StageⅡ~Ⅲのトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) の術後患者に対し､ 標準的な化学療法 (パクリタキセル＋ddAC/EC) へのアテゾリズマブ上乗せ効果を､ 化学療法単独を対照に検証した第III相ランダム化比較試験ALEXANDRA/IMpassion030の結果より､ 無浸潤疾患生存期間 (iDFS) の有意な延長は認められなかった｡ ベルギー・Institut BordetのMichail Ignatiadis氏が発表した｡

背景

TNBCは免疫原性が高く､ 抗PD-L1抗体アテゾリズマブとナブパクリタキセルの併用療法は､ PD-L1 陽性の転移性TNBCに対して承認されている｡

早期病変に対する術後免疫療法は､ 他の固形癌において転帰の改善が認められているが､ 早期TNBCにおける化学療法併用の抗PD- (L) 1抗体を使用する最適なタイミングは不明であった｡ 本試験では､ 標準的なアントラサイクリンおよびタキサンベースの術後療法へのアテゾリズマブの上乗せ効果が検討された｡

研究デザイン

対象

StageⅡ~ⅢのTNBCの術後患者

方法

登録された2,199例を､ 以下の2群に1 : 1で割り付け

• アテゾリズマブ群 (1,101 例)

アテゾリズマブ840mgを2週毎に10回投与後､ 維持量として1,200mgを3週毎に1年間投与＋化学療法 (パクリタキセルを週1回 12週投与後､ ddAC/ECを2週毎に4サイクル投与) 

• 化学療法単独群 (1,098例)

上記化学療法のみ実施

評価項目

主要評価項目

• ITT集団のiDFS

副次的評価項目

• PD-L1陽性サブ集団のiDFS
• リンパ節転移陽性サブ集団のiDFS
• 乳癌以外の二次性原発性浸潤癌を含めたiDFS
• 全生存期間 (OS) 
• 無再発期間 (RFI) 
• 無遠隔再発期間 (DRFI) 
• 無病生存期間 (DFS) 

研究結果

患者背景

• 年齢中央値：53歳
• アジア人：36.5~38.4%
• pT1~pT2：93.0~95.2%
• PD-L1 IC 1/2/3：71.2~71.3%
• 乳房温存術施行：47.6%

追跡期間中央値

25ヵ月

ITT集団のiDFS

• アテゾリズマブ群：11.5%
• 化学療法単独群：10.2%

HR 1.12 (95％CI 0.87-1.45)､ p=0.37

PD-L1陽性集団のiDFS

• アテゾリズマブ群：9.8%
• 化学療法単独群：9.3 %

HR 1.03 (95％CI 0.75–1.42)

OS

• アテゾリズマブ群：5.5%
• 化学療法単独群：4.5%

HR 1.20 (95％CI 0.82–1.75)

有害事象 (AE)

試験期間中のAEの発現率

• アテゾリズマブ群：99.7%
• 化学療法単独群：99.0%

Grade3~4の治療関連AEの発現率

• アテゾリズマブ群：53.7%
• 化学療法単独群：43.5%

著者らの結論

StageⅡ~ⅢのTNBCの術後患者において､ アントラサイクリンおよびタキサンベースの化学療法にアテゾリズマブを追加しても､ iDFSに対する有効性は認められず､ AEはアテゾリズマブ群で多かった｡

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