治療スケジュール
概要
監修医師

Avelumab:アベルマブ(バベンチオ®)

投与量コース投与日
10mg/kg 点滴1~Day1

Axitinib:アキシチニブ(インライタ®)

投与量コース投与日
10mg/日 経口1日2回1~連日投与

その他

1コース14日間。
レジメン
Avelumab+Axitinib
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

JAVELIN Renal 101試験¹⁾

N Engl J Med. 2019 Mar 21;380(12):1103-1115.より作図

電子添文の効能または効果

バベンチオ® : アキシチニブとの併用において、 1回10mg/kgを2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注²⁾

インライタ® : 1回5mgを1日2回経口投与する。 なお、 患者の状態により適宜増減するが、 1回10mg1日2回まで増量できる³⁾

投与開始基準

JAVELIN Renal 101試験¹⁾より抜粋

未治療の淡明細胞型腎細胞がんの組織学的または細胞学的診断ある18歳以上 (日本では20歳以上) の患者で以下を満たすもの

減量・休薬・中止基準

アベルマブの減量・休薬・中止基準

主な有害事象

JAVELIN Renal 101試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 貧血 6.0% (1.6%)
  • 血小板減少症 3.5% (0.2%)
  • 血小板数減少 1.8% (0%)
  • 好中球減少症 1.4% (0.2%)
  • 好中球数減少 0.2% (0%)
  • 下痢 62.2% (6.7%)
  • 倦怠感 41.5% (3.5%)
  • 吐き気 34.1% (1.4%)
  • 食欲低下 26.3% (2.1%)
  • 口内炎 23.5% (1.8%)
  • 嘔吐 18.4% (0.9%)
  • 便秘 17.7% (0%)
  • 粘膜炎症 14.1% (1.2%)
  • 発熱 12.9% (0%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧 49.5% (25.6%)
  • 手掌・足底発赤知覚不全症候群 33.4% (5.8%)

特徴と注意点

血管新生阻害薬を用いた免疫併用療法であり、 PFSでスニチニブより優れていることがPD-L1陽性集団および全集団で示され保険承認となった。

アベルマブはインフュージョンリアクション対策が必要な抗体薬である。 投与後の発熱の予防として、 アセトアミノフェン500mgの前投薬が推奨されている。

関連する臨床試験|JAVELIN Renal 101試験¹⁾

未治療の進行又は転移腎細胞癌 (淡明細胞型) 患者において、 アベルマブとアキシチニブの併用療法の効果を、 スニチニブ単独療法を対照に検証した比較試験JAVELIN Renal 101の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) および奏効率 (ORR) に対する有益性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 13.8ヵ月 (10.1-20.7ヵ月)
  • スニチニブ群 : 7.0ヵ月 (5.7-9.6ヵ月)
HR0.62 (95%CI 0.490-0.777)、 P<0.0001

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 13.3ヵ月 (11.1-15.3ヵ月)
  • スニチニブ群 : 8.0ヵ月 (6.7-9.8ヵ月)
HR0.69 (95%CI 0.574-0.825)、 P<0.0001

OS中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 未到達
  • スニチニブ群 : 28.6ヵ月 (27.4ヵ月-推定不能)
HR0.83 (95%CI 0.596-1.151)、 P=0.1301

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 未到達 (30.0ヵ月-推定不能)
  • スニチニブ群 : 未到達 (27.4ヵ月-推定不能)
HR0.80 (95%CI 0.616-1.027)、 P=0.0392

ORR (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 55.9% (49.8-61.9%)
  • スニチニブ群 : 27.2% (22.2-32.8%)

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 52.5% (47.7-57.2%)
  • スニチニブ群 : 27.3% (23.2-31.6%)

TTR中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 2.0ヵ月 (1.2-20.7ヵ月)
  • スニチニブ群 : 3.1ヵ月 (1.2-12.5ヵ月)

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 2.7ヵ月 (1.2-20.7ヵ月)
  • スニチニブ群 : 4.0ヵ月 (1.2-18.0ヵ月)

DR中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 18.5ヵ月 (17.8ヵ月-推定不能)
  • スニチニブ群 : 推定不能 (11.2ヵ月-推定不能)

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 18.5ヵ月 (17.8ヵ月-推定不能)
  • スニチニブ群 : 推定不能 (16.4ヵ月-推定不能)

出典

  1. Avelumab plus Axitinib versus Sunitinib for Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med. 2019 Mar 21;380(12):1103-1115. PMID: 30779531
  2. メルクバイオファーマ株式会社. バベンチオ®電子添文 (2023年7月改訂第8版) [最終閲覧:2024/03/11]
  3. ファイザー株式会社. インライタ®電子添文 (2024年2月改訂第2版) [最終閲覧:2024/03/11]
最終更新日 : 2024年3月11日
監修医師 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

レジメン
Avelumab+Axitinib
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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監修・協力医一覧
レジメン
Avelumab+Axitinib
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Avelumab+Axitinib

Avelumab+Axitinib

アベルマブ (バベンチオ®)+アキシチニブ(インライタ®)
2024年03月11日更新

Avelumab:アベルマブ(バベンチオ®)

投与量コース投与日
10mg/kg 点滴1~Day1

Axitinib:アキシチニブ(インライタ®)

投与量コース投与日
10mg/日 経口1日2回1~連日投与

その他

1コース14日間。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

JAVELIN Renal 101試験¹⁾

N Engl J Med. 2019 Mar 21;380(12):1103-1115.より作図

電子添文の効能または効果

バベンチオ® : アキシチニブとの併用において、 1回10mg/kgを2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注²⁾

インライタ® : 1回5mgを1日2回経口投与する。 なお、 患者の状態により適宜増減するが、 1回10mg1日2回まで増量できる³⁾

投与開始基準

JAVELIN Renal 101試験¹⁾より抜粋

未治療の淡明細胞型腎細胞がんの組織学的または細胞学的診断ある18歳以上 (日本では20歳以上) の患者で以下を満たすもの

減量・休薬・中止基準

アベルマブの減量・休薬・中止基準

主な有害事象

JAVELIN Renal 101試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 貧血 6.0% (1.6%)
  • 血小板減少症 3.5% (0.2%)
  • 血小板数減少 1.8% (0%)
  • 好中球減少症 1.4% (0.2%)
  • 好中球数減少 0.2% (0%)
  • 下痢 62.2% (6.7%)
  • 倦怠感 41.5% (3.5%)
  • 吐き気 34.1% (1.4%)
  • 食欲低下 26.3% (2.1%)
  • 口内炎 23.5% (1.8%)
  • 嘔吐 18.4% (0.9%)
  • 便秘 17.7% (0%)
  • 粘膜炎症 14.1% (1.2%)
  • 発熱 12.9% (0%)

注意すべき有害事象

  • 高血圧 49.5% (25.6%)
  • 手掌・足底発赤知覚不全症候群 33.4% (5.8%)

特徴と注意点

血管新生阻害薬を用いた免疫併用療法であり、 PFSでスニチニブより優れていることがPD-L1陽性集団および全集団で示され保険承認となった。

アベルマブはインフュージョンリアクション対策が必要な抗体薬である。 投与後の発熱の予防として、 アセトアミノフェン500mgの前投薬が推奨されている。

関連する臨床試験|JAVELIN Renal 101試験¹⁾

未治療の進行又は転移腎細胞癌 (淡明細胞型) 患者において、 アベルマブとアキシチニブの併用療法の効果を、 スニチニブ単独療法を対照に検証した比較試験JAVELIN Renal 101の結果より、 無増悪生存期間 (PFS) および奏効率 (ORR) に対する有益性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 13.8ヵ月 (10.1-20.7ヵ月)
  • スニチニブ群 : 7.0ヵ月 (5.7-9.6ヵ月)
HR0.62 (95%CI 0.490-0.777)、 P<0.0001

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 13.3ヵ月 (11.1-15.3ヵ月)
  • スニチニブ群 : 8.0ヵ月 (6.7-9.8ヵ月)
HR0.69 (95%CI 0.574-0.825)、 P<0.0001

OS中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 未到達
  • スニチニブ群 : 28.6ヵ月 (27.4ヵ月-推定不能)
HR0.83 (95%CI 0.596-1.151)、 P=0.1301

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 未到達 (30.0ヵ月-推定不能)
  • スニチニブ群 : 未到達 (27.4ヵ月-推定不能)
HR0.80 (95%CI 0.616-1.027)、 P=0.0392

ORR (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 55.9% (49.8-61.9%)
  • スニチニブ群 : 27.2% (22.2-32.8%)

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 52.5% (47.7-57.2%)
  • スニチニブ群 : 27.3% (23.2-31.6%)

TTR中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 2.0ヵ月 (1.2-20.7ヵ月)
  • スニチニブ群 : 3.1ヵ月 (1.2-12.5ヵ月)

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 2.7ヵ月 (1.2-20.7ヵ月)
  • スニチニブ群 : 4.0ヵ月 (1.2-18.0ヵ月)

DR中央値 (95%CI)

PD-L1陽性患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 18.5ヵ月 (17.8ヵ月-推定不能)
  • スニチニブ群 : 推定不能 (11.2ヵ月-推定不能)

全患者集団

  • アベルマブ+アキシチニブ群 : 18.5ヵ月 (17.8ヵ月-推定不能)
  • スニチニブ群 : 推定不能 (16.4ヵ月-推定不能)

出典

  1. Avelumab plus Axitinib versus Sunitinib for Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med. 2019 Mar 21;380(12):1103-1115. PMID: 30779531
  2. メルクバイオファーマ株式会社. バベンチオ®電子添文 (2023年7月改訂第8版) [最終閲覧:2024/03/11]
  3. ファイザー株式会社. インライタ®電子添文 (2024年2月改訂第2版) [最終閲覧:2024/03/11]
最終更新日 : 2024年3月11日
監修医師 : 国立がん研究センター東病院 腫瘍内科 近藤 千紘先生

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(泌尿器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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