医業と商業線引き?厚労省が往診加算狙い撃ち
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2ヶ月前

医業と商業線引き?厚労省が往診加算狙い撃ち

医業と商業線引き?厚労省が往診加算狙い撃ち
こんにちは、 Dr.Genjohです。 2024年度診療報酬改定についてお届けする緊急シリーズ 「診療報酬改定から見る医療の今後」 2回目は、 サービス縮小が相次ぐ往診に焦点を当てます。 

医業・商業の線引き?公私の線引き?

今回の診療報酬改定が発表されて以降、 複数の訪問診療サービス業者が次々とサービス縮小を発表し、 世間を賑わせました。

「キッズドクター」 「みてねコールドクター」 は往診サービスを終了し、 オンライン診療や医療相談のみとなります。 「ファストドクター」 は往診サービス自体は継続するものの、 利用者に多額の自己負担を請求するシステムとなります。

往診加算が低く制限

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【図1】厚労省の資料より

理由は簡単。 今回の診療報酬改定で大幅な点数減となり、 体制維持の原資を確保出来なくなるためです。

基本料金となる往診料720点はこれまでと変わりません。 ただ、 緊急・夜間・休日・深夜の往診加算については、 継続的に訪問診療を受けていたり、 外来に通っていたりして、 いわゆる病院や診療所の 「定期受療患者」 である場合にのみ要件を満たせるようになります【図1】

非定期受療患者の場合、 往診加算は325/405/485点と非常に低い点数に制限されます。

往診サービス狙い撃ち…厚労省の真意は

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病院や診療所には基本的に自院の定期受療患者からしか往診の依頼が来ず、 高額の往診加算が算定できます。 一方、 訪問診療サービス業者が実施している緊急の電話応需サービスには、 非定期受療患者からも往診依頼が来ます。 非定期受療患者からの依頼の場合、 最大で2300点(機能強化型以外の在支診・在支病)→485点の大幅減算となり、 致命的な収益増悪となります。

高額の往診加算を狙い撃ちにする 「おいしいビジネスモデル」 を行っているとみなされて目をつけられたのでしょうか。 あるいは、 既存の医療機関から独立して診療行為を行う組織が、 地域医療連携構想の妨げと判断されたのでしょうか。

はたまたその他の意図があるのか…厚生労働省の真意はわかりません。

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写真はイメージです

しかし、 ある往診サービス業者が発表した声明の通り、 既存システムだけで24時間の地域医療対応を継続することは困難でしょう。 往診サービス業者が地域医療の負荷軽減に寄与していたことも事実のようです。

願わくは保険診療上の過剰な負荷とならず、 地域医療の持続につながるような良い形での融和策が図られることを望みます。

在宅・施設への往診にもメス

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【図2】厚労省の資料より

在宅や施設への訪問診療にもメスが入りました。 同じ施設に属する患者数が多くなるほど、 患者一人当たりの医学総合管理料が減額して算定されるようになりました【図2】

端的に言えば、 「多数の高齢者が入居する施設に訪問診療を行ってまとめて荒稼ぎ!」 がしにくくなります。

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【図3】厚労省の資料より

加えて、 同一医療機関と同一施設間における訪問診療の算定が2100回/3か月を超える場合、 一定の条件を満たさない限り医学総合管理料が60%と大幅減額されることになりました【図3】

条件を端的に言えば、 「同一の診療所と施設で癒着するな」 「在宅看取りを積極的にやれ」 「施設の訪問診療ばかりでなく在宅の訪問診療もやれ」 「要介護度の軽い症例ばかりでは認めないぞ」 という内容です。 (癒着して簡単に荒稼ぎ!は許さないぞ、 ということですね)

筆者プロフィール

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Xアカウント : @DrGenjoh

出典

厚生労働省 : 令和6年度診療報酬改定の概要 (医科全体版)

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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