治療スケジュール
概要
監修医師

CDDP:シスプラチン(ランダ®)

投与量コース投与日
100mg/m² 24hr持続点滴1Day 1

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²/回 1日2回 (12時間毎) 3時間点滴1Day 2

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
40mg/body 点滴静注1Day 1~4

前投薬

Day 1~2:5-HT3受容体拮抗薬.
RIT併用時:解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬.
NK1受容体拮抗薬を考慮.

その他

1コースは21日間.
CD20陽性の場合、 Day0かDay1にRIT 375mg/m²投与を考慮.
CDDPによる腎障害予防のため、 十分な補液を行う (詳細は概要欄を参照).
DEX 40mg/bodyは、 エステル化物としての量.
レジメン
DHAP
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」の外部サイトに遷移します。

主な有害事象

J Clin Oncol. 2014 Nov 1;32(31):3490-6.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 詳細の記載なし.

重大な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 23%)
  • 感染症 (≧Grade3 16%)

その他

  • 血栓塞栓症 (≧Grade3 6%)
  • 倦怠感 (≧Grade3 9%)
  • 嘔気 (≧Grade3 8%)
  • 嘔吐(≧Grade3 7%)
  • 失神(≧Grade3 5%)

特徴と注意点

  • DHAP療法は、 再発難治性DLBCLに対する標準治療の一つ.
  • CD20陽性の場合、 リツキシマブの併用を考慮する.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≤3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • シスプラチンの腎毒性予防として、 3L/日以上の補液が推奨される. また、 低Mg血症の発現リスクもあり、 低Mg血症自体が腎障害リスクとなるため、 Mg製剤の投与も推奨される.
  • シスプラチンによる末梢神経障害は累積投与量が200~300mg/m²以上になると頻度が高くなり、 聴覚障害は累積300mg/m²以上から注意を要する. 聴覚障害は不可逆的と考えられ、 特に高音域に障害を受ける.
  • シタラビン大量療法に伴う角膜・結膜障害予防に ステロイド含有点眼薬を使用.
  • デキサメタゾンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.

関連する臨床試験の結果

Blood. 1988 Jan;71(1):117-22.²⁾

概要

  • 進行性再発リンパ腫患者90人を対象に行ったDHAP療法の臨床試験.
  • 対象患者の前治療として、 全患者にDXR、 58人にMTX、 ETPの投与歴あり.
  • DHAP療法6~10コース後のCR、 PR、 OS、 毒性を調査.
CR:完全奏効 PR:部分奏効 OS:全生存期間

結果

  • 追跡期間中央値11ヵ月
  • CR:31%
  • PR:26.5%
  • 2年OS:25%
  • 腫瘍量が少なく、 LDHが正常な患者はCR率が高く (67%)、 2年後の生存率は61%であった.
  • 対照的に、 腫瘍量が多く、 血清LDHが高い患者のCR率はごくわずかであり、 1年生存はわずか5%であった.
  • 頻度の高い重篤な合併症は骨髄抑制による感染症 (31%) であり、 10人の患者の死因であった.

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2014 Nov 1;32(31):3490-6.
  2. Blood. 1988 Jan;71(1):117-22.

最終更新:2021年10月31日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
DHAP
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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監修・協力医一覧
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DHAP

シスプラチン、シタラビン、デキサメタゾン
2023年06月07日更新

CDDP:シスプラチン(ランダ®)

投与量コース投与日
100mg/m² 24hr持続点滴1Day 1

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²/回 1日2回 (12時間毎) 3時間点滴1Day 2

DEX:デキサメタゾン(デカドロン®)

投与量コース投与日
40mg/body 点滴静注1Day 1~4

前投薬

Day 1~2:5-HT3受容体拮抗薬.
RIT併用時:解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬.
NK1受容体拮抗薬を考慮.

その他

1コースは21日間.
CD20陽性の場合、 Day0かDay1にRIT 375mg/m²投与を考慮.
CDDPによる腎障害予防のため、 十分な補液を行う (詳細は概要欄を参照).
DEX 40mg/bodyは、 エステル化物としての量.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」の外部サイトに遷移します。

主な有害事象

J Clin Oncol. 2014 Nov 1;32(31):3490-6.¹⁾より引用

骨髄抑制

  • 詳細の記載なし.

重大な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 23%)
  • 感染症 (≧Grade3 16%)

その他

  • 血栓塞栓症 (≧Grade3 6%)
  • 倦怠感 (≧Grade3 9%)
  • 嘔気 (≧Grade3 8%)
  • 嘔吐(≧Grade3 7%)
  • 失神(≧Grade3 5%)

特徴と注意点

  • DHAP療法は、 再発難治性DLBCLに対する標準治療の一つ.
  • CD20陽性の場合、 リツキシマブの併用を考慮する.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≤3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • シスプラチンの腎毒性予防として、 3L/日以上の補液が推奨される. また、 低Mg血症の発現リスクもあり、 低Mg血症自体が腎障害リスクとなるため、 Mg製剤の投与も推奨される.
  • シスプラチンによる末梢神経障害は累積投与量が200~300mg/m²以上になると頻度が高くなり、 聴覚障害は累積300mg/m²以上から注意を要する. 聴覚障害は不可逆的と考えられ、 特に高音域に障害を受ける.
  • シタラビン大量療法に伴う角膜・結膜障害予防に ステロイド含有点眼薬を使用.
  • デキサメタゾンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.

関連する臨床試験の結果

Blood. 1988 Jan;71(1):117-22.²⁾

概要

  • 進行性再発リンパ腫患者90人を対象に行ったDHAP療法の臨床試験.
  • 対象患者の前治療として、 全患者にDXR、 58人にMTX、 ETPの投与歴あり.
  • DHAP療法6~10コース後のCR、 PR、 OS、 毒性を調査.
CR:完全奏効 PR:部分奏効 OS:全生存期間

結果

  • 追跡期間中央値11ヵ月
  • CR:31%
  • PR:26.5%
  • 2年OS:25%
  • 腫瘍量が少なく、 LDHが正常な患者はCR率が高く (67%)、 2年後の生存率は61%であった.
  • 対照的に、 腫瘍量が多く、 血清LDHが高い患者のCR率はごくわずかであり、 1年生存はわずか5%であった.
  • 頻度の高い重篤な合併症は骨髄抑制による感染症 (31%) であり、 10人の患者の死因であった.

参考文献

  1. J Clin Oncol. 2014 Nov 1;32(31):3490-6.
  2. Blood. 1988 Jan;71(1):117-22.

最終更新:2021年10月31日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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