治療スケジュール
概要
監修医師

Stimlimab:スチムリマブ(エジャイモ®)

投与量コース投与日
6.5g (体重<75kg) 点滴静注1Day 1、 8、 22、 36‥‥(以後2週毎)
7.5g (体重≧75kg) 点滴静注1Day 1、 8、 22、 36‥‥(以後2週毎)

前投薬

なし.

その他

1回6.5g (<体重75kg) 又は、 7.5g (≧体重75kg) を点滴静注.
初回投与後は、 1週後に投与し、 以後2週間の間隔で投与する.
希釈:必要量をバイアルから抜き取り、 生食を加えて総量として500mLになるように希釈する.
投与速度:体重70kg未満の場合、 最大250mL/時. 体重70kg以上の場合、 最大500mL/時.
レジメン
Stimlimab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

CARDINAL試験 (BIVV009-03試験)¹⁾より引用.

  • チアノーゼ (8.3%).
  • 注入に伴う反応 (8.3%).

特徴と注意点

適応と作用機序

  • 適応:寒冷凝集素症 (cold agglutinin disease:CAD)
  • ヒト古典的補体経路C1sに対する遺伝子組換えヒト化IgG4モノクローナル抗体.
  • C1sによるC4の開裂を阻害することで、CADにおける古典的補体経路を介した溶血を抑制する.
  • 補体経路の内、 レクチン経路及び代替経路には作用しない.

用法・用量

  • 1回 6.5g (< 体重75kg) 又は、 7.5g (> 体重75kg) を点滴静注.
  • 初回投与後は、 1週後に投与し、 以後2週間の間隔で投与する.

副作用とその対策

莢膜形成細菌による重篤な感染症発症

  • 本剤は古典的補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌 、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症を発症することがある.
  • 特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもある.
  • 原則、 本剤投与前に髄膜炎菌及び肺炎球菌に対するワクチンを接種する.
  • 必要に応じてワクチンの追加摂取を考慮する.

臨床試験

CARDINAL試験 (BIVV009-03試験)¹⁾

概要

  • 国際共同非盲検単一群試験.
  • 目的:直近の輸血歴を有する特発性CAD患者にスチムリマブを投与し、 Hbが2g/dL以上上昇又は12g/dL以上にまで上昇し、 治療中に輸血の必要性がなくなるか検証する.
  • 複合的主要評価項目:レスポンダー割合
レスポンダー割合 (次の①かつ②):①輸血及びCADに対する規定外の治療を行わなかった、②Hbが正常化 (12g/dL以上)又はベースラインから2g/dL以上上昇.

対象患者

  • 試験開始前6ヵ月以内に1回以上の輸血歴を有する特発性CAD患者 24例.
  • 年齢中央値:72歳 (55-85歳)
  • Hb中央値:8.7 g/dL (4.9-11.1 g/dL)
  • 前治療歴:リツキシマブ 50.0%、 コルチコステロイド 41.7%など

結果

  • レスポンダー割合:54.2% (13/24例).
  • 平均Hb値 (g/dL)の推移:下図.
  • 有害事象:92%の患者で少なくとも1つの有害事象を認め、29%の患者で重篤な有害事象を認めたが、 どの有害事象もスチムリマブ投与に関連しているとは考えられないものであった.
  • 髄膜炎菌感染は発生しなかった.

CADENZA試験²⁾

概要

  • ランダム化プラセボ対照第3相試験.
  • 直近6ヵ月の輸血歴のないCAD患者 42例.
  • 複合的主要評価項目:レスポンダー割合.
レスポンダー割合 (次の①かつ②):①Hb 1.5g/dL以上の増加、 ②輸血及びCADに対する規定外の治療を行わなかった割合.

対象患者

  • スチムリマブ群 22例 vs プラセボ群 20例.
  • 年齢:スチムリマブ群 65.3歳 vs プラセボ群 68.2歳.
  • リツキシマブ使用歴:スチムリマブ群 54.5% vs プラセボ群 60.0%.

結果

  • レスポンダー割合:72.7% vs 15% (オッズ比 15.9、 95%CI 2.9-88.9、 p<0.001).
  • 平均Hb値 (g/dL)の推移:下図.
  • スチムリマブ群の96%とプラセボ群の100%において緊急の有害事象を認めた.
  • 頭痛、 高血圧、 鼻炎、 レイノー現象、 肢端チアノーゼはスチムリマブ群で多かった (3例以上の差あり).

参考文献

  1. N Engl J Med. 2021 Apr 8;384(14):1323-1334.
  2. Blood. 2022 Jun 10;blood.2021014955.

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HOKUTOコンテンツ 専門医監修

最終更新:2023年6月12日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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スチムリマブ(エジャイモ®)
2023年11月26日更新

Stimlimab:スチムリマブ(エジャイモ®)

投与量コース投与日
6.5g (体重<75kg) 点滴静注1Day 1、 8、 22、 36‥‥(以後2週毎)
7.5g (体重≧75kg) 点滴静注1Day 1、 8、 22、 36‥‥(以後2週毎)

前投薬

なし.

その他

1回6.5g (<体重75kg) 又は、 7.5g (≧体重75kg) を点滴静注.
初回投与後は、 1週後に投与し、 以後2週間の間隔で投与する.
希釈:必要量をバイアルから抜き取り、 生食を加えて総量として500mLになるように希釈する.
投与速度:体重70kg未満の場合、 最大250mL/時. 体重70kg以上の場合、 最大500mL/時.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

CARDINAL試験 (BIVV009-03試験)¹⁾より引用.

  • チアノーゼ (8.3%).
  • 注入に伴う反応 (8.3%).

特徴と注意点

適応と作用機序

  • 適応:寒冷凝集素症 (cold agglutinin disease:CAD)
  • ヒト古典的補体経路C1sに対する遺伝子組換えヒト化IgG4モノクローナル抗体.
  • C1sによるC4の開裂を阻害することで、CADにおける古典的補体経路を介した溶血を抑制する.
  • 補体経路の内、 レクチン経路及び代替経路には作用しない.

用法・用量

  • 1回 6.5g (< 体重75kg) 又は、 7.5g (> 体重75kg) を点滴静注.
  • 初回投与後は、 1週後に投与し、 以後2週間の間隔で投与する.

副作用とその対策

莢膜形成細菌による重篤な感染症発症

  • 本剤は古典的補体経路を阻害するため、髄膜炎菌、肺炎球菌 、インフルエンザ菌等の莢膜形成細菌による重篤な感染症を発症することがある.
  • 特に髄膜炎菌感染症は急激に重症化し、死亡に至るおそれもある.
  • 原則、 本剤投与前に髄膜炎菌及び肺炎球菌に対するワクチンを接種する.
  • 必要に応じてワクチンの追加摂取を考慮する.

臨床試験

CARDINAL試験 (BIVV009-03試験)¹⁾

概要

  • 国際共同非盲検単一群試験.
  • 目的:直近の輸血歴を有する特発性CAD患者にスチムリマブを投与し、 Hbが2g/dL以上上昇又は12g/dL以上にまで上昇し、 治療中に輸血の必要性がなくなるか検証する.
  • 複合的主要評価項目:レスポンダー割合
レスポンダー割合 (次の①かつ②):①輸血及びCADに対する規定外の治療を行わなかった、②Hbが正常化 (12g/dL以上)又はベースラインから2g/dL以上上昇.

対象患者

  • 試験開始前6ヵ月以内に1回以上の輸血歴を有する特発性CAD患者 24例.
  • 年齢中央値:72歳 (55-85歳)
  • Hb中央値:8.7 g/dL (4.9-11.1 g/dL)
  • 前治療歴:リツキシマブ 50.0%、 コルチコステロイド 41.7%など

結果

  • レスポンダー割合:54.2% (13/24例).
  • 平均Hb値 (g/dL)の推移:下図.
  • 有害事象:92%の患者で少なくとも1つの有害事象を認め、29%の患者で重篤な有害事象を認めたが、 どの有害事象もスチムリマブ投与に関連しているとは考えられないものであった.
  • 髄膜炎菌感染は発生しなかった.

CADENZA試験²⁾

概要

  • ランダム化プラセボ対照第3相試験.
  • 直近6ヵ月の輸血歴のないCAD患者 42例.
  • 複合的主要評価項目:レスポンダー割合.
レスポンダー割合 (次の①かつ②):①Hb 1.5g/dL以上の増加、 ②輸血及びCADに対する規定外の治療を行わなかった割合.

対象患者

  • スチムリマブ群 22例 vs プラセボ群 20例.
  • 年齢:スチムリマブ群 65.3歳 vs プラセボ群 68.2歳.
  • リツキシマブ使用歴:スチムリマブ群 54.5% vs プラセボ群 60.0%.

結果

  • レスポンダー割合:72.7% vs 15% (オッズ比 15.9、 95%CI 2.9-88.9、 p<0.001).
  • 平均Hb値 (g/dL)の推移:下図.
  • スチムリマブ群の96%とプラセボ群の100%において緊急の有害事象を認めた.
  • 頭痛、 高血圧、 鼻炎、 レイノー現象、 肢端チアノーゼはスチムリマブ群で多かった (3例以上の差あり).

参考文献

  1. N Engl J Med. 2021 Apr 8;384(14):1323-1334.
  2. Blood. 2022 Jun 10;blood.2021014955.

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