【Lancet Oncol】モスネツズマブ投与で再発・難治性濾胞性リンパ腫の60%が完全寛解
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2年前

【Lancet Oncol】モスネツズマブ投与で再発・難治性濾胞性リンパ腫の60%が完全寛解

【Lancet Oncol】モスネツズマブ投与で再発・難治性濾胞性リンパ腫の60%が完全寛解
Buddeらは, 再発・難治性濾胞性リンパ腫 (FL) の患者90名を対象に, CD20とCD3を標的とする二特異性抗体モスネツズマブの有効性と安全性を検討する単群多施設共同第Ⅱ相試験を実施. その結果, モスネツズマブは良好な安全性プロファイルを有し, 高い完全寛解率をもたらすことが明らかとなった. 本研究は, Lancet Oncol誌において発表された.

背景

モスネツズマブは, CD20とCD3の2つのT細胞に結合するモノクローナル抗体である. 再発または難治性のB細胞リンパ腫患者に対して, 第Ⅰ相試験では良好な忍容性と有効性を示した.

研究デザイン

対象と介入

  • 2種類以上の前治療に対して再発または難治性であるグレード1~3aの濾胞性リンパ腫 (FL)で, ECOG PSが0~1の18歳以上の患者90名.
  • モスネツズマブ静脈内投与は21日サイクルで行われ, 第1サイクルではステップアップ投与が行われた.
第1サイクル1日目に1mg, 8日目に2mg, 第1サイクル15日目と第2サイクル1日目に60mg, 第3サイクル1日目以降に30mg
  • 治験責任医師評価により完全奏効が得られた患者は8サイクル目で治療を終了し, 部分寛解または病勢安定が得られた患者は最大17サイクルまで治療を継続した.

評価項目と解析方法

  • 主要評価項目:IRC評価による完全寛解率.
主要有効性解析では, IRC評価による完全寛解率を, コパンリシブの投与を受けた同様の患者層におけるヒストリカルコントロールの完全寛解率 (14%) と比較した.

研究結果

追跡期間中央値は18.3カ月であった.

有効性評価

  • 完全奏効:60.0% (95% CI 49.1-70.2)
  • 観察された完全奏効率は, コパンリシブの完全奏効率よりも有意に高かった (P<0.0001) .

安全性評価

  • 最も一般的な有害事象はサイトカイン放出症候群 (44%) で, 主にグレード1 (26%) およびグレード2 (17%) であり, ほとんどが第1サイクルに限定されていた.
  • グレード3~4の有害事象
  • 好中球減少または好中球数減少 (27%)
  • 低リン血症 (17%)
  • 高血糖 (8%)
  • 貧血 (8%)
  • 重篤な有害事象は47%に発現した.
  • グレード5の治療関連有害事象は発生しなかった.

結果の解釈

2種類以上の前治療を受けた再発・難治性のFLの患者において, モスネツズマブの固定期間投与は良好な安全性を有し, 高い完全寛解率をもたらすため, 外来レジメンとして利用できる可能性がある.

原著

Budde LE, et al, Safety and efficacy of mosunetuzumab, a bispecific antibody, in patients with relapsed or refractory follicular lymphoma: a single-arm, multicentre, phase 2 study. Lancet Oncol. 2022 Jul 5;S1470-2045(22)00335-7.PMID: 35803286

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
血液領域でのモノクローナル抗体を用いた高い治療効果の報告が散見されています. ふと考えますと複雑なイメージのある血液疾患も逆にモノクローナル抗体での治療が可能ということは、その病態は非常にシンプルと言えるかもしれません.
こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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