薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > 抗HER2ヒト化モノクローナル抗体
一般名ペルツズマブ (遺伝子組換え) ・トラスツズマブ (遺伝子組換え) ・ボルヒアルロニダーゼアルファ (遺伝子組換え) 注射液
薬価452686
メーカー中外製薬
最終更新2023年11月改訂(第2版)

用法・用量

〈HER2陽性の乳癌〉

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。ただし、HER2陽性乳癌で術前・術後薬物療法の場合には、投与期間は12カ月までとする。

〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉何らかの理由により予定された投与が遅れた場合には、次のとおり投与することが望ましい。

7.1.1. 〈効能共通〉前回投与日から6週間未満のときには、維持投与量(ペルツズマブ600mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼ アルファ20000U)を投与する。

7.1.2. 〈効能共通〉前回投与日から6週間以上のときには、改めて初回投与量(ペルツズマブ1200mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼアルファ30000U)を投与し次回以降は維持投与量(ペルツズマブ600mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼアルファ20000U)を3週間間隔投与する。

7.2. 〈HER2陽性乳癌〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は「17.臨床成績」の項を熟知した上で選択すること〔17.1.1−17.1.5参照〕。

7.3. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

効能・効果

1). HER2陽性乳癌。

2). がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の直腸癌。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈HER2陽性乳癌〉HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。

5.2. 〈HER2陽性の乳癌〉HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうち再発リスクの低い患者(HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうちリンパ節転移のない患者)における本剤の有効性及び安全性は確立していないことから、再発リスクが高い患者を対象とすること〔17.1.3参照〕。

5.3. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である。

https://www.pmda.go.jp/review−services/drug−reviews/review−information/cd/0001.html。

5.4. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉RAS遺伝子変異陽性の患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.5. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤・オキサリプラチン・イリノテカン治療歴なしの患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.6. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.7. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.6参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 心機能障害(3.6%):心不全、左室機能不全等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与継続を検討し、適切な処置を行うこと(ただし、症状が重篤な場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔1.2、8.1、9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. Infusion reaction(4.0%):本剤投与中又は投与開始後24時間以内に発熱、悪寒、頭痛等を含むInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与中に異常が認められた場合には、本剤の投与速度を遅らせる、又は投与を中断し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。症状が重篤なInfusion reactionの場合には、本剤の投与を直ちに中止し、以降、本剤を再投与しないこと。

11.1.3. 過敏症(0.8%)、アナフィラキシー(頻度不明)。

11.1.4. 骨髄抑制:好中球減少症(6.1%)、貧血(4.4%)、白血球減少症(3.2%)、発熱性好中球減少症(0.4%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。

11.1.5. 間質性肺疾患(0.8%)。

11.1.6. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.3参照〕。

11.1.7. 肝不全(頻度不明)、肝障害(0.4%)。

11.1.8. 腎障害(頻度不明)。

11.1.9. 昏睡(頻度不明)、脳血管障害(頻度不明)、脳浮腫(頻度不明)。

11.1.10. 敗血症(0.4%)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 精神神経系:(2%〜5%未満)末梢性ニューロパチー、錯感覚、味覚異常、不眠症、(2%未満)頭痛、めまい、不安、うつ病、嗜眠、神経毒性、(頻度不明)運動失調、筋緊張亢進、感覚鈍麻、しびれ(しびれ感)、不全麻痺、傾眠、思考異常、振戦。

2). 眼:(2%未満)結膜炎、流涙増加、視力障害、眼乾燥、(頻度不明)霧視、視力低下。

3). 消化器:(5%以上)下痢(30.7%)、(2%〜5%未満)口内炎、悪心、食欲減退、腹痛、便秘、(2%未満)嘔吐、消化不良、口内乾燥、(頻度不明)腹部膨満、肛門直腸障害、口唇炎、嚥下障害、腸炎、鼓腸、胃炎、胃食道逆流性疾患、胃腸炎、口腔内潰瘍形成、肛門出血。

4). 循環器:(2%未満)ほてり、血腫、頻脈、動悸、潮紅、高血圧、(頻度不明)低血圧、静脈炎、血管拡張。

5). 呼吸器:(2%〜5%未満)呼吸困難、鼻出血、(2%未満)上気道感染、咳嗽、鼻漏、鼻乾燥、胸水、鼻部不快感、口腔咽頭痛、(頻度不明)喘息、気管支炎、発声障害、鼻潰瘍、咽喉頭疼痛、副鼻腔炎。

6). 皮膚:(5%以上)発疹、(2%〜5%未満)爪障害、皮膚乾燥、手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛症、(2%未満)爪感染、皮膚炎、紅斑、ざ瘡、皮膚そう痒症、皮膚亀裂、(頻度不明)発汗、皮膚色素過剰、蕁麻疹。

7). 筋骨格系:(2%〜5%未満)筋肉痛、筋骨格痛、関節痛、(2%未満)筋骨格硬直、(頻度不明)筋痙縮、筋力低下、頚部痛。

8). 肝臓:(2%〜5%未満)ALT増加、AST増加、(2%未満)γ−GTP増加。

9). 腎臓:(頻度不明)排尿困難。

10). 血液:(2%未満)リンパ球減少、血小板減少、(頻度不明)プロトロンビン減少。

11). 代謝:(2%未満)高クロール血症、LDH増加、高カルシウム血症、高トリグリセリド血症、低カリウム血症、(頻度不明)低マグネシウム血症。

12). その他:(5%以上)注射部位反応(14.1%)、疲労、(2%〜5%未満)無力症、粘膜炎症、浮腫、(2%未満)倦怠感、発熱、体重減少、蜂巣炎、悪寒、丹毒、インフルエンザ様疾患、粘膜乾燥、疼痛、(頻度不明)乳房痛、胸部不快感、胸痛、膀胱炎、難聴、脱水、冷感、熱感、体液貯留、ヘルペスウイルス感染、帯状疱疹、インフルエンザ、月経障害、尿路感染、体重増加、カンジダ感染、感染症。

警告

1.1. 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

1.2. 心不全等の重篤な心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。特に次の患者については、心機能検査(心エコー等)を頻回に行うこと〔8.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕[1)左室駆出率<LVEF>が低下している患者、2)アントラサイクリン系薬剤投与中の患者又はアントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、3)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、4)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈<心房細動・発作性上室性頻脈を除く>のある患者又はその既往歴のある患者、5)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、6)臨床上重大な心臓弁膜症のある患者、7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は、心症状の発現状況・重篤度に応じて、適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開、中止を判断すること〔1.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕。

8.2. 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。

8.3. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.6参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 重篤な心機能障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと〔1.2、8.1、11.1.1参照〕。

9.1.2. 次のような心機能低下するおそれのある患者:心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある〔1.2、8.1、11.1.1参照〕[1)左室駆出率<LVEF>が低下している患者、2)アントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、3)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、4)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈<心房細動・発作性上室性頻脈を除く>のある患者又はその既往歴のある患者、5)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、6)臨床上重大な心臓弁膜症のある患者、7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。

(生殖能を有する者)

妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において、避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。

相互作用

10.2. 併用注意:

アントラサイクリン系薬剤[心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある(心機能障害のリスクを増強させるおそれがある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(高齢者では一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ペルツズマブでは、動物試験(サル)にて、流産、胚死亡・胎仔死亡、羊水過少、胎仔腎形成不全等が認められており、また、胎児の血清中にペルツズマブが検出されている。また、トラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告があり、羊水過少を発現した症例で、胎児腎不全・新生児腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤の有効成分の乳汁への移行性については不明であるが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されており、また、トラスツズマブでは、動物試験(サル)にて、乳汁への移行(25mg/kg反復投与)が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与時の注意

14.1.1. 大腿部に皮下投与する(注射部位反応が報告されているので、同一箇所へ繰り返し注射することは避け、新たな注射部位は前回の注射部位から少なくとも2.5cm離す)。

14.1.2. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発疹・発赤・硬結等>には注射しないこと。

14.1.3. 本剤は1回で全量使用する製剤であり、再使用しないこと。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

国際共同第3相試験(FeDeriCa試験)の本剤群では、抗ペルツズマブ抗体は、231例中11例(4.8%)、抗トラスツズマブ抗体は232例中2例(0.9%)、抗ボルヒアルロニダーゼ アルファ抗体は225例中2例(0.9%)に認められた。

貯法

(保管上の注意)

2〜8℃保存。

フェスゴ配合皮下注IN
後発品はありません
フェスゴ配合皮下注IN
フェスゴ配合皮下注IN

フェスゴ配合皮下注IN

抗悪性腫瘍薬 > 抗HER2ヒト化モノクローナル抗体
2023年11月改訂(第2版)
薬剤情報
後発品
薬効分類抗悪性腫瘍薬 > 抗HER2ヒト化モノクローナル抗体
一般名ペルツズマブ (遺伝子組換え) ・トラスツズマブ (遺伝子組換え) ・ボルヒアルロニダーゼアルファ (遺伝子組換え) 注射液
薬価452686
メーカー中外製薬
最終更新2023年11月改訂(第2版)

用法・用量

〈HER2陽性の乳癌〉

他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。ただし、HER2陽性乳癌で術前・術後薬物療法の場合には、投与期間は12カ月までとする。

〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。

用法・用量に関連する注意

(用法及び用量に関連する注意)

7.1. 〈効能共通〉何らかの理由により予定された投与が遅れた場合には、次のとおり投与することが望ましい。

7.1.1. 〈効能共通〉前回投与日から6週間未満のときには、維持投与量(ペルツズマブ600mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼ アルファ20000U)を投与する。

7.1.2. 〈効能共通〉前回投与日から6週間以上のときには、改めて初回投与量(ペルツズマブ1200mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼアルファ30000U)を投与し次回以降は維持投与量(ペルツズマブ600mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼアルファ20000U)を3週間間隔投与する。

7.2. 〈HER2陽性乳癌〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は「17.臨床成績」の項を熟知した上で選択すること〔17.1.1−17.1.5参照〕。

7.3. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。

効能・効果

1). HER2陽性乳癌。

2). がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の直腸癌。

効能・効果に関連する注意

(効能又は効果に関連する注意)

5.1. 〈HER2陽性乳癌〉HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。

5.2. 〈HER2陽性の乳癌〉HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうち再発リスクの低い患者(HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうちリンパ節転移のない患者)における本剤の有効性及び安全性は確立していないことから、再発リスクが高い患者を対象とすること〔17.1.3参照〕。

5.3. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である。

https://www.pmda.go.jp/review−services/drug−reviews/review−information/cd/0001.html。

5.4. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉RAS遺伝子変異陽性の患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.5. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤・オキサリプラチン・イリノテカン治療歴なしの患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。

5.6. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。

5.7. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.6参照〕。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

重大な副作用

11.1. 重大な副作用

11.1.1. 心機能障害(3.6%):心不全、左室機能不全等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与継続を検討し、適切な処置を行うこと(ただし、症状が重篤な場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔1.2、8.1、9.1.1、9.1.2参照〕。

11.1.2. Infusion reaction(4.0%):本剤投与中又は投与開始後24時間以内に発熱、悪寒、頭痛等を含むInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与中に異常が認められた場合には、本剤の投与速度を遅らせる、又は投与を中断し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。症状が重篤なInfusion reactionの場合には、本剤の投与を直ちに中止し、以降、本剤を再投与しないこと。

11.1.3. 過敏症(0.8%)、アナフィラキシー(頻度不明)。

11.1.4. 骨髄抑制:好中球減少症(6.1%)、貧血(4.4%)、白血球減少症(3.2%)、発熱性好中球減少症(0.4%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。

11.1.5. 間質性肺疾患(0.8%)。

11.1.6. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.3参照〕。

11.1.7. 肝不全(頻度不明)、肝障害(0.4%)。

11.1.8. 腎障害(頻度不明)。

11.1.9. 昏睡(頻度不明)、脳血管障害(頻度不明)、脳浮腫(頻度不明)。

11.1.10. 敗血症(0.4%)。

その他の副作用

11.2. その他の副作用

1). 精神神経系:(2%〜5%未満)末梢性ニューロパチー、錯感覚、味覚異常、不眠症、(2%未満)頭痛、めまい、不安、うつ病、嗜眠、神経毒性、(頻度不明)運動失調、筋緊張亢進、感覚鈍麻、しびれ(しびれ感)、不全麻痺、傾眠、思考異常、振戦。

2). 眼:(2%未満)結膜炎、流涙増加、視力障害、眼乾燥、(頻度不明)霧視、視力低下。

3). 消化器:(5%以上)下痢(30.7%)、(2%〜5%未満)口内炎、悪心、食欲減退、腹痛、便秘、(2%未満)嘔吐、消化不良、口内乾燥、(頻度不明)腹部膨満、肛門直腸障害、口唇炎、嚥下障害、腸炎、鼓腸、胃炎、胃食道逆流性疾患、胃腸炎、口腔内潰瘍形成、肛門出血。

4). 循環器:(2%未満)ほてり、血腫、頻脈、動悸、潮紅、高血圧、(頻度不明)低血圧、静脈炎、血管拡張。

5). 呼吸器:(2%〜5%未満)呼吸困難、鼻出血、(2%未満)上気道感染、咳嗽、鼻漏、鼻乾燥、胸水、鼻部不快感、口腔咽頭痛、(頻度不明)喘息、気管支炎、発声障害、鼻潰瘍、咽喉頭疼痛、副鼻腔炎。

6). 皮膚:(5%以上)発疹、(2%〜5%未満)爪障害、皮膚乾燥、手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛症、(2%未満)爪感染、皮膚炎、紅斑、ざ瘡、皮膚そう痒症、皮膚亀裂、(頻度不明)発汗、皮膚色素過剰、蕁麻疹。

7). 筋骨格系:(2%〜5%未満)筋肉痛、筋骨格痛、関節痛、(2%未満)筋骨格硬直、(頻度不明)筋痙縮、筋力低下、頚部痛。

8). 肝臓:(2%〜5%未満)ALT増加、AST増加、(2%未満)γ−GTP増加。

9). 腎臓:(頻度不明)排尿困難。

10). 血液:(2%未満)リンパ球減少、血小板減少、(頻度不明)プロトロンビン減少。

11). 代謝:(2%未満)高クロール血症、LDH増加、高カルシウム血症、高トリグリセリド血症、低カリウム血症、(頻度不明)低マグネシウム血症。

12). その他:(5%以上)注射部位反応(14.1%)、疲労、(2%〜5%未満)無力症、粘膜炎症、浮腫、(2%未満)倦怠感、発熱、体重減少、蜂巣炎、悪寒、丹毒、インフルエンザ様疾患、粘膜乾燥、疼痛、(頻度不明)乳房痛、胸部不快感、胸痛、膀胱炎、難聴、脱水、冷感、熱感、体液貯留、ヘルペスウイルス感染、帯状疱疹、インフルエンザ、月経障害、尿路感染、体重増加、カンジダ感染、感染症。

警告

1.1. 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

1.2. 心不全等の重篤な心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。特に次の患者については、心機能検査(心エコー等)を頻回に行うこと〔8.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕[1)左室駆出率<LVEF>が低下している患者、2)アントラサイクリン系薬剤投与中の患者又はアントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、3)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、4)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈<心房細動・発作性上室性頻脈を除く>のある患者又はその既往歴のある患者、5)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、6)臨床上重大な心臓弁膜症のある患者、7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。

禁忌

2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。

重要な基本的注意

8.1. 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は、心症状の発現状況・重篤度に応じて、適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開、中止を判断すること〔1.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕。

8.2. 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。

8.3. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.6参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

9.1.1. 重篤な心機能障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと〔1.2、8.1、11.1.1参照〕。

9.1.2. 次のような心機能低下するおそれのある患者:心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある〔1.2、8.1、11.1.1参照〕[1)左室駆出率<LVEF>が低下している患者、2)アントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、3)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、4)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈<心房細動・発作性上室性頻脈を除く>のある患者又はその既往歴のある患者、5)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、6)臨床上重大な心臓弁膜症のある患者、7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。

(生殖能を有する者)

妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において、避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。

相互作用

10.2. 併用注意:

アントラサイクリン系薬剤[心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある(心機能障害のリスクを増強させるおそれがある)]。

高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(高齢者では一般に生理機能が低下している)。

妊婦・授乳婦

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ペルツズマブでは、動物試験(サル)にて、流産、胚死亡・胎仔死亡、羊水過少、胎仔腎形成不全等が認められており、また、胎児の血清中にペルツズマブが検出されている。また、トラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告があり、羊水過少を発現した症例で、胎児腎不全・新生児腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤の有効成分の乳汁への移行性については不明であるが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されており、また、トラスツズマブでは、動物試験(サル)にて、乳汁への移行(25mg/kg反復投与)が報告されている)。

小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

適用上の注意、取扱い上の注意

(適用上の注意)

14.1. 薬剤投与時の注意

14.1.1. 大腿部に皮下投与する(注射部位反応が報告されているので、同一箇所へ繰り返し注射することは避け、新たな注射部位は前回の注射部位から少なくとも2.5cm離す)。

14.1.2. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発疹・発赤・硬結等>には注射しないこと。

14.1.3. 本剤は1回で全量使用する製剤であり、再使用しないこと。

(取扱い上の注意)

外箱開封後は遮光して保存すること。

その他の注意

15.1. 臨床使用に基づく情報

国際共同第3相試験(FeDeriCa試験)の本剤群では、抗ペルツズマブ抗体は、231例中11例(4.8%)、抗トラスツズマブ抗体は232例中2例(0.9%)、抗ボルヒアルロニダーゼ アルファ抗体は225例中2例(0.9%)に認められた。

貯法

(保管上の注意)

2〜8℃保存。

後発品はありません
薬剤情報

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