概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

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用法用量

投与開始基準

IMpassion130試験¹⁾より抜粋

18歳以上の転移性または局所進行性のトリプルネガティブ乳がん (TNBC) と組織学的に診断された以下に該当する患者

主な有害事象

IMpassion130試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 貧血 27.7% (2.9%)
  • 好中球減少症 20.8% (8.2%)
  • 好中球数減少 12.6% (4.6%)
  • ALT増加 10.4% (1.8%)
  • 疲労 46.7% (4.0%)
  • 悪心 46.0% (1.1%)
  • 下痢 32.5% (1.3%)
  • 便秘 25.0% (0.7%)
  • 食欲減退 20.1% (0.7%)
  • 嘔吐 19.5% (0.9%)
  • 発熱 18.8% (0.7%)
  • 甲状腺機能低下症 13.7% (0%)

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 56.4% (0.7%)
  • 末梢性ニューロパチー 21.7% (5.5%)
  • 末梢性感覚ニューロパチー 15.9% (2.0%)
MedDRA/J v21.0、 CTCAE v4.0-JCOGに基づく評価

特徴と注意点

  • PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんに対して使用。
  • Atezolizumabの投与量は、 乳がんは他のがん種と異なるため注意。
  • Atezolizumabの初回投与時間は60分だが、忍容性があれば2回目以降は30分に短縮可能。
  • nab-PTXは人血清アルブミンを用いており、 特定生物由来製品に該当する。 投与した場合は、 医薬品名 (販売名) 、 製造番号又は製造記号 (ロット番号) 、 使用年月日、 使用した患者の氏名、 住所等を記載し少なくとも20年間の保管が必要となる。
  • nab-PTXの投与にあたっては、 ヒト血液を原料としていることに由来する感染症の伝播のリスクを完全に排除することができないことなど、 リスクについても十分に説明し、 理解を得る必要がある。
  • 免疫チェックポイント阻害薬の有害事象は多岐にわたり、 発現時期も明確でないため、 患者の体調変化のチェックを注意深くする必要がある。
  • ベンタナ OptiView PD-L1 (SP142) によるコンパニオン診断で、 IC≧1が投与基準となる。

関連する臨床試験|IMpassion130試験¹⁾

転移・再発病変に対する治療歴のない、 転移または切除不能な局所進行性のトリプルネガティブ乳癌患者において、 アテゾリズマブとnabパクリタキセル (Nab-PTX) の併用療法の効果を、 プラセボ+Nab-PTXを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験IMpassion130の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

追跡期間 (中央値)

  • アテゾリズマブ群:18.5ヵ月
  • プラセボ群:17.5ヵ月

OS中央値

全患者

  • アテゾリズマブ群:21.0ヵ月
(95%CI 19.0-22.6ヵ月)
  • プラセボ群:18.7ヵ月
(95%CI 16.9-20.3ヵ月)
HR 0.86 (95%CI 0.72-1.02)、 p=0.078

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:25.0ヵ月
(95%CI 19.6-30.7ヵ月)
  • プラセボ群:18.0ヵ月
(95%CI 13.6-20.1ヵ月)
HR 0.71 (95%CI 0.54-0.94)

PD-L1陰性患者

  • アテゾリズマブ群:19.7ヵ月
(95%CI 16.3-21.6ヵ月)
  • プラセボ群:19.6ヵ月
(95%CI 16.9-22.2ヵ月)
HR 0.97 (95%CI 0.78-1.20)

OS率 (24ヵ月時)

全患者

  • アテゾリズマブ群:42.4%
(95%CI 37.3-47.4%)
  • プラセボ群:38.7%
(95%CI 33.7-43.6%)

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:50.7%
(95%CI 42.9-58.5%)
  • プラセボ群:36.9%
(95%CI 29.0-44.9%)

PFS中央値

全患者

  • アテゾリズマブ群:7.2ヵ月
(95%CI 5.6-7.4ヵ月)
  • プラセボ群:5.5ヵ月
(95%CI 5.3-5.6ヵ月)
HR 0.80 (95%CI 0.69-0.92)、 p=0.0021

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:7.5ヵ月
(95%CI 6.7-9.2ヵ月)
  • プラセボ群:5.3ヵ月
(95%CI 3.8-5.6ヵ月)
HR 0.63 (95%CI 0.50-0.80)、 p<0.0001

PD-L1陰性患者

  • アテゾリズマブ群:5.6ヵ月
(95%CI 5.5-7.3ヵ月)
  • プラセボ群:5.6ヵ月
(95%CI 5.4-7.3ヵ月)
HR 0.93 (95%Cl 0.77-1.11)

PFS率

全患者 (24ヵ月時)

  • アテゾリズマブ群:10%
(95%CI 7-13%)
  • プラセボ群:6%
(95%CI 4-9%)

PD-L1陽性患者 (12ヵ月時、 24ヵ月時)

  • アテゾリズマブ群:30.3%、 12.4%
  • プラセボ群:17.3%、 7.4%

ORR

全患者

  • アテゾリズマブ群:56.0%
(95%CI 51.3-60.6%)
  • プラセボ群:45.9%
(95%CI 41.2-50.6%)
p=0.002

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:58.9%
(95%CI 51.5-66.1%)
  • プラセボ群:42.6%
(95%CI 35.4-50.1%)
p=0.002

DOR中央値

全患者

  • アテゾリズマブ群:7.4ヵ月
(95%CI 6.9-9.0ヵ月)
  • プラセボ群:5.6ヵ月
(95%CI 5.5-6.9ヵ月)
HR 0.78 (95%CI 0.63-0.98)

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:8.5ヵ月
(95%CI 7.3-9.7ヵ月)
  • プラセボ群:5.5ヵ月
(95%CI 3.7-7.1ヵ月)
HR 0.60 (95%CI 0.43-0.86)

参考文献

  1. Atezolizumab and Nab-Paclitaxel in Advanced Triple-Negative Breast Cancer. N Engl J Med. 2018 Nov 29;379(22):2108-2121. PMID: 30345906
最終更新日:2023年11月21日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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Atezolizumab+nab-PTX
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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Atezolizumab+nab-PTX
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Atezolizumab+nab-PTX

Atezolizumab+nab-PTX

アテゾリズマブ (テセントリク®)+nab-パクリタキセル (アブラキサン®︎)
2024年03月05日更新
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主な有害事象

IMpassion130試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 貧血 27.7% (2.9%)
  • 好中球減少症 20.8% (8.2%)
  • 好中球数減少 12.6% (4.6%)
  • ALT増加 10.4% (1.8%)
  • 疲労 46.7% (4.0%)
  • 悪心 46.0% (1.1%)
  • 下痢 32.5% (1.3%)
  • 便秘 25.0% (0.7%)
  • 食欲減退 20.1% (0.7%)
  • 嘔吐 19.5% (0.9%)
  • 発熱 18.8% (0.7%)
  • 甲状腺機能低下症 13.7% (0%)

注意すべき有害事象

  • 脱毛症 56.4% (0.7%)
  • 末梢性ニューロパチー 21.7% (5.5%)
  • 末梢性感覚ニューロパチー 15.9% (2.0%)
MedDRA/J v21.0、 CTCAE v4.0-JCOGに基づく評価

特徴と注意点

  • PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんに対して使用。
  • Atezolizumabの投与量は、 乳がんは他のがん種と異なるため注意。
  • Atezolizumabの初回投与時間は60分だが、忍容性があれば2回目以降は30分に短縮可能。
  • nab-PTXは人血清アルブミンを用いており、 特定生物由来製品に該当する。 投与した場合は、 医薬品名 (販売名) 、 製造番号又は製造記号 (ロット番号) 、 使用年月日、 使用した患者の氏名、 住所等を記載し少なくとも20年間の保管が必要となる。
  • nab-PTXの投与にあたっては、 ヒト血液を原料としていることに由来する感染症の伝播のリスクを完全に排除することができないことなど、 リスクについても十分に説明し、 理解を得る必要がある。
  • 免疫チェックポイント阻害薬の有害事象は多岐にわたり、 発現時期も明確でないため、 患者の体調変化のチェックを注意深くする必要がある。
  • ベンタナ OptiView PD-L1 (SP142) によるコンパニオン診断で、 IC≧1が投与基準となる。

関連する臨床試験|IMpassion130試験¹⁾

転移・再発病変に対する治療歴のない、 転移または切除不能な局所進行性のトリプルネガティブ乳癌患者において、 アテゾリズマブとnabパクリタキセル (Nab-PTX) の併用療法の効果を、 プラセボ+Nab-PTXを対照に検証した第Ⅲ相二重盲検ランダム化比較試験IMpassion130の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) に対する有効性が示された。

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追跡期間 (中央値)

  • アテゾリズマブ群:18.5ヵ月
  • プラセボ群:17.5ヵ月

OS中央値

全患者

  • アテゾリズマブ群:21.0ヵ月
(95%CI 19.0-22.6ヵ月)
  • プラセボ群:18.7ヵ月
(95%CI 16.9-20.3ヵ月)
HR 0.86 (95%CI 0.72-1.02)、 p=0.078

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:25.0ヵ月
(95%CI 19.6-30.7ヵ月)
  • プラセボ群:18.0ヵ月
(95%CI 13.6-20.1ヵ月)
HR 0.71 (95%CI 0.54-0.94)

PD-L1陰性患者

  • アテゾリズマブ群:19.7ヵ月
(95%CI 16.3-21.6ヵ月)
  • プラセボ群:19.6ヵ月
(95%CI 16.9-22.2ヵ月)
HR 0.97 (95%CI 0.78-1.20)

OS率 (24ヵ月時)

全患者

  • アテゾリズマブ群:42.4%
(95%CI 37.3-47.4%)
  • プラセボ群:38.7%
(95%CI 33.7-43.6%)

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:50.7%
(95%CI 42.9-58.5%)
  • プラセボ群:36.9%
(95%CI 29.0-44.9%)

PFS中央値

全患者

  • アテゾリズマブ群:7.2ヵ月
(95%CI 5.6-7.4ヵ月)
  • プラセボ群:5.5ヵ月
(95%CI 5.3-5.6ヵ月)
HR 0.80 (95%CI 0.69-0.92)、 p=0.0021

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:7.5ヵ月
(95%CI 6.7-9.2ヵ月)
  • プラセボ群:5.3ヵ月
(95%CI 3.8-5.6ヵ月)
HR 0.63 (95%CI 0.50-0.80)、 p<0.0001

PD-L1陰性患者

  • アテゾリズマブ群:5.6ヵ月
(95%CI 5.5-7.3ヵ月)
  • プラセボ群:5.6ヵ月
(95%CI 5.4-7.3ヵ月)
HR 0.93 (95%Cl 0.77-1.11)

PFS率

全患者 (24ヵ月時)

  • アテゾリズマブ群:10%
(95%CI 7-13%)
  • プラセボ群:6%
(95%CI 4-9%)

PD-L1陽性患者 (12ヵ月時、 24ヵ月時)

  • アテゾリズマブ群:30.3%、 12.4%
  • プラセボ群:17.3%、 7.4%

ORR

全患者

  • アテゾリズマブ群:56.0%
(95%CI 51.3-60.6%)
  • プラセボ群:45.9%
(95%CI 41.2-50.6%)
p=0.002

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:58.9%
(95%CI 51.5-66.1%)
  • プラセボ群:42.6%
(95%CI 35.4-50.1%)
p=0.002

DOR中央値

全患者

  • アテゾリズマブ群:7.4ヵ月
(95%CI 6.9-9.0ヵ月)
  • プラセボ群:5.6ヵ月
(95%CI 5.5-6.9ヵ月)
HR 0.78 (95%CI 0.63-0.98)

PD-L1陽性患者

  • アテゾリズマブ群:8.5ヵ月
(95%CI 7.3-9.7ヵ月)
  • プラセボ群:5.5ヵ月
(95%CI 3.7-7.1ヵ月)
HR 0.60 (95%CI 0.43-0.86)

参考文献

  1. Atezolizumab and Nab-Paclitaxel in Advanced Triple-Negative Breast Cancer. N Engl J Med. 2018 Nov 29;379(22):2108-2121. PMID: 30345906
最終更新日:2023年11月21日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(乳腺)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

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