治療スケジュール
概要
監修医師

Bosutinib:ボスチニブ(ボシュリフ®)

投与量コース投与日
500mg 1日1回 経口1~Day 1~

その他

初発の慢性期CMLの場合は1日1回400mgを食後に経口投与.
重篤な有害事象がなく、 十分な血液学的効果、細胞遺伝学的効果又は分子遺伝学的効果がみられない場合は、100mgずつ1日1回600mgまで増量可能. 詳細は概要を参照.
有害事象発現時の減量・休薬・中止基準は概要を参照.
レジメン
Bosutinib
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ファイザー株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

1048試験¹⁾、 AV001試験 (BFORE試験) ²⁾より引用.

骨髄抑制

  • 血小板数減少 (≧Grade3 5.0%¹⁾、 ≧Grade3 5.6%²⁾).
  • 貧血 (≧Grade3 0.0%¹⁾、 ≧Grade3 3.4%²⁾).
  • 好中球数減少 (≧Grade3 8.3%¹⁾、 ≧Grade3 0.7%²⁾).
  • リンパ球数減少 (≧Grade3 6.7%¹⁾、 ≧Grade3 0.0%²⁾).

主な有害事象

  • 肝障害 (80.0%¹⁾、 ≧Grade3 48.3%¹⁾、 39.9%²⁾、 ≧Grade3 24.3%²⁾).
  • 下痢 (86.7%¹⁾、 ≧Grade3 15.0%¹⁾、 70.1%²⁾、 ≧Grade3 10.8%²⁾).
  • 感染症 (65.0%¹⁾、 ≧Grade3 6.7%¹⁾、 44.4%²⁾、 ≧Grade3 3.4%²⁾).
  • 出血 (8.3%¹⁾、 ≧Grade3 0.0%¹⁾、 15.3%²⁾、 ≧Grade3 1.1%²⁾).
  • 膵炎/リパーゼ増加 (26.7%¹⁾、 ≧Grade3 15.0%¹⁾、 13.8%²⁾、 ≧Grade3 10.1%²⁾).

その他重要な有害事象

  • 体液貯留 (8.3%¹⁾、 ≧Grade3 1.7%¹⁾、 7.8%²⁾、 ≧Grade3 0.4%²⁾).

特徴と注意点

適応

  • 第2世代TKI (tyrosine kinase inhibitor).
  • ABLキナーゼのみならずSrcファミリーキナーゼを阻害するが、 c-KITやPDGFRに対する抑制効果は弱い.

特徴

  • 肝障害があらわれることがあるため、 投与開始後最初の2ヵ月間は2週間毎、 3ヵ月目は1回、 以降状況に応じて検査を行う.
  • CYP3A4で代謝されるため相互作用に注意.
  • 肝酵素上昇に対する減量・休薬・中止基準.
  • 下痢・悪心・嘔吐に対する減量・休薬・中止基準. 
  • 好中球減少・血小板減少に対する減量・休薬・中止基準. 
  • 体液貯留に対する減量・休薬・中止基準. 
  • QT間隔延長に対する減量・休薬・中止基準. 

関連する臨床試験の結果

1048試験¹⁾

概要

  • 対象:初発の日本人フィラデルフィア染色体陽性慢性期CML.
  • 単群、 非盲検、 国内第II相試験.
MMR: Major Molecular Response (分子遺伝学的大奏効; BCR-ABL1*2≦0.1%) 、 MR4.0: Molecular Response4.0 (BCR-ABL1≦0.01%) 、 MR4.5: Molecular Response4.5 (BCR-ABL1≦0.0032%) 、 CCyR: Complete Cytogenic Response (細胞遺伝学的完全寛解) . 

結果

  • 12ヵ月時点のMMR:55.0% (90%CI 44.4-65.6、 p<0.0001).
  • 3、 6、 9、 12ヵ月時点のMR4.0:0.0%、 18.3%、 25.0%、 31.7%.
  • 3、 6、 9、 12ヵ月時点のMR4.5:0.0%、 8.3%、 16.7%、 21.7%.
  • MMR、 MR4.0、 MR4.5までの期間中央値:24.1週、 36.0週、 36.2週.
  • 12ヵ月時点のCCyR:80.0% (90%CI 71.5-88.5).

AV001試験(BFORE試験)²⁾

概要

  • 対象:初発の慢性期CML.
  • ボスチニブとイマチニブを比較する国際共同第III相試験.
MMR: Major Molecular Response (分子遺伝学的大奏効; BCR-ABL1*2≦0.1%) 、 MR4.0: Molecular Response4.0 (BCR-ABL1≦0.01%) 、 MR4.5: Molecular Response4.5 (BCR-ABL1≦0.0032%) 、 CCyR: Complete Cytogenic Response (細胞遺伝学的完全寛解) . 

結果

  • 12ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 47.2% vs イマチニブ群 36.9% (OR 1.55、 95%CI 1.07-2.23、 p=0.0200).
  • 3ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 4.1% vs イマチニブ群 1.7% (p=0.0578).
  • 6ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 35.0% vs イマチニブ群 18.3% (p<0.0001).
  • 9ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 42.3% vs イマチニブ群 29.5% (p=0.0015).
  • MMRまでの期間中央値:ボスチニブ群 24.7週 vs イマチニブ群 36.3週.
  • 3ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 0.4% vs イマチニブ群 0.0% (p=0.1649).
  • 6ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 9.8% vs イマチニブ群 4.6% (p=0.0145).
  • 9ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 13.8% vs イマチニブ群 8.3% (p=0.0296).
  • 12ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 20.7% vs イマチニブ群 12.0% (p=0.0052).
  • 3ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 0.0% vs イマチニブ群 0.0%.
  • 6ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 2.0% vs イマチニブ群 0.8% (p=0.1385).
  • 9ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 4.5% vs イマチニブ群 2.9% (p=0.1879).
  • 12ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 8.1% vs イマチニブ群 3.3% (p=0.0119).
  • 12ヵ月時点のCCyR:ボスチニブ群 7.72% vs イマチニブ群 66.4% (OR 1.74、 95%CI 1.16-2.61、 p=0.0075).

参考文献

  1. Int J Hematol. 2020 Jul;112(1):24-32. 
  2. J Clin Oncol. 2018 Jan 20;36(3):231-237.

最終更新:2023年6月12日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ボスチニブ(ボシュリフ®)
2023年06月12日更新

Bosutinib:ボスチニブ(ボシュリフ®)

投与量コース投与日
500mg 1日1回 経口1~Day 1~

その他

初発の慢性期CMLの場合は1日1回400mgを食後に経口投与.
重篤な有害事象がなく、 十分な血液学的効果、細胞遺伝学的効果又は分子遺伝学的効果がみられない場合は、100mgずつ1日1回600mgまで増量可能. 詳細は概要を参照.
有害事象発現時の減量・休薬・中止基準は概要を参照.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「ファイザー株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

1048試験¹⁾、 AV001試験 (BFORE試験) ²⁾より引用.

骨髄抑制

  • 血小板数減少 (≧Grade3 5.0%¹⁾、 ≧Grade3 5.6%²⁾).
  • 貧血 (≧Grade3 0.0%¹⁾、 ≧Grade3 3.4%²⁾).
  • 好中球数減少 (≧Grade3 8.3%¹⁾、 ≧Grade3 0.7%²⁾).
  • リンパ球数減少 (≧Grade3 6.7%¹⁾、 ≧Grade3 0.0%²⁾).

主な有害事象

  • 肝障害 (80.0%¹⁾、 ≧Grade3 48.3%¹⁾、 39.9%²⁾、 ≧Grade3 24.3%²⁾).
  • 下痢 (86.7%¹⁾、 ≧Grade3 15.0%¹⁾、 70.1%²⁾、 ≧Grade3 10.8%²⁾).
  • 感染症 (65.0%¹⁾、 ≧Grade3 6.7%¹⁾、 44.4%²⁾、 ≧Grade3 3.4%²⁾).
  • 出血 (8.3%¹⁾、 ≧Grade3 0.0%¹⁾、 15.3%²⁾、 ≧Grade3 1.1%²⁾).
  • 膵炎/リパーゼ増加 (26.7%¹⁾、 ≧Grade3 15.0%¹⁾、 13.8%²⁾、 ≧Grade3 10.1%²⁾).

その他重要な有害事象

  • 体液貯留 (8.3%¹⁾、 ≧Grade3 1.7%¹⁾、 7.8%²⁾、 ≧Grade3 0.4%²⁾).

特徴と注意点

適応

  • 第2世代TKI (tyrosine kinase inhibitor).
  • ABLキナーゼのみならずSrcファミリーキナーゼを阻害するが、 c-KITやPDGFRに対する抑制効果は弱い.

特徴

  • 肝障害があらわれることがあるため、 投与開始後最初の2ヵ月間は2週間毎、 3ヵ月目は1回、 以降状況に応じて検査を行う.
  • CYP3A4で代謝されるため相互作用に注意.
  • 肝酵素上昇に対する減量・休薬・中止基準.
  • 下痢・悪心・嘔吐に対する減量・休薬・中止基準. 
  • 好中球減少・血小板減少に対する減量・休薬・中止基準. 
  • 体液貯留に対する減量・休薬・中止基準. 
  • QT間隔延長に対する減量・休薬・中止基準. 

関連する臨床試験の結果

1048試験¹⁾

概要

  • 対象:初発の日本人フィラデルフィア染色体陽性慢性期CML.
  • 単群、 非盲検、 国内第II相試験.
MMR: Major Molecular Response (分子遺伝学的大奏効; BCR-ABL1*2≦0.1%) 、 MR4.0: Molecular Response4.0 (BCR-ABL1≦0.01%) 、 MR4.5: Molecular Response4.5 (BCR-ABL1≦0.0032%) 、 CCyR: Complete Cytogenic Response (細胞遺伝学的完全寛解) . 

結果

  • 12ヵ月時点のMMR:55.0% (90%CI 44.4-65.6、 p<0.0001).
  • 3、 6、 9、 12ヵ月時点のMR4.0:0.0%、 18.3%、 25.0%、 31.7%.
  • 3、 6、 9、 12ヵ月時点のMR4.5:0.0%、 8.3%、 16.7%、 21.7%.
  • MMR、 MR4.0、 MR4.5までの期間中央値:24.1週、 36.0週、 36.2週.
  • 12ヵ月時点のCCyR:80.0% (90%CI 71.5-88.5).

AV001試験(BFORE試験)²⁾

概要

  • 対象:初発の慢性期CML.
  • ボスチニブとイマチニブを比較する国際共同第III相試験.
MMR: Major Molecular Response (分子遺伝学的大奏効; BCR-ABL1*2≦0.1%) 、 MR4.0: Molecular Response4.0 (BCR-ABL1≦0.01%) 、 MR4.5: Molecular Response4.5 (BCR-ABL1≦0.0032%) 、 CCyR: Complete Cytogenic Response (細胞遺伝学的完全寛解) . 

結果

  • 12ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 47.2% vs イマチニブ群 36.9% (OR 1.55、 95%CI 1.07-2.23、 p=0.0200).
  • 3ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 4.1% vs イマチニブ群 1.7% (p=0.0578).
  • 6ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 35.0% vs イマチニブ群 18.3% (p<0.0001).
  • 9ヵ月時点のMMR:ボスチニブ群 42.3% vs イマチニブ群 29.5% (p=0.0015).
  • MMRまでの期間中央値:ボスチニブ群 24.7週 vs イマチニブ群 36.3週.
  • 3ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 0.4% vs イマチニブ群 0.0% (p=0.1649).
  • 6ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 9.8% vs イマチニブ群 4.6% (p=0.0145).
  • 9ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 13.8% vs イマチニブ群 8.3% (p=0.0296).
  • 12ヵ月時点のMR4.0:ボスチニブ群 20.7% vs イマチニブ群 12.0% (p=0.0052).
  • 3ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 0.0% vs イマチニブ群 0.0%.
  • 6ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 2.0% vs イマチニブ群 0.8% (p=0.1385).
  • 9ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 4.5% vs イマチニブ群 2.9% (p=0.1879).
  • 12ヵ月時点のMR4.5:ボスチニブ群 8.1% vs イマチニブ群 3.3% (p=0.0119).
  • 12ヵ月時点のCCyR:ボスチニブ群 7.72% vs イマチニブ群 66.4% (OR 1.74、 95%CI 1.16-2.61、 p=0.0075).

参考文献

  1. Int J Hematol. 2020 Jul;112(1):24-32. 
  2. J Clin Oncol. 2018 Jan 20;36(3):231-237.

最終更新:2023年6月12日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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