概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

リムパーザ® (添付文書 / 適正使用情報)

*アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します

用法用量

電子添文¹⁾/適正使用ガイド²⁾用法および用量

1回300mgを1日2回、 経口投与する。 ただし、 術後薬物療法の場合、 投与期間は1年間までとする。

リムパーザ®電子添文 (2023年8月改訂 第5版) /リムパーザ®適正使用ガイド (2023年9月作成)より作図

投与開始基準

減量・休薬・中止基準

主な有害事象

OlympiAD試験³⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内は≧Grade3)

主な有害事象

  • 貧血 40.0% (16.1%)
  • 好中球減少 27.3% (9.3%)
  • 白血球減少 16.1% (3.4%)
  • 悪心 58.0% (0%)
  • 嘔吐 29.8% (0%)
  • 食欲減退 16.1% (0%)
  • 倦怠感 28.8% (2.9%)
  • 発熱 14.1% (0%)
  • ALT増加 11.2% (1.5%)
  • AST増加 9.3% (2.4%)

注意すべき有害事象

  • 手足症候群 0.5% (0%)

特徴と注意点

  • 添付文書での適応は以下の2種類である。
  • がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌³⁾
  • BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法⁴⁾
  • 承認された体外診断用医薬品を用いた検査により、 生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異 (病的変異又は病的変異疑い) を有することの確認が必要である。
  • 貧血、 好中球減少、 血小板減少、 間質性肺疾患、 静脈血栓塞栓症、 感染症、 悪心・嘔吐などの副作用に注意が必要である。
  • 早期乳癌の術後薬物療法の場合、 投与期間は1年間までとする。
  • 腎機能障害のある患者への投与は、 オラパリブの血中濃度が上昇する可能性があるため、 減量を考慮する。
  • CYP3Aの基質であり、 CYP3A阻害剤又はCYP3A誘導剤との併用は注意が必要である。 やむを得ず中程度または強いCYP3A阻害剤を併用する場合は減量を考慮。 薬剤以外では、 グレープフルーツ含有食品、 セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort) 含有食品を摂取しないよう指導する。
  • 本剤300mgを投与する際には150mg錠2錠を使用し、 100mg錠は減量時にのみ使用すること。 100mg錠は150mg錠に比べ、 ヒトに投与したときの吸収速度が速いことが示されている。 また、 生物学的同等性試験を実施していないため、 150mg錠と100mg錠との間での互換使用は適切ではないとされている。
  • 服用タイミングは、 1日2回12時間ごとを目安にする。 食事の影響は受けない。
  • 飲み忘れた際、 気が付いた時間がいつもの服用時間の2時間以内であれば内服可能。
  • 早期乳癌患者を対象とした臨床試験 (OlympiA試験⁴⁾) では、 リムパーザが内分泌療法と併用で使用されていた。

関連する臨床試験|OlympiAD試験³⁾

BRCA遺伝子変異を持つホルモン受容体陽性またはトリプルネガティブのHER2陰性転移性乳癌患者において、 オラパリブ単剤療法の効果を、 標準療法を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験OlympiADの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) を有意な改善が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値

  • オラパリブ群 : 7.0ヵ月
  • 標準療法群 : 4.2ヵ月
HR 0.58  (95%CI 0.43-0.80)、 p<0.001

12ヵ月時PFS率

  • オラパリブ群 : 25.9%
  • 標準治療群 : 15.0%

OS中央値

追跡期間中央値は、 オラパリブ群25.3ヵ月、 標準治療群26.3ヵ月
  • オラパリブ群 : 19.3ヵ月
  • 標準治療群 : 17.1ヵ月
HR 0.90 (95%CI 0.66-1.23)、 p=0.513

OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • オラパリブ群 : 93.1%、 72.7%、 54.1%
  • 標準治療群 : 85.8%、 69.2%、 48.0%

サブグループ解析

オラパリブ群は標準治療群と比較して、 転移性乳癌に対する化学療法の前治療歴のない患者でより大きなベネフィットが見られた。

  • オラパリブ群 : 22.6ヵ月
  • 標準治療群 : 14.7ヵ月
HR 0.51 (95%CI 0.29-0.90)

第2イベントまでの期間 (中央値)

  • オラパリブ群 : 13.2ヵ月
  • 標準治療群 : 9.3ヵ月
HR 0.57 (95%CI 0.40-0.83)、 p=0.003

奏効率

  • オラパリブ群 : 57.6%
  • 標準治療群 : 22.2%

奏効期間 (中央値)

  • オラパリブ群 : 6.9ヵ月
(IQR 2.8-10.1ヵ月)
  • 標準治療群 : 4.5ヵ月
(IQR 2.7-8.5ヵ月)

QOL

ベースライン時のQOL-C30スコアの平均 (±SD)

  • オラパリブ群 : 63.2±21.0
  • 標準治療群 : 63.3±21.2

ベースラインからのスコア変動

  • オラパリブ群 : 3.9±1.2
  • 標準治療群 : -3.6±2.2
推定差 7.5 (95%CI 2.5-12.4)、 p=0.004

QLQ-C30が10点以上低下するまでの期間 (中央値)

  • オラパリブ群 : 未到達
  • 標準治療群 : 15.3ヵ月
HR 0.44 (95%CI 0.25-0.77)、 p=0.004

出典

  1. アストラゼネカ株式会社. リムパーザ®電子添文 (2023年8月改訂 第5版) [最終閲覧 : 2024/03/11]
  2. アストラゼネカ株式会社. リムパーザ®適正使用ガイド (2023年9月作成) [最終閲覧:2024/03/11]
  3. Olaparib for Metastatic Breast Cancer in Patients with a Germline BRCA Mutation. N Engl J Med. 2017 Aug 10;377(6):523-533. PMID: 28578601
  4. Adjuvant Olaparib for Patients with BRCA1- or BRCA2-Mutated Breast Cancer. N Engl J Med. 2021 Jun 24;384(25):2394-2405. PMID: 34081848
最終更新日 : 2024年3月25日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
執筆 : 公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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オラパリブ (リムパーザ®)
2024年04月01日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

リムパーザ® (添付文書 / 適正使用情報)

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用法用量

電子添文¹⁾/適正使用ガイド²⁾用法および用量

1回300mgを1日2回、 経口投与する。 ただし、 術後薬物療法の場合、 投与期間は1年間までとする。

リムパーザ®電子添文 (2023年8月改訂 第5版) /リムパーザ®適正使用ガイド (2023年9月作成)より作図

投与開始基準

減量・休薬・中止基準

主な有害事象

OlympiAD試験³⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内は≧Grade3)

主な有害事象

  • 貧血 40.0% (16.1%)
  • 好中球減少 27.3% (9.3%)
  • 白血球減少 16.1% (3.4%)
  • 悪心 58.0% (0%)
  • 嘔吐 29.8% (0%)
  • 食欲減退 16.1% (0%)
  • 倦怠感 28.8% (2.9%)
  • 発熱 14.1% (0%)
  • ALT増加 11.2% (1.5%)
  • AST増加 9.3% (2.4%)

注意すべき有害事象

  • 手足症候群 0.5% (0%)

特徴と注意点

  • 添付文書での適応は以下の2種類である。
  • がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌³⁾
  • BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法⁴⁾
  • 承認された体外診断用医薬品を用いた検査により、 生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異 (病的変異又は病的変異疑い) を有することの確認が必要である。
  • 貧血、 好中球減少、 血小板減少、 間質性肺疾患、 静脈血栓塞栓症、 感染症、 悪心・嘔吐などの副作用に注意が必要である。
  • 早期乳癌の術後薬物療法の場合、 投与期間は1年間までとする。
  • 腎機能障害のある患者への投与は、 オラパリブの血中濃度が上昇する可能性があるため、 減量を考慮する。
  • CYP3Aの基質であり、 CYP3A阻害剤又はCYP3A誘導剤との併用は注意が必要である。 やむを得ず中程度または強いCYP3A阻害剤を併用する場合は減量を考慮。 薬剤以外では、 グレープフルーツ含有食品、 セイヨウオトギリソウ (St. John's Wort) 含有食品を摂取しないよう指導する。
  • 本剤300mgを投与する際には150mg錠2錠を使用し、 100mg錠は減量時にのみ使用すること。 100mg錠は150mg錠に比べ、 ヒトに投与したときの吸収速度が速いことが示されている。 また、 生物学的同等性試験を実施していないため、 150mg錠と100mg錠との間での互換使用は適切ではないとされている。
  • 服用タイミングは、 1日2回12時間ごとを目安にする。 食事の影響は受けない。
  • 飲み忘れた際、 気が付いた時間がいつもの服用時間の2時間以内であれば内服可能。
  • 早期乳癌患者を対象とした臨床試験 (OlympiA試験⁴⁾) では、 リムパーザが内分泌療法と併用で使用されていた。

関連する臨床試験|OlympiAD試験³⁾

BRCA遺伝子変異を持つホルモン受容体陽性またはトリプルネガティブのHER2陰性転移性乳癌患者において、 オラパリブ単剤療法の効果を、 標準療法を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験OlympiADの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) を有意な改善が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

PFS中央値

  • オラパリブ群 : 7.0ヵ月
  • 標準療法群 : 4.2ヵ月
HR 0.58  (95%CI 0.43-0.80)、 p<0.001

12ヵ月時PFS率

  • オラパリブ群 : 25.9%
  • 標準治療群 : 15.0%

OS中央値

追跡期間中央値は、 オラパリブ群25.3ヵ月、 標準治療群26.3ヵ月
  • オラパリブ群 : 19.3ヵ月
  • 標準治療群 : 17.1ヵ月
HR 0.90 (95%CI 0.66-1.23)、 p=0.513

OS率 (6ヵ月時、 12ヵ月時、 18ヵ月時)

  • オラパリブ群 : 93.1%、 72.7%、 54.1%
  • 標準治療群 : 85.8%、 69.2%、 48.0%

サブグループ解析

オラパリブ群は標準治療群と比較して、 転移性乳癌に対する化学療法の前治療歴のない患者でより大きなベネフィットが見られた。

  • オラパリブ群 : 22.6ヵ月
  • 標準治療群 : 14.7ヵ月
HR 0.51 (95%CI 0.29-0.90)

第2イベントまでの期間 (中央値)

  • オラパリブ群 : 13.2ヵ月
  • 標準治療群 : 9.3ヵ月
HR 0.57 (95%CI 0.40-0.83)、 p=0.003

奏効率

  • オラパリブ群 : 57.6%
  • 標準治療群 : 22.2%

奏効期間 (中央値)

  • オラパリブ群 : 6.9ヵ月
(IQR 2.8-10.1ヵ月)
  • 標準治療群 : 4.5ヵ月
(IQR 2.7-8.5ヵ月)

QOL

ベースライン時のQOL-C30スコアの平均 (±SD)

  • オラパリブ群 : 63.2±21.0
  • 標準治療群 : 63.3±21.2

ベースラインからのスコア変動

  • オラパリブ群 : 3.9±1.2
  • 標準治療群 : -3.6±2.2
推定差 7.5 (95%CI 2.5-12.4)、 p=0.004

QLQ-C30が10点以上低下するまでの期間 (中央値)

  • オラパリブ群 : 未到達
  • 標準治療群 : 15.3ヵ月
HR 0.44 (95%CI 0.25-0.77)、 p=0.004

出典

  1. アストラゼネカ株式会社. リムパーザ®電子添文 (2023年8月改訂 第5版) [最終閲覧 : 2024/03/11]
  2. アストラゼネカ株式会社. リムパーザ®適正使用ガイド (2023年9月作成) [最終閲覧:2024/03/11]
  3. Olaparib for Metastatic Breast Cancer in Patients with a Germline BRCA Mutation. N Engl J Med. 2017 Aug 10;377(6):523-533. PMID: 28578601
  4. Adjuvant Olaparib for Patients with BRCA1- or BRCA2-Mutated Breast Cancer. N Engl J Med. 2021 Jun 24;384(25):2394-2405. PMID: 34081848
最終更新日 : 2024年3月25日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師
執筆 : 公益財団法人 がん研究会 がん研有明病院 薬剤部 平岡 知子先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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