治療スケジュール
概要
監修医師

Osimertinib:オシメルチニブ(タグリッソ®)

投与量コース投与日
80mg/日 経口連日内服 ※術後補助療法で用いる場合、投与期間は36ヵ月間までDay 1~

その他

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬
2022年8月に術後補助化学療法としての使用も可能となったが、術後補助療法で用いる場合、投与期間は36ヵ月間までとする。
投与開始前に、 間質性肺炎、 肝機能障害、 QT延長がないことを確認する。
その他NSCLC EGFR遺伝子変異陽性の1次治療としての推奨だけでなく、 他のEGFR-TK使用後にT790M耐性遺伝子変異が出現したNSCLCにも有効性が示されている。
レジメン
Osimertinib
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

💊 オシメルチニブ (タグリッソ®)

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬

添付文書 / 適正使用ガイド*

*アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します

用法・用量

※術後補助療法では、投与期間は36ヵ月間まで

減量・中止する場合の用量¹⁾

副作用発現時には、 必要に応じて本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う必要がある。

休薬・減量・中止基準例¹⁾

詳細は最新の電子添文や適正使用ガイドを参照すること。

・間質性肺疾患 ・QT間隔延長 ・肝障害
・血液毒性 ・中毒性表皮壊死融解症
・皮膚粘膜眼症候群 ・多形紅斑
・うっ血性心不全 ・左室駆出率低下など

レジメンの特徴と注意点

2022年8月には術後補助化学療法としての使用も可能となった。 その他、 1次治療および他のEGFR-TKI使用後にT790M耐性遺伝子変異が出現したNSCLCにも適応がある。 

*他のEGFR-TKI使用後では再生検でT790M変異を検出した症例例のみ使用可

コンパニオン診断

コンパニオン診断の最新情報について、 こちらのコンテンツを参照ください。

肺癌コンパニオン診断薬一覧ページへ遷移

有害事象の特徴

日本人における薬剤性肺障害の発現割合は全体集団より高い傾向が見られた。 また、 ICI投与歴がある場合、 薬剤性肺障害の発現率が高まるとの報告あり。 また、 一過性無症候性肺陰影 (TAPO)が報告されている。

Chest 2022:オシメルチニブ起因の薬剤性肺炎発症率18%、半数はTAPO の記事を読む

肺癌診療ガイドライン2023の引用²⁾

病理病期Ⅱ-ⅢA期 (第8版)完全切除例に対する術後療法については、 従来の術後補助化学療法後に、 オシメルチニブによる治療の追加が「提案」されている。EGFR遺伝子変異陽性でPS 0-1の1次治療や、 1次・2次治療以降のT790M変異陽性例に対しての利用が「推奨」されている。 

▼EGFR遺伝子変異陽性の術後療法

病理病期Ⅱ-ⅢA期 (第8版)完全切除例に対して、 従来の術後補助化学療法後に、 オシメルチニブによる治療の追加を「提案」する (2B)
なお、 プラチナ製剤併用療法の代わりとして、 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療を勧めるだけの根拠が明確ではない。
*術後病理病期T3N2M0/ⅢB、 T4 (≧7cm) N2M0/ⅢB期を含む。

>> 1次治療、2次治療についてはこちら

主要な臨床試験

📊ADAURA試験³⁾⁴⁾:術後療法

病理病期ⅠB~ⅢA期※のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC術後患者を対象に、 オシメルチニブ3年投与とプラセボ投与を比較した国際第Ⅲ相試験 (※病理病期 AJCC/UICC第7版 切除検体の病理診断、日本では病理病期ⅠB期患者は対象外)
  • オシメルチニブ群:339例
オシメルチニブ80mg/日を投与する
  • プラセボ群:343例

有効性結果

  • Ⅱ~ⅢA期 DFS (主要評価項目):未到達
プラセボ群:19.6ヵ月、 HR 0.17、 P<0.0001
  • Ⅱ~ⅢA期 4年DFS率:70%
プラセボ群:29%、 HR 0.23、 P<0.0001
  • Ⅱ~ⅢA期 5年OS率:85%
プラセボ群:73%、 HR 0.49、 P=0.0004

主な有害事象

主な有害事象

下痢、 皮疹(ざ瘡様皮疹・爪周囲炎)、 肝機能障害、 白血球減少、 血小板減少

注意すべき有害事象

薬剤性肺障害、 心毒性 (QTc延長、 心機能低下、 心嚢液貯留)

参考文献

1) アストラゼネカ株式会社 「タグリッソ®適正使用ガイド」2023年8月作成 [最終閲覧 2023/11/19]

*アストラゼネカ株式会社の外部サイトへ遷移します

2) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン−悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む−2023年版

3) Adjuvant Osimertinib for Resected EGFR-Mutated Stage IB-IIIA Non-Small-Cell Lung Cancer: Updated Results From the Phase III Randomized ADAURA Trial. J Clin Oncol. 2023 Apr 1;41(10):1830-1840. PMID: 36720083

4) Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC. N Engl J Med. 2023 Jul 13;389(2):137-147. PMID: 37272535

5) Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2018 Jan 11;378(2):113-125. PMID: 29151359

最終更新日:2023年11月15日
監修・作図:HOKUTO編集部専門医

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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オシメルチニブ (タグリッソ®)
2024年02月01日更新

Osimertinib:オシメルチニブ(タグリッソ®)

投与量コース投与日
80mg/日 経口連日内服 ※術後補助療法で用いる場合、投与期間は36ヵ月間までDay 1~

その他

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬
2022年8月に術後補助化学療法としての使用も可能となったが、術後補助療法で用いる場合、投与期間は36ヵ月間までとする。
投与開始前に、 間質性肺炎、 肝機能障害、 QT延長がないことを確認する。
その他NSCLC EGFR遺伝子変異陽性の1次治療としての推奨だけでなく、 他のEGFR-TK使用後にT790M耐性遺伝子変異が出現したNSCLCにも有効性が示されている。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

💊 オシメルチニブ (タグリッソ®)

第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬

添付文書 / 適正使用ガイド*

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用法・用量

※術後補助療法では、投与期間は36ヵ月間まで

減量・中止する場合の用量¹⁾

副作用発現時には、 必要に応じて本剤の投与を中止するなど適切な処置を行う必要がある。

休薬・減量・中止基準例¹⁾

詳細は最新の電子添文や適正使用ガイドを参照すること。

・間質性肺疾患 ・QT間隔延長 ・肝障害
・血液毒性 ・中毒性表皮壊死融解症
・皮膚粘膜眼症候群 ・多形紅斑
・うっ血性心不全 ・左室駆出率低下など

レジメンの特徴と注意点

2022年8月には術後補助化学療法としての使用も可能となった。 その他、 1次治療および他のEGFR-TKI使用後にT790M耐性遺伝子変異が出現したNSCLCにも適応がある。 

*他のEGFR-TKI使用後では再生検でT790M変異を検出した症例例のみ使用可

コンパニオン診断

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有害事象の特徴

日本人における薬剤性肺障害の発現割合は全体集団より高い傾向が見られた。 また、 ICI投与歴がある場合、 薬剤性肺障害の発現率が高まるとの報告あり。 また、 一過性無症候性肺陰影 (TAPO)が報告されている。

Chest 2022:オシメルチニブ起因の薬剤性肺炎発症率18%、半数はTAPO の記事を読む

肺癌診療ガイドライン2023の引用²⁾

病理病期Ⅱ-ⅢA期 (第8版)完全切除例に対する術後療法については、 従来の術後補助化学療法後に、 オシメルチニブによる治療の追加が「提案」されている。EGFR遺伝子変異陽性でPS 0-1の1次治療や、 1次・2次治療以降のT790M変異陽性例に対しての利用が「推奨」されている。 

▼EGFR遺伝子変異陽性の術後療法

病理病期Ⅱ-ⅢA期 (第8版)完全切除例に対して、 従来の術後補助化学療法後に、 オシメルチニブによる治療の追加を「提案」する (2B)
なお、 プラチナ製剤併用療法の代わりとして、 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療を勧めるだけの根拠が明確ではない。
*術後病理病期T3N2M0/ⅢB、 T4 (≧7cm) N2M0/ⅢB期を含む。

>> 1次治療、2次治療についてはこちら

主要な臨床試験

📊ADAURA試験³⁾⁴⁾:術後療法

病理病期ⅠB~ⅢA期※のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC術後患者を対象に、 オシメルチニブ3年投与とプラセボ投与を比較した国際第Ⅲ相試験 (※病理病期 AJCC/UICC第7版 切除検体の病理診断、日本では病理病期ⅠB期患者は対象外)
  • オシメルチニブ群:339例
オシメルチニブ80mg/日を投与する
  • プラセボ群:343例

有効性結果

  • Ⅱ~ⅢA期 DFS (主要評価項目):未到達
プラセボ群:19.6ヵ月、 HR 0.17、 P<0.0001
  • Ⅱ~ⅢA期 4年DFS率:70%
プラセボ群:29%、 HR 0.23、 P<0.0001
  • Ⅱ~ⅢA期 5年OS率:85%
プラセボ群:73%、 HR 0.49、 P=0.0004

主な有害事象

主な有害事象

下痢、 皮疹(ざ瘡様皮疹・爪周囲炎)、 肝機能障害、 白血球減少、 血小板減少

注意すべき有害事象

薬剤性肺障害、 心毒性 (QTc延長、 心機能低下、 心嚢液貯留)

参考文献

1) アストラゼネカ株式会社 「タグリッソ®適正使用ガイド」2023年8月作成 [最終閲覧 2023/11/19]

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2) 日本肺癌学会. 肺癌診療ガイドライン−悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む−2023年版

3) Adjuvant Osimertinib for Resected EGFR-Mutated Stage IB-IIIA Non-Small-Cell Lung Cancer: Updated Results From the Phase III Randomized ADAURA Trial. J Clin Oncol. 2023 Apr 1;41(10):1830-1840. PMID: 36720083

4) Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC. N Engl J Med. 2023 Jul 13;389(2):137-147. PMID: 37272535

5) Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2018 Jan 11;378(2):113-125. PMID: 29151359

最終更新日:2023年11月15日
監修・作図:HOKUTO編集部専門医

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。