内容
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではせん.  個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください. 

ポイント

  1. 熱傷後の冷却は5分以内を推奨
  2. 水泡や疼痛の有無、皮膚色から深度を判定
  3. 重症化の可能性あり、2~3⽇間はフォロー
  4. 自壊した⽔疱膜はデブリードマンを推奨
  5. 3cm以上可動域の⽔疱は穿刺を検討
  6. Ⅰ度熱傷は被覆材不要でも良い
  7. Ⅱ度以上は外用剤被覆材使用が一般的
  8. 浸出量熱傷範囲などから局所療法を選択
  9. ガーゼ以外の多くの被覆材は保険適応外
  10. ゲーベンはⅡ度以上の感染予防に有効かもしれないが、正常皮膚に対しては障害性強い

病態・疫学

熱傷の定義

  • 急性の外的要素への暴露によって、 皮膚および各組織が損傷を受けること
  • 温熱熱傷, 電撃傷, 化学熱傷, 放射線熱傷, 凍傷等に分類される
  • 温熱熱傷の頻度が最も高い.その他は専⾨医の治療が必要なことも

診断アルゴリズム

熱傷面積の計算

熱傷
熱傷

5、9の法則、手掌法、Lund & Browder法

重症度判定

Artzの基準

  • 準備中

Burn index|BI

  • B.I = 0.5 × Ⅱ度 + Ⅲ度熱傷面積 [%]
  • 10~15以上 を 重症

Prognostic Burn index|PBI

  • P.B.I = B.I. + 年齢
  • 100以上 を 予後不良

治療

  • まず冷やす! (電話を受けた時点から)
  • 5分以内で十分、あとは低体温のリスクあり

Ⅰ度熱傷 (SB;superficial burn)

熱傷診療ガイドラインでは、Ⅰ度やⅡs熱傷でエキザルベ軟膏が推奨される。真皮形成後は肉芽過剰増殖抑制作用があり、上皮形成は抑制しないため創面の平定化に有効とされる

Ⅱs熱傷 (SDB;superficial dermal burn)

  • ワセリン基材の軟膏を用い創保護
  • アズノールアンテベート軟膏 (II群 very strong) など
  • ワセリン基剤の抗生物質含有軟膏でも良い (例:アクロマイシンバラマイシン軟膏) がエビデンスはない(バラマイシンはGNRの一部にしか抗菌力が及ばない)
  • トレックスガーゼ, ソフラチュールにのばして貼付すると剥がしやすい
  • 水疱は破れなければ感染起こらない(水疱内の浸出液が上皮化を助けるbiological dressing)
  • 大きな水疱は自然に敗れるため、愛護的に内容だけを吸引

Ⅱd熱傷(DDB;deep dermal burn)

Ⅲ度熱傷(DB:deep burn)

  • 受傷後早期は上記の判別が困難となる、早期にワセリン基材の軟膏使用
  • 20~30%TBSA以上ではゲーベンクリーム(感染予防と植皮手術を前提に抗菌、焼痂組織移行良好)
  • ブドウ球菌、 連鎖球菌、 クレブシエラ、 緑膿菌、 エンテロバクターなどに抗菌力あり
  • ゲーベンクリームは, 乾きやすく早期のⅡ度熱傷に使用すると組織が傷害され深度が深くなる
  • そのため、軽症熱傷(Ⅰ度と早期Ⅱ度)への使用は推奨されない
  • Ⅲ度熱傷では出来る限り早期に壊死組織除去術および植皮などの被覆を検討 (専門家コンサルト)
  • 壊死組織が遺残していれば、 ブロメライン軟膏など用い、 鋭匙で擦過し少しずつ除去

Baxter法

  • 推奨輸液量の計算法で、別名はParkland法.
  • 1日投与量[ml]=4×熱傷面積[%]×体重[kg]
  • 最初の8時間で半分、残りは16時間で投与.

関連コンテンツ

🚑 ERマニュアル|熱傷

🔢 Baxter の公式

🔢 5、9の法則、手掌法、Lund & Browder法

最終更新:2024年3月23日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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熱傷

Burns
2022年06月09日更新
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ポイント

  1. 熱傷後の冷却は5分以内を推奨
  2. 水泡や疼痛の有無、皮膚色から深度を判定
  3. 重症化の可能性あり、2~3⽇間はフォロー
  4. 自壊した⽔疱膜はデブリードマンを推奨
  5. 3cm以上可動域の⽔疱は穿刺を検討
  6. Ⅰ度熱傷は被覆材不要でも良い
  7. Ⅱ度以上は外用剤被覆材使用が一般的
  8. 浸出量熱傷範囲などから局所療法を選択
  9. ガーゼ以外の多くの被覆材は保険適応外
  10. ゲーベンはⅡ度以上の感染予防に有効かもしれないが、正常皮膚に対しては障害性強い

病態・疫学

熱傷の定義

  • 急性の外的要素への暴露によって、 皮膚および各組織が損傷を受けること
  • 温熱熱傷, 電撃傷, 化学熱傷, 放射線熱傷, 凍傷等に分類される
  • 温熱熱傷の頻度が最も高い.その他は専⾨医の治療が必要なことも

診断アルゴリズム

熱傷面積の計算

熱傷
熱傷

5、9の法則、手掌法、Lund & Browder法

重症度判定

Artzの基準

  • 準備中

Burn index|BI

  • B.I = 0.5 × Ⅱ度 + Ⅲ度熱傷面積 [%]
  • 10~15以上 を 重症

Prognostic Burn index|PBI

  • P.B.I = B.I. + 年齢
  • 100以上 を 予後不良

治療

  • まず冷やす! (電話を受けた時点から)
  • 5分以内で十分、あとは低体温のリスクあり

Ⅰ度熱傷 (SB;superficial burn)

熱傷診療ガイドラインでは、Ⅰ度やⅡs熱傷でエキザルベ軟膏が推奨される。真皮形成後は肉芽過剰増殖抑制作用があり、上皮形成は抑制しないため創面の平定化に有効とされる

Ⅱs熱傷 (SDB;superficial dermal burn)

  • ワセリン基材の軟膏を用い創保護
  • アズノールアンテベート軟膏 (II群 very strong) など
  • ワセリン基剤の抗生物質含有軟膏でも良い (例:アクロマイシンバラマイシン軟膏) がエビデンスはない(バラマイシンはGNRの一部にしか抗菌力が及ばない)
  • トレックスガーゼ, ソフラチュールにのばして貼付すると剥がしやすい
  • 水疱は破れなければ感染起こらない(水疱内の浸出液が上皮化を助けるbiological dressing)
  • 大きな水疱は自然に敗れるため、愛護的に内容だけを吸引

Ⅱd熱傷(DDB;deep dermal burn)

Ⅲ度熱傷(DB:deep burn)

  • 受傷後早期は上記の判別が困難となる、早期にワセリン基材の軟膏使用
  • 20~30%TBSA以上ではゲーベンクリーム(感染予防と植皮手術を前提に抗菌、焼痂組織移行良好)
  • ブドウ球菌、 連鎖球菌、 クレブシエラ、 緑膿菌、 エンテロバクターなどに抗菌力あり
  • ゲーベンクリームは, 乾きやすく早期のⅡ度熱傷に使用すると組織が傷害され深度が深くなる
  • そのため、軽症熱傷(Ⅰ度と早期Ⅱ度)への使用は推奨されない
  • Ⅲ度熱傷では出来る限り早期に壊死組織除去術および植皮などの被覆を検討 (専門家コンサルト)
  • 壊死組織が遺残していれば、 ブロメライン軟膏など用い、 鋭匙で擦過し少しずつ除去

Baxter法

  • 推奨輸液量の計算法で、別名はParkland法.
  • 1日投与量[ml]=4×熱傷面積[%]×体重[kg]
  • 最初の8時間で半分、残りは16時間で投与.

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最終更新:2024年3月23日
監修医師:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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