概要
計算
監修医師

IMWGによる診断規準

国際骨髄腫作業部会 (International Myeloma Working Group:IMWG) による診断規準は以下の通りである¹⁾²⁾。

Non-IgM MGUS (非IgM型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)

  1. 血清中非IgM型M蛋白 <3g/dL
  2. クローナルな骨髄中形質細胞 <10%
  3. 臓器障害 (CRAB orアミロイドーシス) なし
①~③のすべてを満たす 

IgM MGUS (IgM型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)

  1. 血清中IgM型M蛋白 <3g/dL
  2. 骨髄中リンパ形質細胞浸潤 <10%
  3. 次症候を欠如 (貧血、全身症状、過粘稠、リンパ節腫大、肝脾腫とそれ以外の臓器障害)
①~③のすべてを満たす

Light-chain MGUS (軽鎖型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)

  1. 血清遊離軽鎖比の異常 ( <0.26または>1.65)
  2. 該当する血清遊離軽鎖の増加
  3. 免疫固定法にて重鎖発現を認めない
  4. 臓器障害 (CRABまたはアミロイドーシス) を認めない
  5. クローナルな骨髄中形質細胞 <10%
  6. 尿中M蛋白量 <500mg/24時間
①~⑥のすべてを満たす

Solitary plasmacytoma of bone/of soft tissue (孤立性形質細胞腫 [骨/軟部組織])

  1. 生検にてクローナルな形質細胞から成る骨あるいは軟部組織の形質細胞腫の存在
  2. 骨髄中にクローナルな形質細胞を認めない
  3. 孤立性形質細胞腫病変以外には骨X線、椎体および骨盤MRI (or CT) で異常を認めない
  4. 臓器障害 (CRAB) を認めない
①~④のすべてを満たす

Solitary plasmacytoma with minimal marrow involvement of bone/of soft tissue (微小骨髄浸潤を有する孤立性形質細胞腫 [骨/軟部組織])

  1. 生検にてクローナルな形質細胞から成る骨あるいは軟部組織の形質細胞腫の存在
  2. 骨髄中のクローナルな形質細胞 <10%
  3. 孤立性形質細胞腫病変以外には骨X線、椎体および骨盤MRI (or CT) で異常を認めない
  4. 臓器障害 (CRAB) を認めない
①~④のすべてを満たす

Smouldering (Asymptomatic) multiple myeloma (くすぶり型 (無症候性) 多発性骨髄腫)

  1. 血清中M蛋白 (IgGまたはIgA型) ≧3g/dLまたは尿中M蛋白 ≧500mg/24時間
  2. クローナルな骨髄中形質細胞が10%以上で60%未満
  3. myeloma defining events (MDE) *またはアミロイドーシスを認めない
①または②に加えて③を満たす

  *Myeloma-defining events(MDE)

  • 形質細胞腫瘍に起因する下記の臓器障害 (end organ damage)
  • 高カルシウム血症:血清Ca>11 mg/dLまたは正常上限値よりも1mg/dLを超えて増加
  • 腎不全:CrCl<40 mL/minまたは血清Cr>2.0 mg/dL
  • 貧血:ヘモグロビン値<10g/dLまたは正常下限値よりも2 g/dLを超えて低下
  • 骨病変:1つ以上の病変を骨X線,CTまたはPET-CT検査で認める

(Symptomatic) multiple myeloma secretary/non-secretary ((症候性多発性骨髄腫 (分泌型/非分泌型))

  1. クローナルな骨髄中形質細胞≧10%または生検にて診断された骨性または軟部組織の形質細胞腫を認める
  2. MDE*の1つ以上、 またはbiomarker**の1つ以上を満たす
①と②の両者を満たす ①の骨髄中形質細胞が10%未満の場合は、 2カ所以上の骨病変を認めることが必要

** Myeloma-defining biomarkers

下記のバイオマーカーの1つ以上を有する

  • 骨髄中のクローナルな形質細胞≧60%
  • involved/uninvolved FLC (血清遊離軽鎖) 比≧100 (involved FLC≧100 mg/Lであること)
  • MRIで2カ所以上の5 mm以上の巣状骨病変あり

Multiple solitary plasmacytoma (多発性形質細胞腫)

  1. 血清または尿中にM蛋白を検出しないか、 検出しても微量である
  2. クローナルな形質細胞による2カ所以上の形質細胞腫または骨破壊を認める
  3. 正常骨髄
  4. 形質細胞腫病変以外の骨所見に異常を認めない
  5. 臓器障害 (CRAB) を認めない
①~⑤のすべてを満たす

Plasma cell leukemia (形質細胞白血病)

  1. 末梢血中形質細胞>2,000/μL
  2. 白血球分画中形質細胞比率≧20%
①と②の両者を満たす

POEMS症候群

別項参照 (作成準備中)

Systemic AL amyloidosis (全身性ALアミロイドーシス)

別項参照(作成準備中)

参考文献

  1. Criteria for the classification of monoclonal gammopathies, multiple myeloma and related disorders: a report of the International Myeloma Working Group. Br J Haematol. 2003 Jun;121(5):749-57. PMID: 12780789
  2. International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma. Lancet Oncol. 2014 Nov;15(12):e538-48. PMID: 25439696

最終更新:2023年7月22日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

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Non-IgM MGUS (非IgM型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)

  1. 血清中非IgM型M蛋白 <3g/dL
  2. クローナルな骨髄中形質細胞 <10%
  3. 臓器障害 (CRAB orアミロイドーシス) なし
①~③のすべてを満たす 

IgM MGUS (IgM型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)

  1. 血清中IgM型M蛋白 <3g/dL
  2. 骨髄中リンパ形質細胞浸潤 <10%
  3. 次症候を欠如 (貧血、全身症状、過粘稠、リンパ節腫大、肝脾腫とそれ以外の臓器障害)
①~③のすべてを満たす

Light-chain MGUS (軽鎖型意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)

  1. 血清遊離軽鎖比の異常 ( <0.26または>1.65)
  2. 該当する血清遊離軽鎖の増加
  3. 免疫固定法にて重鎖発現を認めない
  4. 臓器障害 (CRABまたはアミロイドーシス) を認めない
  5. クローナルな骨髄中形質細胞 <10%
  6. 尿中M蛋白量 <500mg/24時間
①~⑥のすべてを満たす

Solitary plasmacytoma of bone/of soft tissue (孤立性形質細胞腫 [骨/軟部組織])

  1. 生検にてクローナルな形質細胞から成る骨あるいは軟部組織の形質細胞腫の存在
  2. 骨髄中にクローナルな形質細胞を認めない
  3. 孤立性形質細胞腫病変以外には骨X線、椎体および骨盤MRI (or CT) で異常を認めない
  4. 臓器障害 (CRAB) を認めない
①~④のすべてを満たす

Solitary plasmacytoma with minimal marrow involvement of bone/of soft tissue (微小骨髄浸潤を有する孤立性形質細胞腫 [骨/軟部組織])

  1. 生検にてクローナルな形質細胞から成る骨あるいは軟部組織の形質細胞腫の存在
  2. 骨髄中のクローナルな形質細胞 <10%
  3. 孤立性形質細胞腫病変以外には骨X線、椎体および骨盤MRI (or CT) で異常を認めない
  4. 臓器障害 (CRAB) を認めない
①~④のすべてを満たす

Smouldering (Asymptomatic) multiple myeloma (くすぶり型 (無症候性) 多発性骨髄腫)

  1. 血清中M蛋白 (IgGまたはIgA型) ≧3g/dLまたは尿中M蛋白 ≧500mg/24時間
  2. クローナルな骨髄中形質細胞が10%以上で60%未満
  3. myeloma defining events (MDE) *またはアミロイドーシスを認めない
①または②に加えて③を満たす

  *Myeloma-defining events(MDE)

  • 形質細胞腫瘍に起因する下記の臓器障害 (end organ damage)
  • 高カルシウム血症:血清Ca>11 mg/dLまたは正常上限値よりも1mg/dLを超えて増加
  • 腎不全:CrCl<40 mL/minまたは血清Cr>2.0 mg/dL
  • 貧血:ヘモグロビン値<10g/dLまたは正常下限値よりも2 g/dLを超えて低下
  • 骨病変:1つ以上の病変を骨X線,CTまたはPET-CT検査で認める

(Symptomatic) multiple myeloma secretary/non-secretary ((症候性多発性骨髄腫 (分泌型/非分泌型))

  1. クローナルな骨髄中形質細胞≧10%または生検にて診断された骨性または軟部組織の形質細胞腫を認める
  2. MDE*の1つ以上、 またはbiomarker**の1つ以上を満たす
①と②の両者を満たす ①の骨髄中形質細胞が10%未満の場合は、 2カ所以上の骨病変を認めることが必要

** Myeloma-defining biomarkers

下記のバイオマーカーの1つ以上を有する

  • 骨髄中のクローナルな形質細胞≧60%
  • involved/uninvolved FLC (血清遊離軽鎖) 比≧100 (involved FLC≧100 mg/Lであること)
  • MRIで2カ所以上の5 mm以上の巣状骨病変あり

Multiple solitary plasmacytoma (多発性形質細胞腫)

  1. 血清または尿中にM蛋白を検出しないか、 検出しても微量である
  2. クローナルな形質細胞による2カ所以上の形質細胞腫または骨破壊を認める
  3. 正常骨髄
  4. 形質細胞腫病変以外の骨所見に異常を認めない
  5. 臓器障害 (CRAB) を認めない
①~⑤のすべてを満たす

Plasma cell leukemia (形質細胞白血病)

  1. 末梢血中形質細胞>2,000/μL
  2. 白血球分画中形質細胞比率≧20%
①と②の両者を満たす

POEMS症候群

別項参照 (作成準備中)

Systemic AL amyloidosis (全身性ALアミロイドーシス)

別項参照(作成準備中)

参考文献

  1. Criteria for the classification of monoclonal gammopathies, multiple myeloma and related disorders: a report of the International Myeloma Working Group. Br J Haematol. 2003 Jun;121(5):749-57. PMID: 12780789
  2. International Myeloma Working Group updated criteria for the diagnosis of multiple myeloma. Lancet Oncol. 2014 Nov;15(12):e538-48. PMID: 25439696

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