「先生の家族だったらどう治療しますか」
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1ヶ月前

「先生の家族だったらどう治療しますか」

「先生の家族だったらどう治療しますか」
患者とのコミュニケーションで悩んだことのない医師はいないかもしれません。 連載 「患者さんにどう伝えますか?」 の2回目では、 日本医科大武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之先生に、 コミュニケーションのコツなどを解説してもらいます。

客観的でなくていい!

「先生のご家族だったらどうしますか?」

治療方針を決める際に、 患者さんからこんな質問を受けたら、 あなただったらどのように答えますか

  • 普段から、 自分の家族だったらという想定で治療方針を考えています
  • 時と場合によります。 結果が良くない場合に、 「先生を信じたのに」と言われると困るので
  • 自分の家族の診療はやらないことにしているので、 お答えしません。

パターンは様々考えられますが、 答えのポイントは 「自分が患者の立場だったら、 どう言ってもらうと安心できるか」 を考えたらよいと思います。 患者さんとのコミュニケーションで最も大切なことは、 信頼関係をいかに保っていくかということです。

「先生の家族だったらどう治療しますか」

エビデンスを語るだけでは不十分

我々医師は、 とかく客観的冷静なエビデンス (科学的根拠) を語りたがるものですが、 科学的根拠を並べるだけでは、 患者さんは、「冷たい」「他人事のように聞こえた」 「真摯な感じをうけない」「信頼関係が壊れた」 と感じてしまうかもしれません。

いくら科学的根拠が正しかったとしても、 患者さんに受け入れてもらえなくては台無しになってしまうのです。

もちろん、 客観的なデータを元に自分で決めたいので、 医師にすべての客観的データ、 科学的根拠を求める人もいますが、 非常にまれなケースといえます。

Evidence-baced Medicine (EBM) の3要素とは

現代医学は、 Evidence-baced Medicine (EBM) の時代と言われ、 Evidenceがもっとも大切だと教わります。 ただ、 もちろん、 エビデンスだけで医療ができないのも事実です。

「先生の家族だったらどう治療しますか」

EBMの創始者であるカナダ・マクマスター大Dr.サケットの教科書 (Evidence-Based Medicine: How to Practice and Teach EBM. 2nd ed.; Churchill Livingstone. 2000.) に、 「最善の医療を施すにはエビデンス、 医療者の専門性、 患者の希望・価値観、 この3つの要素を統合することが重要である」と書かれています。

つまり、 エビデンスだけで医療をするのではなく、 医療者の専門性や患者の希望・価値観も同じレベルで重要ということです。 「専門性」 には手術や医学的知識、 専門医の取得などもありますが、 コミュニケーション技術も含まれていると考えていいと思います。

専門性を無駄にしないようにしよう

現代の医師はいかに早く専門医を取るか、 最新のエビデンスを知るか、 にとらわれてしまっていないでしょうか。 患者の価値観を無視し、 患者とうまくコミュニケーションできなかったら、 せっかくの専門性もまったく無駄になってしまうかもしれません。

そういった意味でも、 患者さんとのコミュニケーションを大切にしてほしいと考えています。

「先生の家族だったらどう治療しますか」

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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