022年5月1日より、マスーレッド錠の新医薬品処方日数制限が解除され、現在発売されている全てのHIF-PH阻害薬が投与日数制限なく使用可能となりました.  今回はHIF-PH阻害薬を選択する際の指標となる特徴についてまとめます. 

HIF-PH阻害薬

HIF-PH阻害薬の作用機序

低酸素誘導因子ープロリン水酸化酵素 (HIF-PH) の働きを阻害することで、 CKDなどによる腎性貧血を改善する薬剤です.
  • CKDではエリスロポエチン(EPO)の産生が低下し腎性貧血が引き起こされます.
  • EPO産生は低酸素誘導因子 (HIF)という酵素によって促進されます.
  • 本剤はHIFの分解に関わるHIF-PHに対し阻害作用を示すことでEPOの産生を促します.

本邦で承認・販売されているHIF-PH阻害薬

💊 エベレンゾ (ロキサデュスタット)

💊 ダーブロック (ダブロデュスタット)

💊 バフセオ (バダデュスタット)

💊 エナロイ (エナロデュスタット)

💊 マスーレッド(モリデュスタットナトリウム)

以前は腎性貧血の治療には赤血球造血刺激因子製剤 (ESA:Erythropoiesis-Stimulating Agent) の注射が必要でしたが、HIF-PH阻害薬の登場により経口投与で治療が可能となり、処方日数によっては通院間隔を延長することも可能になりました. 

HIF-PH阻害薬の特徴を比較する

HIF-PH阻害薬について、添付文書から読み取れるそれぞれの特徴をにまとめてみました. 一つずつ解説していきます.

【HIF-PH阻害薬】腎性貧血の経口治療薬 使い分け!禁忌や用量調整の有無は?

1 禁忌

  • HIF-PH阻害薬はいずれも特に問題となる禁忌を有していません.
  • いずれも「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」が禁忌となっております.
  • ただし、エベレンゾエナロイマスーレッドの3剤は 「妊婦又は妊娠の可能性のある女性」も禁忌となっています.

2 用法

3 開始用量

  • HIF-PH阻害薬は透析の有無ESAによる前治療の有無ESAの投与量等により開始少量が異なります.
  • ですが、HIF-PH阻害薬の中でバフセオは唯一、全ての場合において同一 (300mg) の開始用量となっています.

4 維持用量

  • HIF-PH阻害薬の用量はいずれも段階的に設定されており、血液検査の結果を元に用量を調節していきます.
  • バフセオが一番用量の段階が少なく、用量調節がシンプルになっています.
  • それに続くのがエナロイです.
  • エベレンゾダーブロックマスーレッドいずれも8段階の用量調節になっています.

5 相互作用

  • HIF-PH阻害薬はいずれも併用禁忌は存在しません.
  • ただし、一部のHIF-PH阻害薬は多価陽イオン含有製剤 (鉄、アルミニウム、Mg、Ca) やリン吸着薬と併用することで血中濃度が大きく減少することが知られています.
  • 貧血に対して鉄剤を併用する場合や透析時にリン吸着薬を併用するケースは少なくないと思うので注意が必要です.

参考資料

薬剤添付文書

💊 エベレンゾ錠 20/50/100mg

💊 ダーブロック錠 1/2/4/6mg

💊 バフセオ錠 150/300mg

💊 エナロイ錠 2/4mg

💊 マスーレッド錠 5/12.5/25/75mg

最終更新:2022年5月31日
執筆:ぺんぎん薬剤師 @penguin_pharm
監修:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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