概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

特徴と注意点

  • Norton-Simonの仮説の考え方をもとに、 抗がん薬の投与量は増やさず、 投与間隔を短縮する治療である。 通常3週間毎投与を、 G-CSFのサポートにより2週間毎に実施する。
  • 術前・術後補助化学療法のアンスラサイクリン系レジメンとして、 2週毎に4コース投与する¹⁾。
  • Dose denseレジメンでは、 発熱性好中球減少症の一次予防としてG-CSF製剤を併用する。
  • ドキソルビシンの総投与量が500mg/m²を超えると心毒性のリスクが増大するため、 アンスラサイクリン系薬剤の投与歴を確認する。
  • 治療開始前および治療期間中の定期的な心エコー検査が推奨される。
  • 高度催吐性リスクに該当し、 NK1受容体拮抗薬、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンの3剤に加えて、 糖尿病の既往がなければオランザピンの併用を検討する。
  • 5-HT3受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用したAC療法において、 day2以降のデキサメタゾンを省略するsteroid sparingがステロイド通常投与に対する非劣性が示されている²⁾。
  • dose dense AC療法は3週毎に投与する通常投与と比較し、 乳癌の再発や死亡のリスクを低減させることが示されている³⁾。

関連する臨床試験|CALGB 9344試験の概要¹⁾

T0-T3、 N1/2、 M0の乳房原発腺癌の術後療法において、 ドキソルビシン (DXR) +シクロホスファミド (CPA) +パクリタキセル (PTX) の効果を、 投与間隔と投与順序の違いで比較した第Ⅲ相無作為化比較試験CALGB 9344の結果より、 3週毎レジメンと比較した2週毎投与レジメンの、 無病生存期間 (DFS) と全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

>>臨床試験の詳細を見る

DFS

2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較

HR 0.74 (95%CI 0.59-0.93)、 p=0.010

併用レジメンAC→T (Ⅲ群+Ⅳ群) と逐次レジメンA→T→C (Ⅰ群+Ⅱ群) の比較

HR 0.93 (95%CI 0.75-1.18)、 p=0.58

DFS率 (1年時、 2年時、 3年時、 4年時)

2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較

  • 2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群):97%、 91%、 85%、 82%
  • 3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群):95%、 87%、 81%、 75%

OS

2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較

HR 0.69 (95%CI 0.50-0.93)、 p=0.013

併用レジメンAC→T (Ⅲ群+Ⅳ群) と逐次レジメンA→T→C (Ⅰ群+Ⅱ群) の比較

HR 0.89 (95%CI 0.66-1.20)、 p=0.48

参考文献

  1. Randomized trial of dose-dense versus conventionally scheduled and sequential versus concurrent combination chemotherapy as postoperative adjuvant treatment of node-positive primary breast cancer: first report of Intergroup Trial C9741/Cancer and Leukemia Group B Trial 9741. J Clin Oncol. 2003 Apr 15;21(8):1431-9. PMID: 12668651
  2. Placebo-Controlled, Double-Blinded Phase III Study Comparing Dexamethasone on Day 1 With Dexamethasone on Days 1 to 3 With Combined Neurokinin-1 Receptor Antagonist and Palonosetron in High-Emetogenic Chemotherapy. J Clin Oncol. 2018 Apr 1;36(10):1000-1006. PMID: 29443652
  3. Increasing the dose intensity of chemotherapy by more frequent administration or sequential scheduling: a patient-level meta-analysis of 37 298 women with early breast cancer in 26 randomised trials. Lancet. 2019 Apr 6;393(10179):1440-1452. PMID: 30739743
最終更新日:2023年10月20日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ドキソルビシン+シクロホスファミド
2024年03月05日更新
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用法用量

特徴と注意点

  • Norton-Simonの仮説の考え方をもとに、 抗がん薬の投与量は増やさず、 投与間隔を短縮する治療である。 通常3週間毎投与を、 G-CSFのサポートにより2週間毎に実施する。
  • 術前・術後補助化学療法のアンスラサイクリン系レジメンとして、 2週毎に4コース投与する¹⁾。
  • Dose denseレジメンでは、 発熱性好中球減少症の一次予防としてG-CSF製剤を併用する。
  • ドキソルビシンの総投与量が500mg/m²を超えると心毒性のリスクが増大するため、 アンスラサイクリン系薬剤の投与歴を確認する。
  • 治療開始前および治療期間中の定期的な心エコー検査が推奨される。
  • 高度催吐性リスクに該当し、 NK1受容体拮抗薬、 5-HT3受容体拮抗薬、 デキサメタゾンの3剤に加えて、 糖尿病の既往がなければオランザピンの併用を検討する。
  • 5-HT3受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用したAC療法において、 day2以降のデキサメタゾンを省略するsteroid sparingがステロイド通常投与に対する非劣性が示されている²⁾。
  • dose dense AC療法は3週毎に投与する通常投与と比較し、 乳癌の再発や死亡のリスクを低減させることが示されている³⁾。

関連する臨床試験|CALGB 9344試験の概要¹⁾

T0-T3、 N1/2、 M0の乳房原発腺癌の術後療法において、 ドキソルビシン (DXR) +シクロホスファミド (CPA) +パクリタキセル (PTX) の効果を、 投与間隔と投与順序の違いで比較した第Ⅲ相無作為化比較試験CALGB 9344の結果より、 3週毎レジメンと比較した2週毎投与レジメンの、 無病生存期間 (DFS) と全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

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DFS

2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較

HR 0.74 (95%CI 0.59-0.93)、 p=0.010

併用レジメンAC→T (Ⅲ群+Ⅳ群) と逐次レジメンA→T→C (Ⅰ群+Ⅱ群) の比較

HR 0.93 (95%CI 0.75-1.18)、 p=0.58

DFS率 (1年時、 2年時、 3年時、 4年時)

2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較

  • 2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群):97%、 91%、 85%、 82%
  • 3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群):95%、 87%、 81%、 75%

OS

2週毎 (Ⅱ群+Ⅳ群) と3週毎 (Ⅰ群+Ⅲ群) の比較

HR 0.69 (95%CI 0.50-0.93)、 p=0.013

併用レジメンAC→T (Ⅲ群+Ⅳ群) と逐次レジメンA→T→C (Ⅰ群+Ⅱ群) の比較

HR 0.89 (95%CI 0.66-1.20)、 p=0.48

参考文献

  1. Randomized trial of dose-dense versus conventionally scheduled and sequential versus concurrent combination chemotherapy as postoperative adjuvant treatment of node-positive primary breast cancer: first report of Intergroup Trial C9741/Cancer and Leukemia Group B Trial 9741. J Clin Oncol. 2003 Apr 15;21(8):1431-9. PMID: 12668651
  2. Placebo-Controlled, Double-Blinded Phase III Study Comparing Dexamethasone on Day 1 With Dexamethasone on Days 1 to 3 With Combined Neurokinin-1 Receptor Antagonist and Palonosetron in High-Emetogenic Chemotherapy. J Clin Oncol. 2018 Apr 1;36(10):1000-1006. PMID: 29443652
  3. Increasing the dose intensity of chemotherapy by more frequent administration or sequential scheduling: a patient-level meta-analysis of 37 298 women with early breast cancer in 26 randomised trials. Lancet. 2019 Apr 6;393(10179):1440-1452. PMID: 30739743
最終更新日:2023年10月20日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師
執筆:NTT東日本関東病院 薬剤部 兼平 暖先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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