治療スケジュール
概要
監修医師

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
40mg/m² 点滴静注1Day1~4

CDDP:シスプラチン(ランダ®)

投与量コース投与日
25mg/m² 24hr持続静注 <遮光>1Day1~4

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2000mg/m² 点滴静注1Day5

mPSL:メチルプレドニゾロン(ソル・メドロール®)

投与量コース投与日
500mg/body 点滴静注1Day1~5

前投薬

Day1~5は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
NK1受容体拮抗薬を考慮.
リツキシマブ投与日は解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用.

その他

1コース21日間または28日間.
リツキシマブ併用時は、 Day0またはDay1に投与.
レジメン
ESHAP
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

Haematologica. 2008 Dec;93(12):1829-36.¹⁾ より引用

骨髄抑制

  • 貧血 (≧Grade3 46.2%)
  • 血小板減少

重大な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (33.3%)

その他

  • 胃腸障害 (5.4%)
  • 血栓塞栓症 (4.3%)
  • 代謝障害 (5.4%)
  • 心機能障害 (1.1%)
  • 肝障害 (1.1%)
  • 神経障害 (1.1%)

特徴と注意点

  • ESHAP療法は、 再発難治性DLBCLに対するサルベージ療法の一つ.
  • CD20陽性の場合、 リツキシマブの併用を考慮.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≤3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • シスプラチンは光により分解するため、 長時間の投与は遮光を推奨.
  • シスプラチンによる末梢神経障害は累積投与量が200~300mg/m²以上になると頻度が高くなり、 聴覚障害は累積300mg/m²以上から注意を要する. 聴覚障害は不可逆的と考えられ、 特に高音域に障害を受ける.
  • シタラビン大量療法に伴う角膜・結膜障害予防に ステロイド含有点眼薬を使用.
  • メチルプレドニゾロンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.

関連する臨床試験の結果

Haematologica. 2008 Dec;93(12):1829-36.¹⁾

概要

  • サルベージ療法としてR-ESHAPを受けた再発又は難治性DLBCL患者163人を遡及的に解析.
  • 前治療にリツキシマブ投与歴のある群をR+群、 無い群をR-群として、 奏効率、 無増悪生存率、 全生存率を比較.

結果

  • 追跡期間中央値29ヵ月.
  • 完全寛解率:R+群37% vs R-群56% (p=0.015).
  • 全奏効率:R+群67% vs R-群81% (p=0.045).
  • 無増悪生存率 (3年):R+群17% vs R-群57% (p<0.0001).
  • 全生存率 (3年):R+群38% vs R-群67% (p=0.0005).
  • リツキシマブを用いた先行化学療法に抵抗性を示さなかった患者では高い奏効率が得られたが、 リツキシマブ投与歴の有無で見た場合は、 投与歴のある患者の生存率は、 投与歴のない患者に比べて低かった.

参考文献

  1. Haematologica. 2008 Dec;93(12):1829-36.

最終更新:2022年8月24日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
ESHAP
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
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監修・協力医一覧
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悪性リンパ腫救援療法
2023年06月07日更新

ETP:エトポシド(ラステット®)

投与量コース投与日
40mg/m² 点滴静注1Day1~4

CDDP:シスプラチン(ランダ®)

投与量コース投与日
25mg/m² 24hr持続静注 <遮光>1Day1~4

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2000mg/m² 点滴静注1Day5

mPSL:メチルプレドニゾロン(ソル・メドロール®)

投与量コース投与日
500mg/body 点滴静注1Day1~5

前投薬

Day1~5は5-HT3受容体拮抗薬を使用.
NK1受容体拮抗薬を考慮.
リツキシマブ投与日は解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用.

その他

1コース21日間または28日間.
リツキシマブ併用時は、 Day0またはDay1に投与.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

Haematologica. 2008 Dec;93(12):1829-36.¹⁾ より引用

骨髄抑制

  • 貧血 (≧Grade3 46.2%)
  • 血小板減少

重大な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (33.3%)

その他

  • 胃腸障害 (5.4%)
  • 血栓塞栓症 (4.3%)
  • 代謝障害 (5.4%)
  • 心機能障害 (1.1%)
  • 肝障害 (1.1%)
  • 神経障害 (1.1%)

特徴と注意点

  • ESHAP療法は、 再発難治性DLBCLに対するサルベージ療法の一つ.
  • CD20陽性の場合、 リツキシマブの併用を考慮.
  • 腫瘍量が多い場合、 腫瘍崩壊症候群が出現するため、 十分な予防が必要.

感染対策

  • 発熱性好中球減少症のリスク (年齢>65歳、 Alb≤3.5g/dL、 好中球数<1500/µl、 肝疾患合併) に応じてG-CSF製剤の投与を考慮.
  • ST合剤の予防内服を考慮 (特にG-CSFやリツキシマブを使用する際).
  • HBV再活性化リスクを考慮し、 適切なスクリーニング検査とモニタリングを行う.

各薬剤の副作用と対策

  • リツキシマブはinfusion reactionのリスクが高いため、 予防薬の投与を行い、 バイタルサインのモニタリングを行った上で段階的に投与速度をあげる.
  • シスプラチンは光により分解するため、 長時間の投与は遮光を推奨.
  • シスプラチンによる末梢神経障害は累積投与量が200~300mg/m²以上になると頻度が高くなり、 聴覚障害は累積300mg/m²以上から注意を要する. 聴覚障害は不可逆的と考えられ、 特に高音域に障害を受ける.
  • シタラビン大量療法に伴う角膜・結膜障害予防に ステロイド含有点眼薬を使用.
  • メチルプレドニゾロンによる各種合併症 (特にコントロール困難な糖尿病や出血性消化性潰瘍) に注意.

関連する臨床試験の結果

Haematologica. 2008 Dec;93(12):1829-36.¹⁾

概要

  • サルベージ療法としてR-ESHAPを受けた再発又は難治性DLBCL患者163人を遡及的に解析.
  • 前治療にリツキシマブ投与歴のある群をR+群、 無い群をR-群として、 奏効率、 無増悪生存率、 全生存率を比較.

結果

  • 追跡期間中央値29ヵ月.
  • 完全寛解率:R+群37% vs R-群56% (p=0.015).
  • 全奏効率:R+群67% vs R-群81% (p=0.045).
  • 無増悪生存率 (3年):R+群17% vs R-群57% (p<0.0001).
  • 全生存率 (3年):R+群38% vs R-群67% (p=0.0005).
  • リツキシマブを用いた先行化学療法に抵抗性を示さなかった患者では高い奏効率が得られたが、 リツキシマブ投与歴の有無で見た場合は、 投与歴のある患者の生存率は、 投与歴のない患者に比べて低かった.

参考文献

  1. Haematologica. 2008 Dec;93(12):1829-36.

最終更新:2022年8月24日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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