治療スケジュール
概要
監修医師

Tucidinostat:ツシジノスタット(ハイヤスタ®)

投与量コース投与日
40mg1-週2日 (3又は4日毎)
--パターン1の例:月・木曜日
--パターン2の例:月・金曜日

その他

1日1回40mgを週に2回内服 (3又は4日毎)
食後に内服
レジメン
Tucidinostat
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

HBI-8000-203試験より引用 (適正使用ガイドの情報を参照し作成)

骨髄抑制

  • 好中球減少症 (≧Grade3 36.4%)
  • リンパ球減少症 (≧Grade3 21.8%)
  • 貧血 (≧Grade3 16.3%)
  • 血小板減少症 (≧Grade3 50.4%)

主な有害事象

  • 下痢 (18.2%)
  • 悪心 (20.0%)
  • 倦怠感 (14.5%)
  • γ-GTP増加 (12.7%)
  • 血中ALP増加 (10.9%)
  • 食欲減退 (21.8%)

その他重要な有害事象

  • 動悸 (3.6%)
  • ニューモシスチス・イロベチイ肺炎 (1.8%)
  • 気管支炎 (3.6%)
  • 肺臓炎 (7.3%)
  • 呼吸困難 (3.6%)
  • 間質性肺疾患 (9.1%)
  • 発疹 (5.5%)
  • 蕁麻疹 (5.5%)

特徴と注意点

  • 経口可能な抗がん薬である. ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 活性阻害によりヒストン等の脱アセチル化を阻害し、 腫瘍細胞にみられる複数の異常シグナル伝達経路、 発現抑制されたシグナル伝達経路、 過剰発現したシグナル伝達経路または他の代償性のシグナル伝達経路を同時に阻害できるエピジェネティック制御因子である. 
  • 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫の標準治療レジメンは確立されておらず、 モガムリズマブ治療歴を有する患者を含めた臨床試験の結果から、 臨床的に意義のある選択肢の一つとなりうる.
  • CYP3A4で代謝されるため、 強いCYP3A4阻害薬との併用に注意.
  • 抗不整脈薬やQT間隔を延長させることが知られている薬剤との併用で、 相加的なQT間隔延長を起こす可能性があるため併用に注意.

副作用と対策

関連する臨床試験の結果

HBI-8000-203試験 (論文未公表であり適正使用ガイドの情報を参照し掲載)

概要

  • 国際共同第IIb相試験.
  • 対象は日本人及び韓国人で1レジメン以上の全身化学療法を施行した、 他の標準的治療法が適さない再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者55例.
  • 対象患者の病理組織型:末梢性T細胞リンパ腫・非特定型 (PTCL-NOS)、 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫 (AITL)、 ALK陰性未分化大細胞リンパ腫 (ALCL ALK-)、 腸管症関連T細胞リンパ腫 (EATL)、 肝脾T細胞リンパ腫 (HSTCL)、 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫 (SPTCL)、 ALK陽性ALCL (ALCL ALK+).
ALK:未分化リンパ腫キナーゼ PPS:治験実施計画に適合した対象集団 ORR:全奏効率 CR:完全奏効 PR:部分奏効 SD:病勢安定 PD:病勢進行 PFS:無増悪生存期間 DOR:奏効期間 OS:全生存期間

結果

  • 《46例(PPS)》ORR:45.7% (95% CI 30.9-61.0)、 CR:10.9%、 PR:34.8%、 SD:26.1%、 PD:28.3%.
  • 《PTCL-NOS 34例 (PPS)》ORR:35.3% (95% CI 19.7-53.5)、 CR:8.8%、 PR:26.5%、 SD:29.4%、 PD:35.3%.
  • 《AITL 8例 (PPS)》ORR:7例、 CR:2例、 PR:5例、 SD:1例、 PD:0例.
  • 《ALCL ALK- 3例 (PPS)》ORR:1例、 CR:0例、 PR:1例、 SD:1例、 PD:1例.
  • 《EATL 1例 (PPS)》ORR:1例、 CR:0例、 PR:1例、 SD:0例、 PD:0例.
  • PFS中央値:24.1週 (95% CI 12.7-58.1).
  • DOR中央値:50.1週 (95% CI 23.3-).
  • OS中央値:99.1週 (95% CI 54.9-99.1).

参考文献

最終更新:2022年4月29日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ツシジノスタット(ハイヤスタ®)
2023年05月29日更新

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投与量コース投与日
40mg1-週2日 (3又は4日毎)
--パターン1の例:月・木曜日
--パターン2の例:月・金曜日

その他

1日1回40mgを週に2回内服 (3又は4日毎)
食後に内服

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

HBI-8000-203試験より引用 (適正使用ガイドの情報を参照し作成)

骨髄抑制

  • 好中球減少症 (≧Grade3 36.4%)
  • リンパ球減少症 (≧Grade3 21.8%)
  • 貧血 (≧Grade3 16.3%)
  • 血小板減少症 (≧Grade3 50.4%)

主な有害事象

  • 下痢 (18.2%)
  • 悪心 (20.0%)
  • 倦怠感 (14.5%)
  • γ-GTP増加 (12.7%)
  • 血中ALP増加 (10.9%)
  • 食欲減退 (21.8%)

その他重要な有害事象

  • 動悸 (3.6%)
  • ニューモシスチス・イロベチイ肺炎 (1.8%)
  • 気管支炎 (3.6%)
  • 肺臓炎 (7.3%)
  • 呼吸困難 (3.6%)
  • 間質性肺疾患 (9.1%)
  • 発疹 (5.5%)
  • 蕁麻疹 (5.5%)

特徴と注意点

  • 経口可能な抗がん薬である. ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 活性阻害によりヒストン等の脱アセチル化を阻害し、 腫瘍細胞にみられる複数の異常シグナル伝達経路、 発現抑制されたシグナル伝達経路、 過剰発現したシグナル伝達経路または他の代償性のシグナル伝達経路を同時に阻害できるエピジェネティック制御因子である. 
  • 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫の標準治療レジメンは確立されておらず、 モガムリズマブ治療歴を有する患者を含めた臨床試験の結果から、 臨床的に意義のある選択肢の一つとなりうる.
  • CYP3A4で代謝されるため、 強いCYP3A4阻害薬との併用に注意.
  • 抗不整脈薬やQT間隔を延長させることが知られている薬剤との併用で、 相加的なQT間隔延長を起こす可能性があるため併用に注意.

副作用と対策

関連する臨床試験の結果

HBI-8000-203試験 (論文未公表であり適正使用ガイドの情報を参照し掲載)

概要

  • 国際共同第IIb相試験.
  • 対象は日本人及び韓国人で1レジメン以上の全身化学療法を施行した、 他の標準的治療法が適さない再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者55例.
  • 対象患者の病理組織型:末梢性T細胞リンパ腫・非特定型 (PTCL-NOS)、 血管免疫芽球性T細胞リンパ腫 (AITL)、 ALK陰性未分化大細胞リンパ腫 (ALCL ALK-)、 腸管症関連T細胞リンパ腫 (EATL)、 肝脾T細胞リンパ腫 (HSTCL)、 皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫 (SPTCL)、 ALK陽性ALCL (ALCL ALK+).
ALK:未分化リンパ腫キナーゼ PPS:治験実施計画に適合した対象集団 ORR:全奏効率 CR:完全奏効 PR:部分奏効 SD:病勢安定 PD:病勢進行 PFS:無増悪生存期間 DOR:奏効期間 OS:全生存期間

結果

  • 《46例(PPS)》ORR:45.7% (95% CI 30.9-61.0)、 CR:10.9%、 PR:34.8%、 SD:26.1%、 PD:28.3%.
  • 《PTCL-NOS 34例 (PPS)》ORR:35.3% (95% CI 19.7-53.5)、 CR:8.8%、 PR:26.5%、 SD:29.4%、 PD:35.3%.
  • 《AITL 8例 (PPS)》ORR:7例、 CR:2例、 PR:5例、 SD:1例、 PD:0例.
  • 《ALCL ALK- 3例 (PPS)》ORR:1例、 CR:0例、 PR:1例、 SD:1例、 PD:1例.
  • 《EATL 1例 (PPS)》ORR:1例、 CR:0例、 PR:1例、 SD:0例、 PD:0例.
  • PFS中央値:24.1週 (95% CI 12.7-58.1).
  • DOR中央値:50.1週 (95% CI 23.3-).
  • OS中央値:99.1週 (95% CI 54.9-99.1).

参考文献

最終更新:2022年4月29日
執筆担当:北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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