【EMILIA試験】 HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ エムタンシン
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5ヶ月前

【EMILIA試験】 HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ エムタンシン

【EMILIA試験】 HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブ エムタンシン
トラスツズマブおよびタキサン系薬剤による前治療歴のある、 切除不能で局所進行または転移性のHER2陽性乳癌患者において、 トラスツズマブ エムタンシン (T-DM1) の効果を、 ラパチニブ+カペシタビン併用療法を対照に検証した第Ⅲ相ランダム化比較試験EMILIAの結果より、 無増悪生存期間 (PFS) と全生存期間 (OS) に対する有効性が示された。

原著論文

中間解析結果

Trastuzumab emtansine for HER2-positive advanced breast cancer. N Engl J Med. 2012 Nov 8;367(19):1783-91. PMID: 23020162

▼追跡結果

Trastuzumab emtansine versus capecitabine plus lapatinib in patients with previously treated HER2-positive advanced breast cancer (EMILIA): a descriptive analysis of final overall survival results from a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2017 Jun;18(6):732-742. PMID: 28526536

関連レジメン

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EMILIA試験の概要

対象

トラスツズマブおよびタキサン系薬剤による前治療歴のある、 切除不能な局所進行または転移性のHER2陽性乳癌患者

方法

991例を以下の2群に1:1で割り付けた。

  • T-DM1群 (495例)
T-DM1 3.6mg/kgを21日毎に投与、 病勢進行まで継続
  • 対照群 (496例)
ラパチニブ1,250mg/日 連日+カペシタビン1,000mg/m² 1日2回 day1-14 21日サイクル、 病勢進行まで継続
全生存期間の有効性の境界を超えた後に、 対照群からT-DM1群へのクロスオーバーを認めるようプロトコールが修正された。

評価項目

主要評価項目:独立判定委員会 (IRC) 評価によるPFS、 OS、 安全性

副次評価項目:責任医師評価によるPFS、 奏効率 (ORR) 、 奏効期間、 症状悪化までの期間

EMILIA試験の結果

患者背景

  • 両群で同様であった。
  • 年齢中央値は53歳、 アジア人は17-19%、 エストロゲン受容体陰性かつプロゲステロン受容体陰性は41-45%

IRC評価によるPFS中央値

  • T-DM1群:9.6ヵ月
  • 対照群:6.4ヵ月
HR 0.65 (95%CI 0.55-0.77)、 p<0.001

OS中央値

  • T-DM1群:29.9ヵ月
(95%CI 26.32-34.10ヵ月)
  • 対照群:25.9ヵ月
(95%CI 22.74-28.32ヵ月)
HR 0.75 (95%CI 0.64-0.88)

OS率 (1年時、 2年時) 

  • T-DM1群:85.2%、 64.7%
  • 対照群:78.4%、 51.8%

責任医師評価によるPFS中央値

  • T-DM1群:9.4ヵ月
  • 対照群:5.8ヵ月
HR 0.66 (95%CI 0.56-0.77)、 p<0.001

ORR

  • T-DM1群:43.6%
(95%CI 38.6-48.6%)
  • 対照群:30.8%
(95%CI 26.3-35.7%)
p<0.001

奏効期間 (中央値) 

  • T-DM1群:12.6ヵ月
(95%CI 8.4-20.8ヵ月)
  • 対照群:6.5ヵ月
(95%CI 5.5-7.2ヵ月)

症状悪化までの期間

FACT-Bスコアが5点以上低下するまでの期間で評価

  • T-DM1群:7.1ヵ月
  • 対照群:4.6ヵ月
HR 0.80 (95%CI 0.67-0.95)、 p=0.012

有害事象 (AE)

  • T-DM1群 (19%) では、 対照群 (カペシタビン42%、 ラパチニブ20%) に比べ、 減量に至ったAEが少なかった。
  • T-DM1群で多く報告されたGrade3以上のAEは、 血小板減少症 (14%) 、 AST増加 (5%) 、 貧血 (4%) であった。 対照群では、 下痢 (21%) 、 手掌・足底発赤知覚不全症候群 (18%) 、 嘔吐 (5%) であった。
  • Grade3以上の心機能障害の発生は1%未満で、 T-DM1群 (1例) 、 対照群 (3例) ともに低かった。

治療関連AE (Grade3以上) の発現率

  • T-DM1群:48%
  • 対照群:60%

著者らの結論

トラスツズマブおよびタキサン系薬剤による前治療歴のある、 HER2陽性の切除不能な局所進行または転移性乳癌患者において、 T-DM1は、 ラパチニブ+カペシタビン併用療法よりもPFSとOSを有意に延長させることが示された。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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