予想以上に｢研修医ファースト｣〜新潟大医歯学総合病院〜

｢予想以上に研修医ファーストの環境が整っています｣ーー｡ 新潟大学医歯学総合病院で臨床研修医をしている塚野由貴先生は強調します｡ なぜそう感じるのか､ 塚野先生の本音を聞きました｡

研修の特徴

市中病院も大学病院もバランスよく

――研修の特徴は｡

塚野先生 ｢市中病院はcommon disease､大学病院は希少疾患を診るというイメージがありますが､新潟大学は両方ともバランス良く研修ができます｡県内はもちろん関東･関西など県外病院とのたすき掛けも充実しており､ common diseaseを集中的に診る期間があるためです｣

｢内科や総合診療､救急を中心に県外病院で経験を積み､手技の機会が多い新潟で実践力を高める､というプログラムも可能です｡研修先にはマッチングでフルマッチしている人気病院もあります｡新潟で2年間過ごすことに二の足を踏む医学生にも良いシステムだと思います｣

病院の外観

柔軟で自由度の高いプログラム

｢自由選択期間が10カ月と長く､研修後の進路をゆっくり検討できるのも特徴の一つです｡スタートは暫定でプログラムを組み､興味のある診療科が変わった場合､事前に申請すれば変更の調整も可能です｣

｢私も当初､循環器内科と心臓血管外科を1年ほど研修する予定でした｡長く研修することで循環器系の全体像をつかみたいとの考えがあったからです｡ただ､専門医の取得に必要な症例を集めるには､消化器内科や神経内科など別の診療科を回ることも重要だと医局長からアドバイスされ､プログラムを変更しました｡指導医が親身になって私の将来を考えてくれるのは有り難かったです｣

循環器内科のカテーテル室の前で準備をする塚野先生

研修先の決め手

手技の機会が豊富

――新潟大を研修先に選んだ理由は｡

｢実は他の大学病院も考え､東京都内に見学も行きました｣

｢比べてみると､医師不足の県でもある新潟は､実臨床の中で多くの手技に触れることができる点に一番魅力を感じました｡加えて､研修医のモチベーションを高めるオンラインレクチャーが毎週開催されるほか､脳神経外科の血栓回収療法や循環器内科の心エコーなど多様な科での手技のシミュレーション研修も月２回あります｡強制ではない自由参加で､やる気にあわせた自己研鑽の機会が用意されている点も良かったです｣

ブタの心臓を使った手技のトレーニング｡シミュレーション研修も充実している

医局の雰囲気がつかめる

――そもそも､なぜ市中病院ではなく大学病院なのか｡

｢大きく３つあります｡まず､在学中に研究に携わっていたこともあり､初期研修中も研究に近い場所に身を置きたいと考えたからです｡ 2つ目は､私が研修を始める時にちょうど心血管･循環器プログラムが出来たことです｡地元の新潟で循環器に特化して深く学べる点に惹かれました｣

｢最後は､医局の雰囲気がつかめるのは大学病院しかないことです｡医局のトップがどのような考えで医局を動かしているか､将来自分が入局する場合はどの診療科が適しているか､将来自分のポジションが上がった場合の立ちふるまいをどうしたらいいか､など多様な学びがあると考えました｣

――実際に研修した率直な感想は

｢思ったよりも『研修医ファースト』の環境で驚きました｡ 4月に教授室に呼び出され､『採血やルート確保は医師の基本だけど､最初は皆上手く出来なくて患者さんに怒られる｡足繁く通うことでコメディカルや患者さんとの信頼関係が築けるんだよ』という話を聞きました｡それ以来､病棟で手技がある機会に呼んでもらっており､研修医の成長の機会を積極的に確保してくれていると感じています｣

病院の雰囲気･オフの過ごし方

要望の翌週にウォーターサーバー､院長が待遇改善公言

――大学病院は勤務時間が長いイメージがある｡

｢研修する科にもよりますが､１日の流れとしては午前8時半に始まり､午後5〜6時くらいに退勤する科が多いです｡土日の呼び出しも基本的にはなく､プライベートの時間は十分確保できています｣

――病院の雰囲気は｡

｢院長が『不満点などはすぐに目に見える形でフィードバックするので､必ず伝えてほしい』と公言しています｡驚いたのは､研修医室にウォーターサーバーを導入してほしい､と研修医が要望したら､翌週に設置されたことですね｣

｢ほかにも家賃7万円程度のマンションは無料貸与ですし､研究費は年10万円支給されます｡医学書は高額なので､金銭的な負担感が少ないのは有り難いです｡研修医の待遇を良くしようとする病院の本気度が伝わってきます｣

｢上級医の先生も和やかで､新潟の銘酒が楽しめるお店や寿司屋に連れて行ってくれます｡趣味のポーカーやビリヤードでは社会人サークルに所属し､休日はイラストレーターやシステムエンジニアなど医師以外のメンバーとも交流しています｣

進路に迷っているならオススメ

――医学生にメッセージを｡

｢大学病院は地域医療に熱心な先生はもちろん､留学や行政への進路､起業を考えている先生などさまざまなフェーズの先生と交流できます｡臨床､研修､教育すべての機能を有する大学病院だからこそのメリットであり､今後の進路を考える上で大切な情報収集ができます｡進路に悩んでいるなら､大学病院は一つの選択肢です｡ぜひ新潟大で一緒に働きましょう｣