HOKUTO編集部
2ヶ月前
未治療のEGFR遺伝子変異(exon19欠失、 またはL858R変異) を有する進行非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬エルロチニブ+抗VEGFR2抗体ラムシルマブ併用療法の効果について、 プラセボを対象に検証した第III相国際二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験RELAYより、 全生存期間 (OS) の最終解析結果が初めて報告された。 検証の結果、 併用群ではOS中央値が数値的に延長し、 特に日本人のL858R陽性患者において、 その効果は良好であった。 近畿大学腫瘍内科特任教授の中川和彦氏が発表した。
本試験では、 未治療のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者に対するエルロチニブ+ラムシルマブ併用療法で、 主要評価項目である無増悪生存期間 (PFS) がエルロチニブ+プラセボと比較して有意に延長したことが既に報告されている (Lancet Oncol. 2019 Dec;20(12):1655-1669)。 今回は、 同試験の副次評価項目であるOSの最終解析の結果が、 世界に先駆けて第21回日本臨床腫瘍学会 (JSMO 2024) で初めて発表された。
EGFR遺伝子変異 (exon19欠損またはL858R変異) を有する未治療の進行NSCLC患者で、 脳転移がなくECOG PS 0-1の患者
449例を以下の2群に1 : 1の割合で無作為に割り付けた。 日本においては、 41施設から211例 (47.0%) が登録された。
-併用群 : 224例
-プラセボ群 : 225例
主要評価項目
PFS
副次的評価項目
OS、 奏効率 (ORR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 奏効期間 (DOR)、 安全性
両群間で概ね同様であった。
併用群ではプラセボ群に比較して、 ITT集団では7.2ヵ月、 日本人集団で8.2ヵ月のPFS中央値の延長が示された。
ITT集団(95%CI)
HR 0.66(0.53-0.83)、 p=0.0002
日本人集団(95%CI)
HR 0.69(0.51-0.93)
併用群におけるOS中央値は、 ITT集団で5.1ヵ月、 日本集団で8.3ヵ月の延長を認め、 PFSの延長がOSにも反映されていることが示された。
ITT集団のOS中央値(95%CI)
HR 0.98 (0.78-1.24)
日本人集団のOS中央値 (95%CI)
HR 0.91 (0.65-1.26)
Del19陽性例のOS中央値 (95%CI)
ITT集団、 日本人集団いずれもプラセボ群のほうが長かった。
【ITT集団】
HR 1.13 (0.83-1.55)
【日本人集団】
HR 1.40 (0.86-2.28)
L858R陽性例のOS中央値 (95%CI)
ITT集団、 日本人集団のいずれも併用群でOS中央値が長かった。 特に日本人集団では、 併用群でOS中央値が長かった。
【ITT集団】
HR 0.87 (0.62-1.22)
【日本人集団】
HR 0.63 (0.40-0.99)
既報と同様であった。
Grade3以上の治療関連有害事象 (TEAE) の発現割合
治療中止に至ったTEAEの発現割合
治療関連死の発現割合
未治療のEGFR遺伝子変異 (Del19またはL858R) 陽性のNSCLC患者に対して、 エルロチニブ+ラムシルマブ併用療法はプラセボ併用群と比較し、 有意にPFSを延長させた。 さらに同併用療法では、 ITT・日本人の両集団でOS中央値の数値的な延長を認めた。 特に日本人かつL858R陽性例において、 その効果は顕著であり、 これらの患者集団にはエルロチニブ+ラムシルマブ併用療法による恩恵がもたらされる可能性が示唆された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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