【長野中央病院】“幕の内弁当方式”で育む主治医力
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1ヶ月前

【長野中央病院】“幕の内弁当方式”で育む主治医力

【長野中央病院】“幕の内弁当方式”で育む主治医力
長野中央病院 (長野市) は2017~2021年、 基本的臨床能力評価試験 (GM-ITE) で成績上位5%に入るなど研修医教育に力を入れています。 そのキーワードは 「幕の内弁当方式で培う主治医力」。 どういうことか。 研修プログラム責任者の林充那登先生と、 初期研修医 (2年次) の原諒一先生に話を聞きました。 

病院概要 : GM-ITEの成績上位5%

長野中央病院 (322床) は二次救急を担う中規模病院で、 common diseaseの初療を数多く経験できます。 JCEP (卒後臨床研修評価機構) 認定施設でもあります。

研修の特徴

主治医力を磨くプログラム

――研修の特徴は?

林先生 「どんなキャリアであっても必要になる『主治医力』の育成を大切にしています。 主治医は、 多臓器のcommon diseaseを扱えるのはもちろん、 高齢者の多疾患併存を扱える、 他職種と効果的に連携できる、 介護や看取りなど社会的問題にも対応できる、 など多くのスキルが必要になります」

「そのため、 主治医として必要な能力や基礎知識を指導医から教わる研修を、 初期研修の最初に行っています。 その後は実際に数名の患者を受け持ち、 上級医と相談しながら退院までを見届ける導入期研修をしています。 2つの研修を行うことで、 段階的にマネジメント能力を高めています」

【長野中央病院】“幕の内弁当方式”で育む主治医力
林先生 (右から2人目) が初期研修医 (1年次) にCVCレクチャーをする様子

原先生 「導入期研修では、 リハビリスタッフや薬剤師など医師以外の方とも密接に関わり、 他職種と顔見知りになることができます。 その後の業務をスムーズに進めるためにも、 研修医にとってはとてもありがたい研修でした」

ご飯 : 内科、 救急 / おかず : その他の科

――独自プログラムの 「幕の内弁当方式」 とは?

林先生 「救急を3ヵ月間集中して学ぶ病院が多いと思いますが、 当院は救急を通年研修としています。 1ヵ月間の救急研修期間とは別に、 2年間毎週1コマずつ救急を担当するので、 他科で学んだことを救急の場で活かせるようになっています。 主治医力を高めるための軸となる内科や救急をご飯、 他科をおかずに見立てて幕の内弁当方式と呼んでいます」

原先生 「1年目は部分的な知識や技術にとどまっていたものが、 2年目には全体を見通しながら対応できるようになるので、 このプログラムを通して自分の医師としての成長を感じることができます」

【長野中央病院】“幕の内弁当方式”で育む主治医力
内科を分散し、 救急を通年で研修できるのが特徴

他職種との合同カンファで得られる多角的な視点

――主治医力を磨くために工夫されていることは?

林先生 「週に1回、 他職種との合同カンファレンスを行っています。 患者さんには、 医学的な問題以外にも社会的な問題や家庭の問題などさまざまな背景があります。 ディスカッションを通して医学だけでない多角的な視点を学んでもらえると思います」

原先生 「医学的には退院できるけれど、 そのほかの部分に問題があって帰れないという患者さんは実際に多いです。 どうしたら家に帰れるのか、 という今後の道筋を明確に理解することができるので、 退院後のことまで考える力がつきました」

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総合診療科病棟の多職種合同cfの様子。 医師・看護師のほか、 薬剤師やリハビリスタッフ、 SWや事務も集まり、 治療方針から退院後のケアまで話し合う

研修医の視点

大きな責任感と磨かれる決断力

――長野中央病院を研修先に選んだ決め手は?

原先生 「3年目以降は外科系に進むことを決めていたので、 それまでに病棟のことや患者さんの背景疾患についても考えられるような医師になりたいという思いがありました。 当院は研修医が主治医として患者さんを担当することができるので、 理想の医師像に近づけると思い選択しました」

「主治医として患者さんを受け持つことで、 責任感と決断力が身につきました。 周りと相談し、 その結果を折り合わせて決断する力は、 主治医としての大きな責任感があってこそ磨かれるものだと思います。 ほかの医師や他職種の方々に相談する力もつきました」

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原先生による症例プレゼン。 導入期期間では指導医によるプレゼンのレクチャーもある

経験数は想像以上

――入職後のギャップは?

原先生 「研修医が経験できることの多さには良い意味で大きなギャップがありました。 上級医の手厚いサポートがあるからこそ、 主治医としてあらゆる判断を任されますし、 検査などの手技も存分に経験することができます」

「上級医からは患者さんのこれまでの経過を踏まえた上での経験的なアドバイスをもらえるので、 教科書に書いていない考え方や調べ方も学べています。 導入期研修の段階で指導医とも医師以外とも風通しの良い関係を作れているので、 相談しやすさも抜群です」

病院の魅力

垣根のない人間関係が魅力

――病院の魅力は?

林先生 「中規模病院なので、 コメディカルや医師同士も垣根がなく働きやすい環境です。 病院から旅行の補助が出るので、 研修医も含めて職員旅行で奄美大島に行ったこともありました」

【長野中央病院】“幕の内弁当方式”で育む主治医力
病院のレクリエーション企画でスキー・スノーボードを楽しんできました。 職場を越えての交流も活発です

原先生 「研修医から出た研修への意見が、 上の先生たちにも共有されるシステムがあるので、 年々研修内容が改善されています。 長野駅から近くて飲食店に恵まれていることや、 冬にはウィンタースポーツが楽しめるところも魅力です」

志望科が決まっている人にもおすすめ

――医学生へメッセージを。

林先生 「主治医に必要な基礎力や総合力を高めるために選択必須科目が他院よりも多く、 自由選択期間は3ヵ月のみとなっていますが、 当院で研修をすれば主治医力を確かなものにできると自負しています。 後悔させない研修内容ですので、 ぜひ見学にきてください」

原先生 「医師としての総合的な診療能力は、 どんな進路を選ぶとしても大切です。 ぜひ見学にきて、 いろいろな選択肢があることを知ってください」

先生方のプロフィール

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▶長野中央病院ホームページ

▶長野中央病院の研修医 / 医学生用サイト

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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